預けていたケンメリを引き取りに・・・
と言っても現在は午前0時過ぎ。
ショップの社長の軽トラに揺られてお店に向かっている途中である。
今週は夜勤のため夜中の0時ごろに帰宅。
そのタイミングで社長がわざわざ家まで迎えに来てくれて、そこからショップへ向かうという算段である。
深夜の都内の道路はさすがに交通量も少ない。
快適に走れる反面、交通量の少なさのせいか信号無視をする歩行者などがかなり目立つ。
そんな意識の低い彼らに憂慮しつつ社長とため息を漏らす。
学生が夏休みに突入したせいか、大通りのあるこの辺りはそこかしこに覆面パトカー
や白黒パトカーが駐機、巡回しているようだがこうした歩行者の信号無視に関してはスルーの方向のようだ(罰金取れないから?)
環七を北上し豊島区辺りを走っていると少々渋滞。
赤色灯の光るのを後方より視認し近づくと進行方向とは逆方向のこちら側に
歪んだポルシェが顔を向けていた。その周辺にはガラスが散乱。
事故のようだ。
車線の合流に従いつつその脇を通過。
そこを抜けたあとは特に渋滞などもなくお店までスムーズに到着。
ショップの出口に程近い場所に見覚えのある車がたたずんでいた。
とね号でした。
しっかりと洗車されたボディ、ホイールまでピカピカ。
その隙間から覗くローターも研磨されてフラットなシルバー色をちらりと覗かせる。
「今回はアイドリングの回転数を低く設定しておいたよ」
そう説明を受ける。
これまでは1000回転だったのを800回転ほどに落としたとのこと。
そうすることで何が変わるかは自分で体験してみて・・・との宿題だったはずだが
すぐに聞いてしまう当方はある程度の答えを教えてもらった。
ただ聞くのと体感するのとでは違うのでこの結果はおいおい判明するだろう。
蚊の襲撃を軽く受けながら一通りの説明を受けケンメリに乗り込む。
セルを回すとがくんとケンメリが揺れた。
ギヤが1速に入ったままなのを確認せずに回した結果だ。
社長が苦笑い。
気を取り直しクラッチを踏んでギヤをニュートラルにし
再度セルを回す。
当然一発でエンジン始動。
タコメーターの針は確かに1000より少し下を指している。
窓を全開にしてしばしアイドリング。
「どんなに遅くてもいいから、家に付いたら必ず電話してよ」
とお気遣いいただきつつ、お店を出発。
久しぶりのケンメリドライブだ。
深夜なので下道で帰ってもスムーズにいけるはず。
そう思って店から数mのところで道路工事に遭遇。
「あちゃー、Uターンするか・・」
と思いつつ、念のために誘導員の人に聞いてみたら通行可能とのこと。
安心して先へ進む。
窓全開のせいか多少の粉塵が車内に入ったがその後の加速で全て出て行ったと信じたい。
店に出した後は必ず絶好調、いや普段の自分の乗り方がショボくて好調なのを
不調にしてしまっているんだろうが、やはりこの瞬間は全てにおいて快適に
走れる瞬間である。これを維持できるようなドライビングテクニックを身に着けたいが
かれこれ足掛け8年(ショップに入れてからは3年?)経つがまだまだ未熟者である。
信号のタイミングが合わずに折々で止まってしまうことに多少の苛立ちを
覚えつつ、なんとか環七まで到達。
こちらにも端々に路駐している白黒の車が見受けられる。
ある程度の流れに乗って・・・と思いきや真ん中車線はトレーラー、
左車線は客拾いのタクシーがのんびり走っており、こちらの速度との差を感じる。
トレーラーの鈍重さを交わしてタクシーの後ろに付くと、タクシーの速度ダウン
に合わせるかのようにトレーラーが加速。結果としてトレーラーの後方を走っていた車が
当方のはるか前方にいるという自分の道路状況の読めなさっぷりを恥じ入る。
タクシーの左折により状況が変わったかと思いきや、今度は巡航速度ぎりぎりで走っている
車に頭を悩まされることに。
追い越したくても隣はトラック。
こういう状況下でストレスとカーボンが溜まるのはいかんともし難いところ。
すばらしい競演のあとは陸橋(自動車専用)道路を自転車で走る馬鹿登場。
夏休みだからかチャレンジ精神旺盛な彼はトレーラーなどがばんばん通る中
回避スペースのない陸橋を悠然と走っている。
その先の赤信号も当然のように無視して走り抜けていった。
往路で遭遇した信号無視の歩行者もそうだが、こうした行為の代償は間違いなく
自分の命で支払うこととなるだろうが、その時まで気づかないんだろうなあと思ってみたり。
多少前方が空いてきたが先ほどのポルシェの件もあるのであまり調子に乗らず
むしろ鈍っている判断能力を回復させる意味も込めて(国庫に無用のお布施を
したくもないので)
マイペースで巡航。
ほぼ地元まで到達したところ、ふいに目の前を走るタクシーが斜線をまたいで左折。
(三車線あるうちの真ん中から左折)
当然、左車線にいる車から激しいクラクション。
以前もこういう光景を見たが、かれらは仕事のためには交通法規を無視してもかまわないという
マイルールでもあるんだろうか?
マナーやルールを守って職務に就いている他のタクシー乗務員さんも多いはずだが
そうでないのも相変わらずいるんだなあと深夜の通りでは痛感することが多い。
環七から小道に入り、自宅を目指す。
挙動の怪しい「わ」ナンバーの車をかわして自宅へ向かう。
例によって駐車場へ通じる道は工事により通行止め。
数年前から掘ったり埋めたりの繰り返し。
既に文句を言う気もなく迂回ルートを通って駐車場へ。
駐車場への道でもかなり年配の誘導員がこちらを見て思い出したように
誘導棒を振るのを見てやや切ない気持ちになりつつ、無事に到着。
当然深夜なので即座にエンジンを切る。
そのまま携帯電話を取り出し社長に連絡。無事到着の報告をする。
ボンネットを開けた時にステーのさわり心地が違うことに気づく。
他にも良く見ると綺麗になっている場所がちらほら。
こちらからやってくれと指定したわけではないのにこうした気配りが
大変嬉しく思う。
素人ながら各部をチェックした後、静かにボンネットを閉めてボディカバーをかける。
綺麗に折りたたまれたボディカバーはするすると広がりケンメリを包み込む。
久しぶりにケンメリの止まっている風景を数秒見つめた後、自宅へ戻った。