箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

大人との出会いなおし

2019年05月17日 08時01分00秒 | 教育・子育てあれこれ
 
 
児童養護施設・遥学園をご存知でしょうか。
 
私は、以前にこの学園を訪問したことがあります。
 
大阪府島本町のサントリーの工場近くにあります。
 
遥学園以外にも、大阪府にはいくつかの児童養護施設があります。
 
 
 
さて、子どもは、自分が他の人の役に立っていると感じられたとき、自分の価値を見出すことができます。
 
これは、大人も同じです。
 
この真実を心得た学校の教師は、日常的に生徒によく「ありがとう」と言います。
 
その教師が、生徒に「ありがとう」と言うのは、自分が他の人の役に立っていると感じてほしいから言うのです。
 
人は他の人に役に立てたと思えると、自分の価値を見出し、自分のことが好きになれます。
 
さらに、そのような体験をたくさん積んだ子は、自分が生きていくうえで立ちはだかる壁や課題にチャレンジして解決できるという自信をもつことにもなります。
 
ただし、ここで私たちが心得ておくべきことは、そんな役に立とうとする相手の人というのは、子どもにとって誰でもいいのではないということです。
 
その相手は自分にとっての「味方」になってくれる人でなければなりません。
 
つまり、いざというときには助けてくれる人でないといけないのです。
 
そうでなければ、そもそも子どもはその人の役に立とうとは思わないでしょう。
 
その点で、「ありがとう」と生徒に発する教師は、必要なときには必ず生徒を援助できる人になっておかなければなりません。
 
 
 
親子関係にあてはめるなら、親がまず自分の「味方」だと思える関係を築きあげるのです。
 
親をはじめとする大人を、子どもが自分にとっての「敵」だと思う、つまり大人不信に陥ってしまうと、子どもは、はなからそんな人の役にに立とうとは思いません。
 
大人との信頼関係がいかに大切かということです。
 
 
 
児童養護施設などに入っている子どもは、例外なく大人から裏切られた経験をもつ子です。
 
それを職員は温かい人間関係で包み込み、再び「大人は信頼できる」と感じることができるように、人との出会いなおしをする役割をもっているのです。