従来、大学の授業(講義)は、その内容やようすは受講対象者となる学生以外はわからないものでした。
今の時代、小中学校で参観授業や学校行事をすればお母さん、お父さんはもちろん、おじいちゃんやおばあちゃんまで来られる時代です。
しかし、こと大学の授業に関しては、市民や社会人を対象にした大学の講座に申し込み出席する以外には大学の授業を知る機会ありませんでした。
お父さんやお母さんは、自分が大学を卒業していれば、その経験で大学生であるわが子の授業の様子を想像するしかありませんでした。
ところが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「苦肉の策」で各大学が導入したオンライン授業は、大学生の保護者にも授業が公開されることになったのです。
わが子がオンライン授業を自宅で受けているのを後ろで保護者が見ることができるようになったのです。
いまの保護者の観察力は鋭いので、「さすが大学の授業だ」と評価する場合も多いのですが、「高い授業料を払っているのに、こんなことしか学べないのか」という批判の目にさらされることもあります。
それらの意味で、保護者に開かれた大学の授業になり、授業の質のブラッシュアップにつながるという効果がオンライン授業にはあります。
では、欠点には学友関係がつくりにくい以外に、どんなことがあるのでしょうか。
・教員のスキルにより、授業の差が出やすくなる。
・授業録画がいつでも見られるような場合、学生の生活習慣が定まりにくい。
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なかでも、
新入生が人間関係を深める宿泊を伴う研修ができなかった。
短大の場合、2020年度入学生は、入学以来オンライン1年半が続き、あと3ヶ月あまりで卒業となります。
しかし、海外の大学との交流は、交通費をかけなくてもできるようになったといえます。これは大きなメリットだと思います。
新型コロナウイルス対策では、小中高の教員研修にも変化が現れています。
そもそも、教員に必要な資質能力は、「たえず研究と教育実践に努めること」(探究力)であると、私は考えています。
法にも規定されています。
「教育公務員はたえず研究と修養に努めなければならない」(教育公務員特例法第21条)、
「教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない」(同法第22条)
このように教員にとっての研修はたいへん大切なものです。つねに新しい知識と技能を身につけてこそ、児童生徒への授業ができるからです。
コロナ災禍以前は、校内研修以外は、校外へ出かけて自治体の施設や研究大会の会場へ出かけて研修を受けるのがふつうでした。
学校のこと、自分のかかわる子どものこと・・・。いろいろと気にしながら学校を離れました。研修後、学校に戻ってきて、必要な保護者連絡をするなど業務に追われていました。
また、自発的に受ける研修以外はそのための交通費も支給されていました。
しかし、オンライン研修が導入されると、学校を離れたわざわざ出かけなくても研修が受講できるようになりました。
自治体にしても、参加教員への旅費や交通費の支給総額が少なくて済みます。
「たんに講師を招聘し、講演を聞くだけの研修なら、オンラインで十分だ」。
こんな声も教員から聞こえてきます。
また、ある程度のグループ討議もオンラインでできます。
それでも、やはり聞こえてくるのは、「2年目教員」「5年目教員」などは、「(集合研修で)久しぶりに同期と会えてので、とてもうれしかった」という声です。
やはり人間的なつながりは大きいのです。
けっきょく、これからは大学の対面授業、教員の集合研修に戻りはするが、アフターコロナの時代では、対面・集合研修とオンライン授業やオンライン研修も併存して残っていくことになるのでしょう。