普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

元中学校教師への手紙(6)[私が見てきた教育荒廃の歴史]

2006-06-18 06:53:08 | 教育問題

<戦後の教育に欠けていたもの>

敗戦後、アメリカは憲法から学校教育、社会教育に至るまで、全てのやり方と制度を変えてきました。

神道や武士道などは完全に否定され、民主主義や自由や権利が強調されました。

しかし戦後の教育の基本的について大きな見落とし(一部の人が言う様に、米国が意識的にしたとは思いたくありませんが)がありました。

それはアメリカの教育制度のベースにはイラク戦争の時に有名になった”ネオコン”でも判るように、社会生活から政治まで大きな力を持っているキリスト教があり、建国以来のフロンティア・スピリットやフェアプレイなどの社会を規制している考え方があります。


<仏教の衰退>

然し、日本では、それまで国民の生活のベースとなっていた仏教。そして、神道を否定された中で、戦後の社会の教育環境の整備や、敗戦後の国民の精神の支えになるように一番頑張らなくてはいけなかった仏教も、時代の流れについて行けずに、すっかり衰え観光と葬式仏教となりました。

(唯一の例外があります。オウム真理教です。つまり国民の一部にはこんな怪しげな宗教に頼る程、精神の支えを求めていたのです。)

<自信を無くした家庭>

一方、国民全体も私の小さな例のように、皆自信をなくして、「忠義」の否定とともに、日本古来の親切、思いやり、和の精神、自然や他人に対する感謝の念といった美風さえ、権利、自由の考え方の前にすっかり影が説得力がなくなってしまいました。

<特定思想を持つ先生に純粋培養された生徒>

つまり戦後、日本では一部の家庭を除いては、学校以外に、社会での教育機能がすっかり無くなってしまったのです。

そして肝心の学校では熱心な先生方が中途半端な民主主義を教えており、 なお一層熱心な社会、 共産主義を信奉する日教組の幹部が先生方をリードしていたのです。

多様な価値観を持つ一般社会のブレーキもなく、 当時叫ばれていた教育の独立の名のもとで、 子供達は半ば隔離された状態で一部の人から見ればバランスの取れない教育されてきたのです。

言わば生徒達は閉ざされた空間の中で純粋培養されてきたのです。 (最近になって開かれた学校などと言われていますが。)

<教育改革の遅れ>

従って米国進駐軍が撤退した後の、日本自身が負うべき戦後教育にの責任は、理屈から言えば文部省ですが、その他にも、良く引き合いに出される日教組だけではなく、マスコミ、宗教界、一般国民の全てにあると言うのが公平な見方でしょう。

国鉄改革と言う大仕事をし、与党にも大きな力を持つた中曽根さん始め、多くの人達がレビで教育の荒廃を嘆いているのに、教育基本法の改正がやっと出た、最近まで与党が教育問題に本格的に手を付けられなかったのは何故でしょう。

衰えたとはいえ、まだ学校教育に大きな影響力を持つ、日教組、それを支持する革新を名乗る超保守政党と、それを支持する全国紙を含む一部マスコミ、その報道をうまく利用している一部の国に遠慮していたのでしょうかね。

特に印象的だだったのは、元日本社会党のベテラン議員で、女性の地位向上の運動で有名だった加藤シズエさんでさえ、テレビで教育改革の必要性を説いて居ましたが、彼女は真意は何だったのでしょう。

<教育の荒廃から社会劣化への道>

このように心ある人が嘆いている間、純粋培養された生徒が親になり、子供を生み、その子が成人して、その一部の人が、今、戦前では考えもつかなかった事件を起こしたり、また親になって、子供を生み、そしてその一部の子供たちが、今、学校で問題を起こしているのです。

<<マスコミの社会に及ぼす影響>>

忘れてならぬのは膨大な情報量を持つマスコミの教育や社会に及ぼす影響ですが、紙面の都合で6月25日の報告に譲りたいと思います。

(May 17と毎週日曜日投稿参照)