自国第一主義とは、言い換えるとナショナリズムと言っていいでしょう。
各国が真っ先に行ったのは、国境を締め、入国管理の強化でした。
こうして、各国が国境という枠の中に入る自国民を守りにかかったのでした。
ふだん、あまり意識することのなかった「国境」の意味を際立たせたのです。
そして、次には国同士の比較が始まりました。感染者○○人、死者○○人で多い、少ないが人口比に照らして加え、コロナ対応がうまくいっていない、いっているという判断材料になりました。
それだけではありません。国民性まで話題になりました。
あの国は法治の意識が強いので、罰則つきの法律が有効だ、この国は衛生的なことを好むので、マスクをちゃんと着ける、要請だけで国民は自粛の態度をとることができるなどです。
また、これは国難と言える非常事態だから、国や自治体の決めたことに従わないのは、「非国民」だと非難や攻撃の対象になりました。
一歩間違えば、第二次世界大戦中の国民を統合し、動員させるナショナリズムにつながる危険性を含んでいます。
そもそも、新型コロナウイルスの感染拡大は、人、もの、かね、情報などが国境を超えて行き来するグローバル化が生んだものです。
ところが、感染拡大がグローバル化にブレーキをかける皮肉なことになったのです。
今後、このナショナリズムがもっと勢いを増すのか、国同士の協調意識が高まるのか。
新型コロナウイルス対策のワクチンの分配が、自国優先になるのか、分け合うのかにも、現れてくるでしょう。
相田みつをさんが詩で言っています。
うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる。