「鯛の九つ道具」ってご存知でしょうか?
私は全然知りませんでした。
江戸時代の後期の出版された『水族写真』(奥倉辰行著)という書物の中に、詳しく説明がなされているのだそうです。
この本のことが書かれている本を見せてもらって
では、ともかく実際に見てみよう! というわけでタイを買ってきました。
マダイの大きいのは高価ですから、レンコダイです
上の写真に七つまでは、大体の存在場所と名前を書きました。
後の二つは、どの鯛にもあるというわけではないので、なかなか見つからないのだそうです。
では、それぞれのパーツの写真をお見せしますね。
まずは大龍(だいりゅう)です。
鯛の顔部分の骨です。
鯛の顔を、横からではなく正面から見ていると思ってください。
ちょっと見えにくいのですが、龍に見立てた骨の、おでこの部分の下に左右二つの穴があって、いかにも目のようなのです。
これは神経が通っている穴です。
横から見るとこんな形の骨です。
なかなか勇ましい感じがしませんか?
いかにも、雲に乗って空を飛んで行きそうです。
そこからちょっと下に、左右に一個ずつの丸っこい骨があって、これは鯛石(たいせき)といいます。
つまりは耳石で、私たちの耳の奥ににあるのと同じような働きをします。
平衡感覚をつかさどっています。
そして胸鰭の下のところにあるのは、お馴染みの鯛中鯛(たいちゅうたい・または鯛のタイ)です。
胸鰭を動かすのを助けます。
神経が通るための穴が、まるで目のように見えて、全体の姿が魚っぽいので、鯛の中にあるタイというわけで、こんな名前で呼ばれます。
上に上がって、頭のてっぺん近くには三つ道具という骨があります。
左側の一番短いのが「鍬(くわ)」・真ん中が「鎌(かま)」・右のが「熊手(くまで)」という名前がついています。
農業や草刈などに使う道具です。
それぞれ、その道具をイメージできる形をしているのが、興味深いです。
その横には鍬形(くわがた)という骨が在ります。
いったい鍬形と何ぞや?
五月人形の、兜の正面の上に二本付いている、キンキラキンの長いもの、あれです。
もっと解りやすいのは、クワガタムシのツノ!!
そう思ってみると、これは確かに鍬形です、う~ん納得。
↓にお魚に詳しい「小坊主さん」がコメントを下さいました。
>鍬形は、おっしゃる通り、兜の飾りです。
でも、クワガタムシは、顎が鍬形に似ているからそういう名前になったので、順番が逆です。
そうだったんですねぇ・・・ムシの名前の方が後だったなんて!!
さて、尾の方に移りましょう。
まず竹馬(ちくば)です。
名前の由来は、家族にはよく解らないとのことですが、なんだか馬の顔っぽいようにも見えません?
これについても「小坊主さん」が教えてくださいました。
>竹馬は、今で言う「たけうま」ではなく、(裕福な)子供の遊具で、足の間に挟んで走り、乗馬を真似たものです。馬の頭の模型に、棒が付いたようなもので、棒の先には、小さな車輪が付いていたりします。
どんぐり屋さんが、馬の顔のようだとおっしゃるのは、まさに、その通りです。
な~るほど、そうだったのですね!
そういえば、おぼろげな記憶の中に、着物を着た男の子が、それらしいもので遊んでいる姿が、浮かんできました。
それなら、馬の顔に見えてよかったのですね!
これは小龍(こりゅう)です。
最初の写真の「大龍」に対して名づけられたのでしょうが、頭と尾でセットにしてあるのが、これまた面白いです。
八つ目は鳴門骨です。
大型の真鯛の骨に出来る瘤で、尾びれに近い位置にあることが多いようです。
鳴門の渦潮にもまれた鯛に出来るとかいいますが、そうとも限らないようです。
この骨の持ち主も、相当に大きくて
この状態で55センチほどもありました。
さて、最後は鯛の福玉ですが・・・
これは、実は鯛の口の中などに寄生する<寄生虫>のことなんです。
普通には流通の早い段階で取り除かれるでしょうから、なかなか手に入りませんでした。
今回ブログの友人から頂けて、やっと九つがそろったというわけです!!
