宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

重力レンズ現象を利用した遠方宇宙の観測

2013年09月28日 | 宇宙 space
この鮮明な画像は、
巨大銀河団“Abell 1689”をハッブル宇宙望遠鏡がとらえたもの。

銀河団の質量により向こう側の天体像がゆがむ、
“重力レンズ現象”を見ることができるんですねー


遠くのモノを大きくしてくれる力

おとめ座の方向約24億光年彼方の銀河団“Abell 1689”は、
そこに含まれる大質量によって生じる強い重力が、
光を曲げるレンズのような役割を果たしています。

このため、銀河団の向こう側に存在する
天体の姿を、拡大・変形して見せてくれるんですねー

この“重力レンズ現象”を利用すると、
非常に遠くの領域も調べられることになります。

ハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラで撮影した、
可視光線と赤外線データとを合わせた画像からは、
“Abell 1689”のようすが、これまでになく詳細に明らかになっています。

金色に輝く星の集まりや、
明るい個々の星、遠方の渦巻銀河などがあちこちに見え、
エレクトリック・ブルーの筋が画像中央の銀河たちを取り囲んだり、
弧を描いたりしているようすも見えます。

この筋は、
“Abell 1689”の大質量が起こす“重力レンズ現象”によって、
銀河団よりさらに遠方に存在する天体の像が、
ゆがんで見えているモノなんですねー

“Abell 1689”の重力レンズ効果は、
これまでにも様々な研究がされてきました。

2010年には銀河団の質量分布図が作成され、
本来は非常にとらえにくい、
ダークマターやダークエネルギーについて調べられれています。

また2008年には、
それまでで最も幼く明るい部類の銀河“A1689-zD1”が、
見つかっているんですねー

こうした重力レンズを利用した遠方宇宙の観測は、
ほかの多くの銀河団を対象としても計画されています。


重力レンズを使った成果

なお、今回の観測研究の主目的は、
銀河団内の球状星団について調べることでした。

“Abell 1689”全体に含まれる球状星団の総数が、
16万個以上になる可能性があることも分かっています。

これは、天の河銀河にある球状星団が約150個ということを考えると、
とてつもない数字…

これまで見つかっている中では、
もっとも多くの球状星団をかかえる銀河団になるんですねー


こちらの記事もどうぞ ⇒ 117億光年も彼方の銀河内部を見る方法