箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

教師の仕事は対人援助専門職

2020年12月21日 08時13分00秒 | 教育・子育てあれこれ

学校には、困ったことや悩みを抱えていたりする児童生徒がいます。また、学校生活で不適応を起こしている児童生徒の相談を受けたりするとき、児童生徒の話をききます。

教師と児童生徒の間の「きく」には、3通りあります。それは、「聞く」、「聴く」、「訊く」です。

①「聞く」:
(=hear)子どもが話している内容に耳を傾け、何を言おうとしているか、そのだいたいの意味を理解しようとする。
あるいは「聞こう」としなくても「耳に入ってくる」という感覚で、おおまかな意味を理解しようとする。

②「聞く」:
(=listen)しっかりと耳を傾け、子どもが話していることの背景や感情をつかもうとして聴く。言外の意味を理解しようとする。

③「訊く」:
(=ask)子どもを理解するために、教師が子どもに尋ねる、質問をするというはたらきかけをする。
これにより、子どもが答えることをきくことになります。
ただ「訊く」のは、教師側の問題意識があり、質問が発せられるので、これはかなり難しい「きく」になります。

この3種類の「きく」を適切に使い分けることができれば、相談を受ける教師として十分かと言えば、そうとも言い切れません。

なぜなら、この3つは児童生徒が話すことをきくときに、言語を介在させるだけだからです。

児童生徒は教師が話す言葉からもメッセージを受けとりますが、じつは教師の話し方や話すクセからも非言語のメッセージを受けとります。

その非言語である態度や話し方、たとえば、教師がまったく頷かないない、表情が必要以上に暗い、腕組みをしている、足を組んでいる、「上から目線」などで「きく」という態度をとれば相談活動がうまくいかなくなります。

教師は授業の専門家であり、心理士やカウンセラーではないという考え方もあるでしょう。

しかし、教育が児童生徒と教師の人間関係をもとに営まれるという点を考えると、教師は対人援助専門職であるという自覚をもち、業務にあたらなければ、今の時代、務まりません。

相談活動を適切にできなければ、教職の専門職性を発揮していないことになります。難しいことですが。


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