箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

親友とは②

2018年07月03日 08時36分23秒 | 教育・子育てあれこれ



前回のブログでは、いまの中学生は、本音をなかなか親友には言えないこともあると説明しました。

でも、人間には本音を言いたい、聞いてほしいという欲求が必ずあります。


しかし、親友には言えないとなると、誰に言えるのでしょうか。

じつは、ネット上には、その相手がたくさんいます。

すぐに相手が見つかります。

「この人はちょっと」と思ったら、別の相手をさがせばいいのだす。匿名性があるので、本音が書き込めます。

「たいへんだね」と言ってくれます。
「気持ちはわかるよ」

「今度、会おうか」

「うん、会おう」


人間の抱く孤独感とは、一人でいるときに感じる孤独感より、誰かといっしょにいても感じる孤独感の方が強いのかもしれません。

だから、「やさしく」してくれる人に出会うと、ネットで知り合った人に惹かれ、会いに行くことになりかねません。

女子が被害にあう犯罪はこうして起きます。

もちろん、三中生の場合、ここまでの深刻な状況ではありません。

しかし、「なぜ、ネットで知り合った人に、そう簡単に会いに行くのか」という疑問には、子どもたちが置かれている状況を理解してもらうことで、答えることができると思います。

以上の状況をふまえ、学校では、ネットではない仲間づくりを進め、活動をともにして、つながりあい、本音が出せあえる仲間関係を深めることに、取り組んでいくのです。

(写真と本文の内容は関係ありません)

親友とは①

2018年07月02日 09時45分57秒 | 教育・子育てあれこれ







おとなでもそうですが、人は本音を聞いてほしいと思うことがあります。

子どもも同じで、本音を言いたいときがあります。

でも、なかなか親友には言えないという子もいます。

「えっ! 親友だからこそ、本音が言えるのでないの?」

こう思われる方が多いのではないでしょうか。

いえ、現実はちがうことがあるのが実情です。

いまの生徒たちのなかには、「親友とよい関係でいたいから、あたりさわりのない話を、笑顔で話している」という子がいます。

いまの子どもは、SNSのネット上に、自分の悪口と思える書き込みを見つけることがあります。


「調子にのってるな」「外そうか」

もし、こういうことが書き込まれていたら、もちろん本人は気にします。

学校では、楽しい会話をして、仲良しだと思っているけど、ひよっとすれば、親友のあの子が書いているのでは。

実際、悪ふざけやちょっとした悪口は、近しい関係の友だちが書き込んでいるという事実を知っています。

三中にも、同様の書き込みいじめは実際にありました。

でも、冒頭にあるように、生徒は本音を言いたい、聞いてほしいという願いを、潜在的にもっています。

では、子どもたちは、おとなを除き、友だちに対しては、誰に、どのように本音を伝えることができるのでしょうか。

次回のブログでは、この点についてふれていきます。
明日も読んでください。

(写真と本文の内容は、関係ありません)

地に足をつけ将来を展望する

2018年07月01日 12時15分53秒 | 教育・子育てあれこれ



小学生でも中学生でも、子どもである以上、これから先のことに希望を寄せるものです。

卒業式シーズンが近づくと、「未来」や「将来」という言葉が、よく使われます。

また、中学生なら、進路を考えるときや2年生での職場体験のときに、「未来の自分」や「将来の仕事」という表現を使います。

ところで、「未来」とは、「未(ま)だ来ない」であり、「将来」とは「将(まさ)に来る」です。

つまり、未来はまだ来ないのだから、あやふやなもの。

それに対して、将来はこれから来る時であり、未来よりは現在に近いこれから先となります。

私たちは、意識せず、将来と未来の時間的な使い分けをしているようです。

ただ、どちらも、不確かなものであることにかわりはありません。

三中生のこれからの人生に、それぞれ何が起こるかは、誰にもわかりません。

わからないから不安に思う。または、わからないから楽しみに思う。

将来や未来への思いは、ときとして夢になります。また、ときとして妄想にもなります。

将来の夢として、「こんなことがしたい」は、その子にとっての目標になります。

しかし、妄想は、根拠のない信念であり、他者の説得による修正をはねのけるのです。

これから先の希望や展望を三中生にもってほしいとは思いますが、妄想ではいけない。

昨日のブログで私がふれた「The Power of Dreams」(「夢が私たちを動かす原動力だ」)
の夢とは、絵空事ではなく、地に足がついたこれから先の自分を見ることで見えてくる目標のことです。

そのためには、「いま」をしっかりと生きてほしい。

さらに、過去をしっかり見つめ、「いま」までの自分の成長を考えてはしい。

そこから、これから先の自分が見えてくるのです。

「我輩は過去である」と姜尚中さんは、以前、みのお市民人権フォーラムの講演のなかで、述べられていました。

私もまったく同感です。

小学生のときは、あまり学習をしなかったが、中学生になったいまは、よく学習をするようになった。

たとえば、これ一つとってみても、自分が成長したということです。

過去を大切に見つめ、「いま」を想う。このことから、地に足がついた将来や未来を展望してほしいのです。

2年生は、秋に職場体験学習をしますが、たんに働くことの厳しさや楽しさを知っただけで終わってはもったいない。

体験を通して、過去の自分と比較対照して、自分の成長を感じとり、自分も社会にかかわることができるというこれからの自信につなげてほしいと考えています。