なぜか裁判所とは仲が良いので、このあたりにはよく来ていて、店に入ると法曹界の人間に間違われたりしたんですが、最近は少しご無沙汰してました。隣にあった立ち飲み系の店も別の店に入れ替わっていたし、少しご無沙汰ではなくてそれなりにご無沙汰したことが分かる。
店については、余り説明する必要がないと思いますが、西大橋にある『空芯』のスー・シェフが独立して開業された店です。
カウンターに着席して、いつものようにトリビーを頼んで、シェフと一言二言会話した後に、カウンターに並べられたのがこの六皿です。度肝を抜く斬新な演出であると同時に、シェフが一人でこの席数の料理を作ることを考えれば、これは良い方法なのかもしれません。食べる順番に迷ったりしたんですが、一気に並べてみせると言うことは、食べる順番は客側に任されていると言うことなので…。
まずはこれ。タコの和え物です。タコは水蛸らしいです。タコのプニュっとした食感と、ネギのシャキシャキ感が対応していて、それだけで心が奪われます。ネギは、うどんとかに入れられていると単なる脇役で飾り物のように思ってしまうんですが、ネギありとネギなしでは表情がころりと変わってしまうほど秀逸なスパイスでもあります。とはいえ、今回の値切って、なんか秘密のテクニックを使ったんじゃないかと思われるほど香りが際立っていて、それだけで興奮してしまいそうです。
続いては鰆です。さわらって、春の魚と書くんですが、メンソール的には鰆の旬は秋~冬だと思ってます。旬というのは、収穫量が最大になる時期と、味が最高になるときの二つの意味があって、多くの場合、この二つは重なっているんですが、たまにずれている場合があって、鰆の場合は関西での漁獲量が最大になるのが春。脂が乗って旨くなるのは秋から冬にかけてだと思っています。
前置きが長くなりましたが、鰆です。鰆の造りなどは、舌の上で溶けてしまうような感覚があります。今回は、そうした感覚を残しながらも、ジャスミンティで香りをつけて仕上げたものになっていました。
紹興酒です。茶壺と言うらしいです。女児紅といって、女の子が生まれたら紹興酒を作って地中に埋め、嫁入りの時に持たせるんですが、このエピソードって中華料理の厨師でもない限り知らないはずのマニアックな話題らしくって驚かれてしまいました。飲兵衛なら当然知っているうんちくだとは思うんですが…。
車エビの紹興酒煮込みです。よくあるメニューだと思うんですが、紹興酒の味とも香りともつかないものが、脳天まで突き抜けました。すごいという言葉しか出ませんでした。鮮烈です。
上に乗せられているのはナッツ類の飴煮です。下が分かりにくいとは思いますがフォアグラです。ナッツ類もフォアグラも、脂分を多く含んでいるんですが、ナッツの方は飴煮にしてデザート的に、フォアグラの方は少し酸味をきかせて甘酸っぱい感じに仕上げてあります。正直なところ、このような味わいのフォアグラは初めてです。少し赤ワインを感じるんですが、酸味はワインビネガーではなくて黒酢かなという感じです。シェフに確認したわけではないので正しいかどうかは分かりません。もう少し、シェフといろいろ話をしたいところなんですが、そろそろ満席になってきて、それもままならないのが少し残念なところです。
上は豚肉。見て分かる通りでロースト・ポーク風。下は万願寺唐辛子で、青椒肉絲をイメージしたらしいです。余りに斬新な発想なので、タケノコはどこにあるのかと突っ込むことさえ忘れてしまいました。通常の青椒肉絲に比べて、それほど脂っこくなくあっさりとした食感です。出汁で軽く煮た満願寺唐辛子にロースト・ポークを合わせたんでしょうか?。
これは、この日、一番感激した料理の一つです。上に乗っている緑色のものは海苔です。確か静岡産だったと聞こえたんですが、なぜか、カウンター席でもシェフの声は聞こえにくいです。こちらからの声は聞こえてるみたいなんですが…。下が問題なんですが、ピータンを揚げたものだそうです。ピータンと言えば、櫛切りにして丸く並べて醤油&辛子で食べる以外には、中華風冷や奴と称してピータンとザーサイを刻んで豆腐の上に乗せるくらいしか経験してこなかったので、まずピータンを揚げるという発想に脱帽です。ちょっと残念だったのは、海苔の味と香りは鮮烈で、体中を駆け巡ったんですが、ピータンが余りピータンぽくなかったところ。ピータンというのは、簡単に言ってしまうと卵をアルカリで処理したみたいなもので、タンパク質がアミノ酸に分解されて、独特の味わいになる訳なんですが、その味わいがカバーされてしまっているような感じ。逆に言えば、ピータンの独特の味わいが苦手だという人でも、問題なく食べられてしまうと言うところはあると思います。
