農業者の高齢化や人口減少による労働力不足が課題となっており、持続可能な農業経営・生産を行っていくための「多様な人材が活躍できる体制づくり」が急がれています。
そこで、株式会社一苺一笑の佐藤拓実代表取締役を講師に、女性を中心とした農場運営の実践事例を通して、従業員が働きやすく、自主的に行動する職場環境や体制づくりについて学び、考える研修会を3月13日に美里農業改良普及センターを会場に開催しました。
はじめに、「女性のみで運営するいちご農園~働きやすい環境整備とアイディアに耳を傾ける経営~」と題して、平成30年1月に仙台市内に開園した観光農園における取り組みを中心に事例を紹介いただきました。
仙台農場は、段差が少なく台車移動しやすいコンクリート製の床や、常設の多目的トイレ・更衣室等が整備されているなど、設計段階から「女性のみで運営する」ことを考えて作られたとのことでした。また、いちご栽培未経験者や子育て中の人が働きやすいよう、ICTを活用して山元農場から遠隔で栽培環境等が確認できるシステムの開発や、従業員のニーズに応じた勤務体制の実現など、ハード・ソフトの両面で「働きやすい」環境整備が行われています。
さらに、従業員会議等で提案・取りまとめた意見・要望をほぼ全て反映させるとともに、佐藤代表取締役から従業員に対して要求を伝えるなど、相互の関係づくりに取り組んでいるとのことでした。
次に、普及センター職員がモデレーターとなり、事例紹介の内容についての質疑応答や意見交換を行うトークセッションを行いました。参加者からは「収穫・選果・出荷アプリなど、新しい業務やしくみを導入する際の従業員の反応は?(どのように円滑にすすめているか?)」や「女性のみ又は女性が大多数を占める職場で注意している点は何か?」といった質問やそれぞれの経験に基づく意見が出され、時間が足りないほどでした。
普及センターでは、今後も研修会等を通じて女性農業者を含む多様な担い手の確保と資質向上及び活躍を支援します。
<問合せ先>
美里農業改良普及センター 地域農業班 TEL 0229-32-3115、FAX 0229-32-2225