今月3日からスタートした版画個展、『日本の野鳥』 in 本郷も13日に無事会期が終了しました。師走のご多忙の中、ご来場いただいた方々、版画作品をご購入いただいた方々ありがとうございました。感謝します。
今回、東京での版画個展としてはひさびさで、初めての画廊ということもあり、会場にできるだけつめたのですが連日来場される方は途切れることがなく、個展リピーターの方のみならず初めて僕の作品を観るという方々や飛び込みの方々も多く、刺激的で楽しい会期を過ごすことができました。これも機会を与えてくださった25年来のお付き合いとなるギャラリーのTオーナー、そして気持ちよく在廊させていただいたスタッフのみなさんのおかげだと思っています。Tさん、以前からお声をかけていただきながらタイミングが合わず初個展開催までこんなに時間がかかってすみませんでした。
画家でも版画家でも発表に向けて作品を作り続ける行為は土中のセミの幼虫に似ていると常々思っています。長い時間をひたすら耐えて制作し、いざ発表したかと思うと会期は一瞬にして時の流れに過ぎ去っていきます。このことは卵から7年間という長い歳月を過ごし、ようやく成虫に羽化したかと思ったら盛夏のわずかな時間を精一杯生きて燃焼していくセミの姿にどこかイメージが重なるのです。
来年は夏からまた絵画と版画の発表が東京、新潟、大阪と続きます。夏までまたカフカの『変身』の主人公のようにセミの幼虫に変容しつつ、コツコツと土の中にトンネルを掘るような制作の毎日が続きます。ブログをご覧のみなさん、またいずこかの画廊空間で作品を通した一瞬の素敵な出会いを楽しみにしています。では、それまで。
画像はトップが外の通りからウィンドウ越しに見た会場。下が左から会場中央からの展示壁面、臼にガラス板を乗せた独特のテーブルの中に展示した木口木版画の版木と道具、帰り道に東大キャンパスを抜けて上野駅まで歩く途中に観た不忍池の夜景。