最初に並べられた六品の最後は、ヨダレ鶏です。鶏肉も旨いんですが、それを凌駕してソースが旨いです。なんともいえない、ほのかな甘みと甲殻類のイメージがあったので、XO醤かと思ったんですが、XO醤は使っていないらしいです。複雑で不思議な味わいでした。普段、白飯は食べないんですが、白飯がほしくなりました。
イメージしたのは大根饅頭らしいです。ということで、下側の四角いものは大根です。上にあるのはサンマのほぐし身。大根饅頭のようにサンマを包んでしまわずに、上下二段で仕上げたものだと思われます。なんとなくなんですが、普通ならば合わせてしまう食材を合わせずに、分けておくことで、それぞれの食材の特長を生かし切っているような気がします。フォアグラとナッツの飴煮、揚げピータンと青海苔などもそうです。
説明はいらないと思いますが、空心菜の塩茹でです。
こちらはエビチリです。奥にあるのがエビ、手前にあるのはイチジクです。シェフからの説明があったんですが、聞き取れなかったです。残念です。
これも説明はいらないと思います。黒酢酢豚です。実はメンソールは、唯一と言って良いと思いますが黒酢が苦手なんですが、この黒酢は旨かったです。
説明不要だと思いますが、麻婆豆腐です。食べているときにはそれほど辛くはなく、それほど痺れることもないんですが、徐々に汗がにじみ出してきて、舌が痺れてきます。華椒はたぶん、粉末と丸ままを混ぜて使ってるんじゃないかと思います。たまに華椒が口の中ではじけるんですが、その頻度以上に痺れがくるので…。麻婆豆腐には、白飯が添えられます。
デザートは芝麻球です。
さて、大変おいしくいただきました。2015年も、いろいろな店に行きました。12月にも何軒か行くと思いますが、間違いなく2015年の最高の店、最高の経験でした。いつかまた、再訪したいと思います。
ワインの取りそろえもかなりあるらしいんですが、日々、入れ替わるらしいので、ワインリストはシェフの頭の中にだけあるようです。次回、くるときにはワインかなと思ったりはしています。正直なところ、ワインで中華料理というのは何度か試したことがあるんですが、どれもしっくりきませんでした。でも、ここの中華料理ならワインと合うのかもしれないという冒険心ですね。
(店 名) 月泉
(ジャンル) 中華料理
(所 在 地) 大阪市北区西天満1-6-4
(電 話) 06-6366-0055
(営業時間) 11:30-14:00(月~金)、18:00-21:00(月~土)
(定 休 日) 日曜日
(予 算) 6,000円くらい。飲兵衛だと8,000円くらい。
(席 数) カウンター6席、テーブル12席。
(カ ー ド) 不可
店については、余り説明する必要がないと思いますが、西大橋にある『空芯』のスー・シェフが独立して開業された店です。
カウンターに着席して、いつものようにトリビーを頼んで、シェフと一言二言会話した後に、カウンターに並べられたのがこの六皿です。度肝を抜く斬新な演出であると同時に、シェフが一人でこの席数の料理を作ることを考えれば、これは良い方法なのかもしれません。食べる順番に迷ったりしたんですが、一気に並べてみせると言うことは、食べる順番は客側に任されていると言うことなので…。
まずはこれ。タコの和え物です。タコは水蛸らしいです。タコのプニュっとした食感と、ネギのシャキシャキ感が対応していて、それだけで心が奪われます。ネギは、うどんとかに入れられていると単なる脇役で飾り物のように思ってしまうんですが、ネギありとネギなしでは表情がころりと変わってしまうほど秀逸なスパイスでもあります。とはいえ、今回の値切って、なんか秘密のテクニックを使ったんじゃないかと思われるほど香りが際立っていて、それだけで興奮してしまいそうです。
続いては鰆です。さわらって、春の魚と書くんですが、メンソール的には鰆の旬は秋~冬だと思ってます。旬というのは、収穫量が最大になる時期と、味が最高になるときの二つの意味があって、多くの場合、この二つは重なっているんですが、たまにずれている場合があって、鰆の場合は関西での漁獲量が最大になるのが春。脂が乗って旨くなるのは秋から冬にかけてだと思っています。
前置きが長くなりましたが、鰆です。鰆の造りなどは、舌の上で溶けてしまうような感覚があります。今回は、そうした感覚を残しながらも、ジャスミンティで香りをつけて仕上げたものになっていました。
紹興酒です。茶壺と言うらしいです。女児紅といって、女の子が生まれたら紹興酒を作って地中に埋め、嫁入りの時に持たせるんですが、このエピソードって中華料理の厨師でもない限り知らないはずのマニアックな話題らしくって驚かれてしまいました。飲兵衛なら当然知っているうんちくだとは思うんですが…。
車エビの紹興酒煮込みです。よくあるメニューだと思うんですが、紹興酒の味とも香りともつかないものが、脳天まで突き抜けました。すごいという言葉しか出ませんでした。鮮烈です。
