この絵はW.E.ヒルによる有名な「だまし絵」です。
若い女の人にも、老婆にも見えます。
最初に若い女性だと思った人は、しばらくは若い女性だと思い込み、歳とったおばあさんには、見えにくいものです。
これほど人は「思い込み」に影響されやすいのです。
子どもが自分の短所だと思っていることは、親も多くの場合気がついていて、わが子の短所だと感じていることがあるようです。
たとえば、「私は落ち着きがない」ので、これがイヤだと子どもが思っていれば、親もわが子のことを「落ち着きのない子」と思い込んでいます。
この点で、大切なことの一つは、「落ち着きのない」→いい・悪いの判断とは別である、と気がついていることです。
つまり、子どもは、自分が落ち着きのないことをイヤだと思っていても、落ち着きがないイコール悪いのではないという点をはっきりと、親も子もわかっているべきです。
イヤはその子のもっている感情だから、否定はできません。でも「イヤ」と「悪い」を明確に区別しておく必要があります。
さらに、大切なもう一つのことは、イヤな点はその人すべてではないということも考えておくのです。
たから、親が子どもに言う言葉は、「あなたは落ち着きのない子だね」ではなく、「あなたは落ち着きのないときがあるね(ところがあるね)」です。
これは自分のことを落ち着きがない子だと思い込んでいる場合に、有効です。
そして、大人は子どもに、落ち着きがない態度をいつとったかについて、思い出させます。
思い込んでいる子は、自分のすることは何でも落ち着きがないことが関係していると思っていますので、その思い込みからリリースさせるのです。
そうすると、じっさいは、落ち着きがないのはときどきであり、友だちに優しいとか、高齢者にためらいなく席を譲るということができていることに、子どもは気がつくこともあります。
思春期の子どもに、私がよく言う「自分を深くみつめなさい」というのは、「ありのままの自分を深く見つめなさい」ということです。
こどもが客観的に自分を見れるようになると、自分を好きになるステップを踏み始めているのだと、親は喜んでいいのです。