宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

宇宙で野菜を育てるプロジェクト “VEGGIE”

2013年09月27日 | 宇宙 space
国際宇宙ステーションで生活する宇宙飛行士に食料を届ける。

これには非常に高いコストがかかるため、
これを解決するのに、NASAでは“VEGGIE”というプロジェクトを進めているんですねー

宇宙に滞在するうえで最も難しい問題は、食料の確保だと言われています。

もちろん地球から食料を持ち込むことになるのですが、このコストが非常に高く、
国際宇宙ステーションに食料を運ぶ場合、約450グラムあたり約100万円もかかるそうです。

なので、NASAは宇宙への食料輸送問題を解決するため、
宇宙で野菜を栽培するプロジェクトを進めていて、これが“VEGGIE”になります。

NASAには、これまで宇宙での植物栽培研究の長い歴史があるのですが、
「無重力で植物の成長は、どのような影響があるのか?」、「人工的な光で植物は育つのか?」 など、そのほとんどが学術的な興味を目的にした研究でした。

これに対し“VEGGIE”は、
「宇宙で消費できる、食料としての植物を栽培する」 っという目的を持っているんですねー

宇宙での植物栽培実験に、高額な税金が投入されることに対しては、冷ややかな見解もあります。
でも宇宙での食料生産は、将来地球規模で起こる食料問題を解決する最終手段になる可能性もあります。
NASAでは将来的に、月や遠く離れた火星での栽培まで視野に入れているようです。

そして栽培植物の第1号として選ばれたのが、“アウトレジャース”という赤みがかった品種のレタス。
なぜかというと、このレタスは成長するのが非常に早く、
また有害な宇宙線対策に欠かせない抗酸化物質が大量に含まれているからです。

育てるのにそれほど空間を必要とせず、短期間で収穫でき、加工せずに消費できる。
これらが宇宙栽培に向いた植物の条件のようです。

なのでサツマイモやジャガイモは合格ギリギリ、小麦や米は最悪な種になるんだとか…
有力な候補は、ラディッシュや豆、トマトなどのようです。

さらに宇宙栽培植物には、ストレス解消、気分向上、肉体的・精神的疲労回復など、
食料確保以外にも大きな利点があるそうですよ。

風変わりな銀河団にある明るい渦巻銀河

2013年09月26日 | 宇宙 space
南天のポンプ座の方向、1億1000万光年の彼方にある銀河“IC 2560”。

ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した渦巻銀河“IC 2560”

銀河系から比較的近くに位置し、200以上の銀河が互いの重力によって集まっているポンプ座銀河団に含まれる渦巻銀河です。

この銀河団は、他のほとんどの銀河団とは異なり、その内部に支配的な銀河がない珍しい構造を持っているんですねー

画像では“IC 2560”の渦状腕と棒状構造が確認でき、
ひじょうに明るい中心核と、水素、ヘリウム、窒素、酸素などの特定元素の強い輝線スペクトルという特徴から、セイファート2型銀河に分類されています。

中心核の明るさは、中心にあるブラックホールを取り巻く降着円盤付近からのモノで、
ここから放出される、膨大な量の超高温ガスによるものと考えられているんですねー

あとポンプ座という風変わりな名前の由来は、フランスの天文学者ラカーユによるもの。
ラカーユは、神話の題材から星座を名付ける慣例に従わなかったんだとか…

科学研究などで使われる道具や機器から名前をとったので、
1756年に名付けた南天14星座の中には、ポンプ座の他に“けんびきょう座”や“らしんばん座”などもあるんですねー

新しい星が次々と生まれる巨大な領域

2013年09月25日 | 宇宙 space
さそり座の方向6000光年彼方にある散光星雲“IC 4628”は、
通称“えび星雲”とも呼ばれ、およそ250光年にわたってガスやチリが充満しています。

この新しい星が次々に生まれる領域は、空の中では満月の4倍もの広がりがあるのですが、
ひじょうに淡く、人の目で見える光はほとんど発していないので目立たない存在なんですねー
画像はこの目立たない領域を、南米チリにあるVLTサーベイ望遠鏡で鮮明にとらえたもので、
ガス雲の中には、無数の生まれたての星々が見えています。

これらの若く明るい星々は、見た目には青白く輝くのですが、
同時に強い紫外線も放射していて、
周りのガス雲の水素ガスを電離して赤く輝かせることになります。

こうした場所は“電離水素領域”と呼ばれ、この赤い色が「星のゆりかご」の目印になるんですねー

それに対して、星雲内部のところどころに見える暗い空洞のような箇所は、
高温の星の恒星風で星間物質が吹き飛ばされたあとだそうですよ。