箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

多様性の街 大阪

2020年11月13日 08時27分00秒 | 教育・子育てあれこれ
大阪はひとことで言うと、雑多で、多様な街です。

人びとのものの見方は画一ではなく、さまざまな考え方をします。

「もったいない」と言う人もいれば、「ケチってどないするねん」と言う人もいます。

東京から来た人が地下鉄を降りて地上に出ると雨が降っていました。

見ず知らずのおばちゃんが近づいてきて、「ねえちゃん、このカサをもっていき」。
手には100均のカサを数本もっています。

東京ではこんなことは絶対ない、となるのが大阪です。

社会属性も多様に広がっています。

西成のおっちゃんもいれば、在日コリアンも共に生きている街です。

大阪北部の中学生はこじんまりとまとまった、きれいなハーモニーで合唱しますが、南部の生徒は、やたらと大きな声で歌います。
(これは、だんじり祭の文化の影響かもしれません。)

もちろん、「どこどこの県民はみんなこんな特性をもつ」というきめつけはよくないです。

あくまで、大阪に広く見られる傾向を、わたしは述べています。

ボケとツッコミを、このうえない楽しみにしている人もいます。

阪神ファンばかりかと思えば、確固たる巨人ファンがいます。


それぞれの人が本音ではどう思っているかはわかりませんが、少なくとも自分とちがう人をとことんやり込めたりはしない。

それが、大阪のよさです。

JR環状線で言えば、一駅離れると街の様子がガラッと変わります。

最近しゃれたお店が増えた「福島」界隈があるかと思えば、「鶴橋」のような飲み屋や焼肉店の風景が広がります。「天王寺」のような庶民の街があります。

その大阪で、人びとは多様性を認めるコミュニケーションをとっています。

相手に対して寛容で、それぞれの街のもちあじをいかして、全体として多様性を発揮しているのが、大阪という街です。

そんな大阪には、行政のトップダウンはなじまないのです。

大阪都構想が実現しないのは、「意に沿わないものは敵だ」とばかりに、やたら対立し、分断をはかるやり方に、大阪市民はNO!という答えを示したのかもしれません。

生徒たちにも考えさせたいことがあります。

大阪がそうであるように、私たちは人との関係の中で生きています。

どこで生まれ、どんな人と出会い、どういう思いをもち暮らしているのか。

それを理解したとき、「地域」が見えてきます。

学校が地域とつながり、いっしょに子どもを育むことの大切さが言われて久しくなります。

それぞれの生徒が「わたし」をかたちづくってきた街を見れば、環境や境遇の異なる者同士が重なり合い生きていることに気づくでしょう。

外国につながる人も増えています。

障害のある人も暮らしています。

共生社会にいちばんふさわしいのは、大阪という街であるのです。


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