宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

炭素原子をとらえる望遠鏡

2013年09月11日 | 宇宙 space
今年の4月に行われたアルマ望遠鏡の試験観測。
この観測で日本が開発したサブミリ波受信機が、初画像を得ることに成功したんですねー
星雲中心部の炭素原子の分布が、画像では詳細に描かれています。

アルマ望遠鏡の試験観測は、国立天文台が開発した3つの受信機のうちのひとつ、サブミリ波受信機で行われました。

観測の対象となったのは、さそり座の惑星状星雲“NGC 6302”で、
中心の星の周りに広がる炭素原子が放つ周波数492GHzの電波をとらえています。

複数のパラボラアンテナにより高分解能画像を得られる電波干渉計で、この周波数の電波画像が得られたのは今回が初めてのこと。
アルマ望遠鏡によって炭素原子の分布が、これまでよりもずっと詳細に知ることができる っと期待されているんですねー




アルマ望遠鏡が観測した
“NGC 6302”の中心部の
中性炭素原子の分布
(右画像の黄色部分)
左はハッブル宇宙望遠鏡による
可視光像
その下はアルマ望遠鏡観測から
得られた中性炭素原子の
スペクトル



“NGC 6302”は、太陽の数倍の質量をもつ星が、
一生の最期にガスを噴き出してできた惑星状星雲です。
可視光で見ると(画像左上)、
星から蝶の羽のような形に噴き出した高温のガスが輝いているのが見えます。

過去の観測からは、この星雲の中心部にある星の周りを、ガスと固体微粒子でできた円盤が取り巻いていることが分かっていて、
今回の観測でも、炭素原子が狭い範囲に集中して分布しているようすがとらえられました。

炭素原子は、水素原子や酸素原子などと反応して、さまざまな複雑な分子を作ることができます。

なので、炭素原子の分布を詳しく調べていくと、
この星雲内で起こっている、様々な分子の合成反応を解き明かせるかもしれないんですねー