こんなものです。
ちょっと気持悪い人もおられるでしょう。ごめんなさいね。
これはご夫婦で、二人(?)で入り込んで暮らしていたようです。
二つを一緒に写すのが難しかったので、一つだけですが、こんな感じです。
正しくはヒゲブトウオノエ属に属する生き物です
↑これは私の勘違いでした。「タイノエ」は標準和名だそうです。つまり正しい名称でした。(但し、アジノエというのは通称です)
「鯛の九つ道具」について、もっと詳しくお知りになりたい方は
こちらでどうぞ
「九つ道具」があったなんて・・・
鯛の鯛を知った事で、孫には大きな顔をしてました。
海釣りをしていた旦那に、聞いたらBSの釣り番組(今日)で「九つ道具」について放映していたというのです。
教えてくれればよいのに・・・ねぇ
悔しい~と思ったけど、どんぐり屋さんで拝見できて良かったです。
ちくば・・・う~んすごい
いろいろ勉強になりました。
実際に私も買う機会があれば調べてみます♪
鍬形は、おっしゃる通り、兜の飾りです。
でも、クワガタムシは、顎が鍬形に似ているからそういう名前になったので、順番が逆です。
竹馬は、今で言う「たけうま」ではなく、(裕福な)子供の遊具で、足の間に挟んで走り、乗馬を真似たものです。馬の頭の模型に、棒が付いたようなもので、棒の先には、小さな車輪が付いていたりします。
どんぐり屋さんが、馬の顔のようだとおっしゃるのは、まさに、その通りです。
あちき この間の魚も(チリモンで聞かれた)見当がつかんかったし
鯛は 鯛のタイくらいしか知んなかったしぃ
あちきは本当に釣り師だったんかい
しかも江戸時代に!というより昔だから魚の中に世界を見たのでしょうね。
鯛なんて1匹丸ごと買うなんてないからじっくり見させていただきます。
まあ、偶然ですねえ、びっくりです。
探すのは、私たちのように魚の骨格に詳しくない者には、ちょっと難しいかもしれないです。
(家族は魚の専門なので)
大龍くらいは取れると思いますので、是非お試しを!!
。。。。。。。。。。
さくままさんへ
ご紹介したサイトなどよくよくご覧になって、落着いて探してみてくださいね。
お宅の息子さんなら、みんな揃うかも!!
小坊主さんへ
まあ、ありがとうございます!
鍬形と竹馬のこと、さっそく、小坊主さんに教えていただいたことを明記して、追加で書き込ませていただきます。
何時もありがとうございます
。。。。。。。。。。
ぶの字さんへ
面白いことがいっぱいあるものですね?
私も知らないことだらけで、知るたびに目を白黒しています
この間のネズミゴチは、海の魚ですし、もしかすると大阪湾特有の魚かもしれないです!
。。。。。。。。。。
ブドリさんへ
いたずら心を起こして、チリモンの中のかなリ大きなタイを裁いて見ましたが、骨が固まっていないようで、ダメでした(爆)
他の骨は難しくても、大龍は取れると思いますので、ぜひお試しください♪
標本ですね。
いつも切り身なので母にも見せます!
大龍は龍そのものだし、小龍はちゃんと子供に見えます。
森のどんぐり屋さんの探究心には頭が下がります。
こうなったら、鳴門骨と鯛の福玉もぜひ見てみたい。
昔はゲーム機などなかったので、こういうものに時間を使っていたのでしょうか。
昔の人もえらいと思います。
鯛をさばいて、骨を取り出してくれたのは息子です。
魚の構造に詳しくないと、ちょっと見つけにくいので・・・
骨は指令に乾かして、家宝(?)にしています。
鯛の骨は硬いので、ゴツゴツしてますよ。
。。。。。。。。。。
きのこ山書房さんへ
最初に発見された方、発見して名づけた人がすごいですよね。
この骨は、ケチをしてレンコダイなので、いつか真鯛を買って見たいと思っています。
個体差もあるようですし、種類別には当然違うでしょうから。
楽しみです♪
kまた見てくださいね。
私は古来からの植物などのネーミングのゆかしさに、それがどうやって伝承されてきたのかも、不思議な感じを持っていました。昔の人の漢字だって画数の多いので、かなに崩してもこれまた読めないし、実に七草だけでも春夏のを全部漢字や絵にかける人もそんなにはいないでしょうから。