上に乗せられているのはナッツ類の飴煮です。下が分かりにくいとは思いますがフォアグラです。ナッツ類もフォアグラも、脂分を多く含んでいるんですが、ナッツの方は飴煮にしてデザート的に、フォアグラの方は少し酸味をきかせて甘酸っぱい感じに仕上げてあります。正直なところ、このような味わいのフォアグラは初めてです。少し赤ワインを感じるんですが、酸味はワインビネガーではなくて黒酢かなという感じです。シェフに確認したわけではないので正しいかどうかは分かりません。もう少し、シェフといろいろ話をしたいところなんですが、そろそろ満席になってきて、それもままならないのが少し残念なところです。
上は豚肉。見て分かる通りでロースト・ポーク風。下は万願寺唐辛子で、青椒肉絲をイメージしたらしいです。余りに斬新な発想なので、タケノコはどこにあるのかと突っ込むことさえ忘れてしまいました。通常の青椒肉絲に比べて、それほど脂っこくなくあっさりとした食感です。出汁で軽く煮た満願寺唐辛子にロースト・ポークを合わせたんでしょうか?。
これは、この日、一番感激した料理の一つです。上に乗っている緑色のものは海苔です。確か静岡産だったと聞こえたんですが、なぜか、カウンター席でもシェフの声は聞こえにくいです。こちらからの声は聞こえてるみたいなんですが…。下が問題なんですが、ピータンを揚げたものだそうです。ピータンと言えば、櫛切りにして丸く並べて醤油&辛子で食べる以外には、中華風冷や奴と称してピータンとザーサイを刻んで豆腐の上に乗せるくらいしか経験してこなかったので、まずピータンを揚げるという発想に脱帽です。ちょっと残念だったのは、海苔の味と香りは鮮烈で、体中を駆け巡ったんですが、ピータンが余りピータンぽくなかったところ。ピータンというのは、簡単に言ってしまうと卵をアルカリで処理したみたいなもので、タンパク質がアミノ酸に分解されて、独特の味わいになる訳なんですが、その味わいがカバーされてしまっているような感じ。逆に言えば、ピータンの独特の味わいが苦手だという人でも、問題なく食べられてしまうと言うところはあると思います。
最初に並べられた六品の最後は、ヨダレ鶏です。鶏肉も旨いんですが、それを凌駕してソースが旨いです。なんともいえない、ほのかな甘みと甲殻類のイメージがあったので、XO醤かと思ったんですが、XO醤は使っていないらしいです。複雑で不思議な味わいでした。普段、白飯は食べないんですが、白飯がほしくなりました。
イメージしたのは大根饅頭らしいです。ということで、下側の四角いものは大根です。上にあるのはサンマのほぐし身。大根饅頭のようにサンマを包んでしまわずに、上下二段で仕上げたものだと思われます。なんとなくなんですが、普通ならば合わせてしまう食材を合わせずに、分けておくことで、それぞれの食材の特長を生かし切っているような気がします。フォアグラとナッツの飴煮、揚げピータンと青海苔などもそうです。
説明はいらないと思いますが、空心菜の塩茹でです。
こちらはエビチリです。奥にあるのがエビ、手前にあるのはイチジクです。シェフからの説明があったんですが、聞き取れなかったです。残念です。
これも説明はいらないと思います。黒酢酢豚です。実はメンソールは、唯一と言って良いと思いますが黒酢が苦手なんですが、この黒酢は旨かったです。
説明不要だと思いますが、麻婆豆腐です。食べているときにはそれほど辛くはなく、それほど痺れることもないんですが、徐々に汗がにじみ出してきて、舌が痺れてきます。華椒はたぶん、粉末と丸ままを混ぜて使ってるんじゃないかと思います。たまに華椒が口の中ではじけるんですが、その頻度以上に痺れがくるので…。麻婆豆腐には、白飯が添えられます。
デザートは芝麻球です。
さて、大変おいしくいただきました。2015年も、いろいろな店に行きました。12月にも何軒か行くと思いますが、間違いなく2015年の最高の店、最高の経験でした。いつかまた、再訪したいと思います。
ワインの取りそろえもかなりあるらしいんですが、日々、入れ替わるらしいので、ワインリストはシェフの頭の中にだけあるようです。次回、くるときにはワインかなと思ったりはしています。正直なところ、ワインで中華料理というのは何度か試したことがあるんですが、どれもしっくりきませんでした。でも、ここの中華料理ならワインと合うのかもしれないという冒険心ですね。
(店 名) 月泉
(ジャンル) 中華料理
(所 在 地) 大阪市北区西天満1-6-4
(電 話) 06-6366-0055
(営業時間) 11:30-14:00(月~金)、18:00-21:00(月~土)
(定 休 日) 日曜日
(予 算) 6,000円くらい。飲兵衛だと8,000円くらい。
(席 数) カウンター6席、テーブル12席。
(カ ー ド) 不可