「離郷」
悲しくて涙が止まらない
止めどなく頬を伝う一筋に
ふるさとがあることを知った
もう戻れないのだろうか
悔しくて言葉を探し出せない
沈黙の隣に
恐ろしい静けさに 震える喉に
ふるさとがあることが分かった
必ず戻ってこよう
目と鼻を拭き 押し黙り
家族でうなずくと
夕暮れが迫ってきた
私たちは これから家を
街を 森を 田園を離れていく
別れの前に 唇を噛みしめて
揺るがないふるさとを想った
(『ふたたびの春に』祥伝社黄金文庫)
福島県の詩人・和合亮一さんの詩です。
東北地震後間もない2011年5月、福島県川内村から避難した男性が、郷里を離れるときの思いを聞きとり、書いた詩だそうです。
言葉にしようとすることで、言葉にならないものがあることがわかり、その思いを周りと分かち合うことができると、和合さんは言います。
ふるさとは、その人それぞれにとって大切なものなのです。
また、人をふるさとにたとえた楽曲もあります。
「あなたがいてくれたから」
あなたがいてくれたから
どこまでも歩けたんだ
つらい時は 振り返って
その姿を確かめた
あなたがいてくれたから
あきらめず やって来られた
私にとって
あなたはずっと
そこで やさしく見守る
Hometown
どこまでも歩けたんだ
つらい時は 振り返って
その姿を確かめた
あなたがいてくれたから
あきらめず やって来られた
私にとって
あなたはずっと
そこで やさしく見守る
Hometown
(『あなたがいてくれたから』作詞 秋元康)
人はそれぞれ自分のふるさとをもっています。
それは故郷の自然かもしれないし、風景かもしれない。あるいは、自分の心がほっとできる相手かもしれない。
ふるさとを大事にしたいと思います。
こういう詩を教材に使い、国語の授業ができます。
思春期の中学生は感性がみずみずしく、研ぎ澄まされた感覚をもっています。
作者の言葉にできない思いを感じとる授業ができそうです。
どの詩を教材に据えるかで、国語教師の力量が試されます。
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