宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

衛星“フォボス”への最接近は、質量と密度の調査のため

2013年12月26日 | 火星の探査
ヨーロッパ宇宙機関の火星探査機“マーズ・エクスプレス”が、2013年12月29日に、火星の衛星“フォボス”の表面から45キロを通過するフライバイを行います。


このフライバイは、これまで行ったものよりも20キロ以上“フォボス”に接近するんですねー

大きさがおよそ27×22×18キロほどの“フォボス”は、同じ火星の衛星“ダイモス”とは構造が異なっています。

“フォボス”が火星の衛星となった起源は、
  小惑星が火星の重力にとらえられて衛星となった。
  火星に天体が衝突した際の破片から生まれた。
などと考えられているのですが、まだ分かっていないんですねー
なので今後は、小惑星に見られる、がれきを寄せ集めたような“ラブルバイル構造”などを確認するため、内部の構造の調査が必要になります。

“マーズ・エクスプレス”は、2010年3月に“フォボス”の地表から67キロをフライバイ観測しています。

今回の観測は、さらにそれよりも接近することになるるのですが、
画像などの撮影ではなく、探査機が通過する際に“フォボス”の重力によって起きる、探査機の速度の変化を記録します。
そして、この記録から“フォボス”の質量や密度を割り出すことが目的なんですねー

すでに準備として、“マーズ・エクスプレス”は“フォボス”の画像をステレオカメラで撮影し、衛星の3D画像を公開しています。

また、“マーズ・エクスプレス”の位置を正確に補足するため、
ヨーロッパだけでなく世界の深宇宙通信施設は、総計35時間にわたって、“フォボス”へのフライバイ前後の“マーズ・エクスプレス”の追跡を行うことになっています。

“マーズ・エクスプレス”は2003年6月に打ち上げられ、12月26日に火星の軌道に到着しています。
観測活動は今年で10周年を迎えるんですねー

なので、今回は記念の年に行われるミッションになり、精密なミッションの成果に期待が集まっているそうです。

次の火星探査機は、初の西海岸から打ち上げ

2013年12月25日 | 火星の探査
ユナイテッド・ローンチ・アライアンスは、2016年予定のNASAの火星探査機“インサイト”を、アトラスVロケットで打ち上げることを発表しました。






火星探査機“メイブン”を打ち上げたアトラスVロケット




“インサイト”の打ち上げは、2016年にアリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地から、アトラスV 401型ロケットで行われることになります。

これまで、火星探査車“キュリオシティ”や、火星の大気を調べるために11月に打ち上げられた探査機“メイブン”など、NASAの火星探査機はすべて北緯28度のフロリダ州ケープカナベラル空軍基地から行われています。 なので、北緯34度のバンデンバーグ空軍基地からの打ち上げは初めてになるんですねー



“インサイト”探査機は、火星内部の調査を行う探査機です。

2016年3月に打ち上げられ、2016年9月火星へ着陸し、火星内部の熱の流れを調査するんですねー

地下をドリルで掘って機器を設置、
地下震動や温度変化などを調べ火星の内部構造を解明する予定です。
この計画は、将来の有人探査に欠かせない貴重なデータが得られると期待されているんですねー

国際宇宙ステーションは、船外活動で故障箇所を修理中

2013年12月24日 | 宇宙 space
現在、国際宇宙ステーションは、熱制御用外部排熱システムの故障で一部機器の電源を落として運用しています。
故障箇所は3回の船外活動で修理する予定で、1回目が12月21日から22日にかけて行われたんですねー

船外活動はアンモニア循環ポンプの故障を修理するためのもので、1回目は5時間28分かけて不具合が起きたループAアンモニア循環ポンプモジュールの取り外しが行われました。

取り外したポンプモジュールは350キロほどあり、新しいポンプモジュールは2回目の船外活動で取り付けられます。

ただ、23日に予定されていた2回目の船外活動は、
宇宙服に問題が見つかったので延期になったんですねー

宇宙服の問題は今年の7月に船外活動を行った際に、宇宙服の中に水が漏れるという事故が発生しています。
今回の問題は水漏れとは別のもので、1回目の船外活動でも水漏れは報告されていません。

2回目の船外活動は、予備の宇宙服に切り替えて24日に行われる予定です。

10億の星を立体地図に! 衛星“ガイア”打ち上げ成功

2013年12月23日 | 宇宙 space
ヨーロッパ宇宙機関の天体位置測定衛星“ガイア”が打ち上げに成功しました。
“ガイア”は今後5年間のミッションで、およそ10億個の恒星それぞれの位置や動き、性質などを調査することになります。
12月19日、フランス領ギアナのギアナ宇宙センターから、“ガイア”を搭載したソユーズロケットSTBが打ち上げられました。

打ち上げから約1時間半後、“ガイア”は管制センターとの通信確立や、遮光シールドを兼ねた太陽電池パネル展開などの始動シーケンスを完了。

太陽から見て地球の背後にある重力安定点“L2”へ、約20日間で移動し観測を始めます。

“ガイア”は天の川銀河全体の1%にあたる、およそ10億の恒星を70回前後観測し、1つ1つの位置や動きを測定。


測定データは、これまでで最も精度の高い星の3D地図を作るのに使われるほか、
銀河系の起源や構造、そして進化に関する重要な問題に取り組む際の基礎データにもなるんですねー

さらに、恒星の位置測定だけでなく、時間をおいた画像を比較することで、超新星や系外惑星、小惑星の新たな発見なども期待されているようですよ。

90億年前に星の誕生が急にとまった理由は?

2013年12月22日 | 宇宙 space
豊富なガスを材料に星が次々と生み出された宇宙初期。
この時期から、現在の銀河ように目立った星形成活動がほとんど見られなくなるまで、いつどのような変化があったのか?

これについて、銀河団に属する銀河の星形成が、90億年前に急激に停滞した。 という観測結果が発表されました。

“スピッツァー”が観測した遠方の銀河(中央の赤い点)

観測したのは、宇宙誕生から43~60億年経ったころの銀河団16個です。
NASAの赤外線天文衛星“スピッツァー”を用いたのですが、
これは、遠方の銀河団のものとしては、かなり大規模な観測になるんですねー

138億年の宇宙史の中で、比較的近代の銀河団を観測した従来の研究から、
銀河団に属する銀河は、宇宙初期に一斉に星を生み出したと考えられていました。

でも、今回の観測では、こうした銀河での星形成は瞬発的というよりも長期的なもので、これまで考えられていたより30億年後… 今から90億年前に急に停滞したことが分かりました。

“スピッツァー”と異なる波長の赤外線を観測する、ヨーロッパ宇宙機関の衛星“ハーシェル”を使った研究でも同様の結果が出ています。

この研究で宇宙誕生から40~100億年までの300個の銀河団を調べたところ、
銀河団に属する銀河は、90億年前を境に急に星形成をやめてしまっていました。

なぜ、星形成に急ブレーキがかかってしまったのか?
この疑問に対しては、以下のようなシナリオが考えられるんですねー

若く成長途上の銀河が群れをなす銀河団では、衝突合体も頻繁におこります。
2つの銀河の衝突が刺激となって、銀河中の低温ガスから星が爆発的に生み出されれば、星の材料が急激に消費されます。

また、銀河の中心にある大質量ブラックホールが、ガスをどんどん飲み込み、同時に噴出するジェットが周囲のガスを暖め、星形成を妨げるもとになります。

っということで、活発な星形成の時代から停滞の時代への移行は、驚くほど速やかだったようです。