箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

変化するプラーバシー権

2021年06月26日 07時07分00秒 | 教育・子育てあれこれ


「プライバシーの侵害」とは、自分の個人的な情報を他者との関係で、自らコントロールできない状態であると、私は教員になった頃、研修で教わりました。

その当時は「プライバシーの侵害」という言葉がはやっていました。

この考え方では、個人情報の漏洩は、「自分の個人的な情報が、勝手に外部へさらされ、自分でコントロールできない状態になっているから、大きな問題となるのです。

ところが、最近の若い世代は、子どもの頃からインターネットに親しみ、スマートフォンを使うのが当たり前になった世の中を生きてきている人たちです。

彼ら(彼女ら)にとって、プライバシーは「他者に知られない」よりも「自分の役に立つか」が基準になっているようです。

たとえば、自分の位置情報を明らかにして、登録しあっている友だち同士の間で、相手がどこにいるか(相手の位置情報)がわかるアプリが人気を集めています。

自分がどこにいるかを相手に知らせることで、近くにいる友だちと会っていっしょに行動できるとか、自分の都合を知ってもらうことができる→相手の都合を察することができる。

このうに、「自分の役にたつかどうか」が成立するようになり、プライバシー権に関する考え方も変化してきているようです。

これをつきすすめていくと、プラーバシー権とは自分に役立つように、他者に自分の情報を知ってもらう権利となるのかもしれません。

つまり、端的に言えば今の時代は、プライバシーを「自分の情報が守られる権利」(従来型)と「自分の利益のために情報を知ってもらう権利」(新型)が混在しているように思います。

学校教育の中では、児童生徒や青少年がネットを巡るトラブルに巻き込まれるのを防ぐため、一律に「自分の個人情報をネットにのせてはいけません」と教えています。

このことを児童生徒が学習するのは「従来型」の考えに基づいており、基本的にはそう教えなければならないでしょう。

しかし、「新型」が増えている状況を考慮したとき、多様化している日本人の意識を知った上で、自分がトラブルや犯罪にあわないようにどうするかを適切に判断できるような情報教育が必要なのかもしれません。