子どもにもよりますが、一般的に思春期は、おとなの矛盾に対して敏感になります。おとなの言動の矛盾を鋭くついてきます。
私も学級担任をしていた頃は、矛盾をついてくる生徒とよく話したものです。
もっとも、今の中学生は、かえって従順な子が増えているのですが、それでもやはり、大人の矛盾には反応します。
「子どもとおとなはちがう」といっても、通じないことが多いのです。
食事を家族でしているとき、中学生のわが子が、スマホを触っています。
「ご飯の時は、スマホをさわらないの」と注意します。
「お母さんだって、よくスマホを触っているやん」
「お父さんだって、ご飯のとき、新聞を読んでるやんか」
親と同じようなことをして、何が悪いの、というのが子どもの言い分です。
私は何度か述べていますが、中学生にとっては、家族との関係よりも、友だちとの関係を大切にするようになります。
両親にとっては、あれほど、「お母さん、お母さん」と言っていた子が、離れていくのは寂しい気持ちになるでしょうが。
加えて、いまの中学生の友だち関係は、もろく壊れやすいという特徴があります。
子どもは友だちからの連絡には、たいへん敏感になっています。だからスマホが手放せないのです。
自分にとっていちばん大切なものをなくさないために、スマホを常に持っておくのだから、「子どもと大人はちがう」と言っても、子どもは納得できません。
ということですので、子どもに食事中はスマホを触らせたくないなら、親も食事中にはスマホを触らないようにしなければなりません。
家族の中でルールを決めておくべきです。
いまの子どもは、いったんスマホをもっと、それなしでは過ごせませんから、触るのをどの程度許すかは、親子で話し合って決めます。
ルールを決めたら、「食事中は、触らないという約束だったよね」と淡々と伝えます。
この「淡々と」がポイントです。けっして感情的にならないことです。
ただ、あまりにもルールを守らないときには、親が一晩預かり、使わせない。
そうすると、子どもはキレる場合もあります。
でも、「ルールを守らなかったから」と言い、一晩預かり、返す。これを淡々と繰り返すうちに、子どもも使い方に気をつけるようになります。