2020年3月に再入庫したケンメリ。
9カ月の時を経て再びの帰還。
死ぬほど好きだったオーバーフェンダーに別れを告げ、
悶絶するほどのサーフィンラインを手に入れた。
拘りぬいた純正鉄っちんとGTRセンターキャップから純正アルミとGTXセンターキャップに変更。
コックピットに乗り込むと懐かしいガソリン臭。
セルを回してエンジン始動。水温計の針が微動するのを見るのも久しぶり。
また時が動き出す。
感動と興奮で心の針は振り切れて一周廻った感覚。
復帰後初のドライブ先は
11年前(!)にも来た酒屋さんへ。
家内のリクエストで年末年始のお酒を買いに来た。
お酒を抱えてケンメリに乗り込み帰路に着く。
天気にも恵まれ、キャブの吸気音も心地よい。
ギヤ操作やアクセルワークはまだぎこちないかもしれないが、そもそも入庫前もあまり上手じゃなかったかもなので、改めて技術向上を意識して運転する。
大通りの渋滞を避けて通る裏道も実に十年ぶり(本気で)くらい。
住宅街では控えめに走り、自宅近くの大通りに出たところでアクセルを踏み込む。
心地よい吸気音と共に加速していくケンメリ。
ああ、帰ってきたんだなぁと感慨深く室内を眺める。
長らく無人だった車庫へケンメリを入れ用としたその時だった。
ゴッ!
「!?」
下を擦る音がした。
今回鉄っちんからアルミに変えてタイヤも替えたわけだが
185/80R14→185/70R14
でタイヤ径が-21mm変わっていた。外周なので、鉄っちんホール時に比べて42mmダウン。
その42mmでマフラーが干渉することに。
セキュリティの都合上公開してなかったが、新しい車庫は立体駐車場。
トレーは真ん中部分が出っ張っているいわゆる凸型になっている。
そこが干渉してしまっていた。
無理に入庫することもできず、途方に暮れる。
ここにいてもしょうがないのでとりあえずコインパーキングにでも移動・・・
カッチン★
!?
キーを捻ってもセルが回らず、何度も試すもカッチンカッチンと昔聞いたことのあるあの音が。
電磁ポンプの音とETC車載機に通電する音だけが室内に響く。
陽は既に傾き始め、徐々に暗くなっていく風景に不安が募る。
人間の心理状態が一番不安定になるのは夜明け時と夕焼けの時で、ヒトラーが演説をするときはこの時間帯を狙ってるとか、昔MMRで読んだなぁと現実逃避気味な想像をしている場合ではないのだが、駐車場に入れない、そもそも車が動かないという状況に嫌な汗が出る。
この場所に路駐しっぱなしにはできないので、まずはケンメリを動かせるようにすることを考える。
JAFに連絡!
ってとっくに更新を切っていた。
連絡すれば有料で来てくれるだろうが、果たして・・・・
と何年経っても学習しないオツムで考えていると家内が一言。
「自動車保険のCMで故障した時も来てくれるのあるよね?」
それだ!
財布に忍ばせていた、保険契約の控えに書かれている電話番号へ電話。
何と無事にロードサービスを手配いただけることに。
加入してからほとんど乗ってないのにこういう所で恩恵を受ける日が来るとは。
一旦家内は(大量のお酒を持たせた状態で)帰宅させ、ロードサービスの到着を待っているとやがて1台の車が前方に停まった。
非常に丁寧なあいさつをされ、名刺をいただく。お水とウェットティッシュまで。
ものすごいサービスの良さに目を丸くする。
早速バッテリーの確認。バッテリーに問題はなし。
ということはやはりセルモーターか。
セルモーターに打撃を与えることで、復活する可能性を示唆され、
ロードサービス業者さんが持っていた工具でセルモーターをコンっ!
「キュキュッVOWN!」
あっさり始動した。
エンジンはかかったが、この後の行動をZ80並みの計算処理速度で考える。
このまま無理くり立体駐車場に入れて、次回始動時に動かせないと目も当てられない。
また、立体駐車場という構造上、動かすためにアレコレやっている間は他の車の出し入れの障害となってしまうことが懸念される。
ということで、むかーし昔にお世話になっていた日産ディーラーへ電話をする。
症状を伝えたところ、とりあえず今日の今日での対応はできないが預かることは可能とのお返事。
ロードサービス業者さんに厚くお礼を申し上げて、始動したエンジンを絶対止めないよう、これまた10年以上ぶりにケンメリでディーラーへ入った。
以前担当された方はとっくに代替わりし、その後も何度か変わっていたが今度の新しい方に挨拶をし、営業の方からサービスフロントの方へ話をしたところ、なんとサービスの方が覚えてくださっていた(感激)
おそらくケンメリに乗ってるのはこの営業所管内で私だけだからかもしれないが、一縷の望みに託すとはまさにこういうことか。
ケンメリをディーラーに入庫し、徒歩にて帰路に着く。
帰りしな、目につく駐車場を見て周り、めぼしいところがないかを探す。
タイヤサイズを変更した際に外径が変わることを考慮しなかった自業自得の結果を重く受け止めながら、ロードサービスの方からもらったミネラルウォーターを口に含んで思い出深い納車日を終えるのだった。