CubとSRと

ただの日記

習った記憶はあるけれど、結論が正反対。

2020年06月30日 | 重箱の隅
2015.12/17 (Thu)

いきなり転載です。

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 ~~油椰子はアフリカが原産地だ。(英国は)ゴムもまたブラジルから盗んできた。
 英国はマレー人や苦力(クーリー)を入れて熱帯雨林を切り拓き、錫を掘り、ゴムと椰子を植えた。マレーの景色は一変した。
 マラッカの近くにわずかに残ったマレーの面影を詩人金子光晴が詠っている。「川辺の木立が燃えていた」と。現地語でカユアピアピ。蛍が群れ、木そのものが輝くさまを言う。
 先週、その道を再び車で下った。国境からの道はまっすぐな4車線に拡幅され、森もジットラの土塁も消えていた。日本軍の戦いの跡は名残もなかった。最初の油椰子の森は昔のままだったが、その隣にあったゴム林がいつまでも現れない。句読点のような青い池も見えない。ひたすら椰子畑が続いていた。
 ゴムは人手がかかる。採取は樹液の分泌が最も盛んな夜明けに行われる。
 ただ雨が降ると総て無駄になる。缶に集めた樹液に雨水が入ると商品価値が失われるからだ。重労働の上にそういうロスも多い。
 その点、椰子油はいつ収穫してもいい。雨が降っても構わない。それに最近はゴムより値がいい。ゴム林が減って椰子畑に変わった理由がそこにある。
 事実、椰子油の需要は高い。ヘットとかラードとかの動物性油脂を受け付けないイスラム圏の需要の伸びも大きい。マレーシアではディーゼル車の燃料にもしている。
 同じ植物油の菜種油や大豆油より安い。日本も年間60万トン近くを輸入してアイスクリームからマーガリン、化粧品に至るまで広範に使われている。
 売れるから油椰子の作付けが広がる。その当たり前に先日のニューヨーク・タイムズが社説で因縁をつけていた。

「熱帯雨林を破壊し、温暖化を促し、生物多様性を損なっている」
「椰子油はコレステロールを増やす」という説も米国はしきりに流している。
 椰子油はやめた方がいい、とこの新聞は主張する。
 しかしマレーシア当局の見解は違った。米国産の大豆油は「ヒトに悪い不飽和脂肪酸」を含んで売れ行きが落ちている。「自国の大豆生産者からカネを貰っての偽りのキャンペーンをやっている」と見る。
 同紙は少し前にも「米国は黒人奴隷で恥じることはない」「アフリカが黒人奴隷を売っていたから買っただけだ」というハーバード大学の先生の主張を載せた。
 自国のためならどんな歪曲もする。「米有力紙」の程度はこんなものだ。

                        転載了

    「ニューヨーク・タイムズは大豆油が好き」

        「習近平よ、『反日』は朝日を見倣え」(高山正之) 新潮社刊から

 註)  ジットラ→ジットラ・ライン
     日本軍の進攻を阻むために英国軍が作った防衛線。文中、英将パーシバルは「これで日本軍を3か月は食い止められる」としたが、現実には一日で破られ、あとの2か月間は敗走を重ね、降参したとある。

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 「プランテーション」、って習いましたよ、確かに。「大規模農業」、じゃなかった「大農園農業」、でしたっけ。
 発展途上国(昔は低開発国、と言ったけど、「それは失礼だろう」ということで、言い換えましたね。これも姑息だけど)に西欧諸国が「教えた」単一作物の大規模栽培。ここでしかできないから、効率が良いし儲かる、とかなんとか。
 そういうことを、「何故そうして(なって?)いったのか」という理由説明は全くなく、気候や土質等の「地理」としてしか習わないわけで。

 歴史の流れから見れば、これは「植民地政策とは何か」を雄弁に物語る第一級の資料なわけです。でも、習わないまでもそちらから見るためのヒントだけでも示されていたら、と今になって思います。
 そして、もう一つ気づかされたのは、「新聞」というメディアの認識の仕方です。昔の家では本と同じく新聞紙を踏んだりしたら叱られたものです。そのわりに古新聞は雑多な使われ方をしていたんですが。
 でも、「新聞」というくらいで、「新聞」、新しい間は大事にされていた。まずは国民はそこに書かれている内容を信じていた。
 「新聞とは事実が書かれ、事の仕組みが詳らかにされ、考えを深めさせてくれるもの。世界中の新聞ってのはみんな同じなんだ」と。
 そこまでいかずとも5W1H、客観的事実はまちがいないんだ、と。
 けど、そうじゃないんですね、自己弁護と金のにおいに敏い。間違いを決して認めようとしない。そして、日本のあの「大」新聞もやっぱりそうじゃなかった。

 そうは言っても、やっぱり新聞には「社会の木鐸」という矜持は持ってほしいですよね。


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