遠州育ちの自分は蜜柑と言うものには特別思いではない、生まれ育った村でも蜜柑の出荷があり、色着きの悪い物、皮が綺麗でない物や小さな物は幾らでも手に入った、寒さが深まる頃は近くの農家から貰った蜜柑が常に竹笊に入れて置かれていた、遊びに行く時に学生服のポケットを一杯に膨らませて行ったし、夜は本を見ながらずっと食べ続けていた(未だ家にはTVは無くラジオだった)日曜は火鉢にへばりついて蜜柑と落花生を食べた、蜜柑は余り食べ過ぎると手が黄色くなる、皮の色が移ったのかもしれないが母親からは「食いすぎだ、顔まで黄色になっている」と言われたが本当だったのか。夏蜜柑も有ったが此れは上下半分に切って餅焼きに載せて上から砂糖を置く、そうすると砂糖が美味い具合に溶けて其れをスプーンで食べる、此れは母親がやっていたのが他に村では聞いた事は無かったな、自分は熱くて味が解からなかったし第一まだるっこしいのであまりやらなかった、どちらかと言えば思い出すのは落花生の方で火鉢の藁灰に半分埋まった炭の上に殻を乗せてゆくと煙も出さず綺麗に灰になってゆく、落花生も美味かったがこの映像がずっと頭に残っているが今では火鉢も藁灰もないし、家の密閉性が良くなって下手をすると一酸化炭素中毒に成りかねない、日当りの良い縁側の有る室で火鉢を置いてどてらでも背負って丸くなって落花生を食べて見たい様な気がする、余談だが殻付を落花生、茶色の渋皮のあるものを南京豆、其れをとったものをピーナッツと言うと言うのは本当だろうか、いずれにしても最近は歯が悪くなって余り食べられないのが残念だ、