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モバライダー mobarider

ブラックホールにも、草食系や肉食系がある?

2013年09月19日 | ブラックホール
ひじょうに活発な銀河中心ブラックホールに見られるガスジェット。
このガスジェットが、活動が穏やかなタイプのブラックホールにも小規模ながら存在することが分かったんですねー
おとめ座の“ソンブレロ銀河”可視光像(左上)、その中心ブラックホールからのガスジェット(左下)、右はブラックホールの周辺構造
おとめ座の“ソンブレロ銀河”可視光像(左上)、その中心ブラックホールからのガスジェット(左下)、右はブラックホールの周辺構造
多くの銀河の中心部には、太陽の約100万~100億倍もの超大質量ブラックホールがあることが知られています。

こうしたブラックホールの一部には、重力で物を吸い込むと同時に、光速に近いガスジェットを数千~数万光年にもわたって噴出するものがあり、きわめて高いエネルギー現象として知られています。

こうした分かりやすい「肉食系」ブラックホールに対して、多数派である「草食系」ブラックホールは活動が弱いので、これまで、ガスジェットをとらえることが難しかったんですねー

今回の研究では、国立天文台水沢VLBI観測所のチームが、全米10台の電波望遠鏡を組み合わせて利用。
おとめ座の方向約2900万光年彼方のソンブレロ銀河“M104”を詳細に調べています。
そう、ソンブレロ銀河の中心部には、巨大質量の「草食系」ブラックホールがあるんですねー

研究では、1度角の約2600万分の1という高解像度での観測を行い、光を含め全てのものがブラックホールの重力で飲み込まれる境界“シュバルツシルト半径”の、わずか数十倍程度の領域にまで迫っています。

その結果、全長1光年程度の小規模なガスジェットが、ブラックホールの南北に噴出するようすがとらえられ、「肉食系」だけでなく、「草食系」ブラックホールにもガスジェットが存在することが初めて分かったんですねー
この観測では他にも、ジェットの速度や立体的な噴出方向まで明らかになっています。
活動レベルにより肉食・草食・絶食の3タイプに分けられる銀河中心ブラックホール。
活動レベルにより肉食・草食・絶食の3タイプに分けられる銀河中心ブラックホール。
天の川銀河の中心ブラックホールのように、さらに活動が弱い「絶食系」にもジェットが存在するのか?
ジェットの噴出が起こる詳細なメカニズムは?
などを解決する上でも、今回の成果は重要な手がかりとなるようです。

そして、ブラックホール本体の直接撮像の実現へ…  実現すれば凄いことになりますねー