9月19日のNHKの「クローズアップ現代「相次ぐ派遣トラブル」」が司会、国谷裕子さん、ゲスト,龍谷大学教授の脇田 滋さんで放送された。
その内容は番組紹介によると、
今、派遣社員が働く現場でトラブルが急増しています。複数の派遣会社が手数料を取る多重派遣。社会保険に加入させない未加入派遣。相次ぐ違法派遣の実態と手口に迫ります。
だ。
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派遣労働者と派遣業者
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[労働者側]
・そこで象徴的に描かれたのは、4次孫請けの人材派遣会社の労働者の給料がが各段階にピン跳ねされ。
然も法律で義務づけられている、厚生年金や健康保険の加入も拒否され、仕方なく自腹で健康保険を払った残りは僅か月10万前後の文字通りワーキング・プアの生活をしている。
・勤務年限3年を超えた派遣労働者が、労働者派遣法に基づいて、直接雇用の申し入れを派遣先企業側に行った所、拒否されたでその企業を訴えた。
裁判で負けた企業側は、やむなく直接雇用したのは良いが、派遣法の規定にないことを利用して雇用期限を半年にし、期限を過ぎて解雇された。
[派遣会社]
・惨憺たる生活をしている派遣社員がいる一方、莫大な利益を上げている。
・中にはたった一人で曾孫請けの会社を持っている人は人材を親請けに紹介するだけで、月に150万もの収入を得ている。
人材派遣会社の中には、先に書いた様に法で定められた健康保険、厚生年金などの加入をしないなどの違法行為をしている。
同番組では紹介されなかったが、莫大な利益を上げている理由の中に、
・人材の教育なしで完全な人入れ稼業に徹していること。
・派遣スタッフの雇用の安定を守るため、派遣先企業の関連会社での仕事を紹介するなど、代わりの雇用先を紹介しなければいけない義務があり、もし紹介できるような仕事先がない場合は、30日分以上の賃金を払わねばならぬのに払わないなどの違法行為もしくは脱法行為があるそうだ。
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派遣先企業
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勿論中には、法規を遵守している派遣業者会社もいるかも知れないが、派遣労働者法にも多くの問題があることが明らかだ。
ところが驚くことに企業側は全く逆の対応をしている。
同番組では、日本経団連会長の御手洗冨士夫キヤノン会長が6月29日に労働者派遣法の義務付け廃止、偽装請負の合法化要求を中心とする同法に規定されている規制の緩和の要望を発表した。
その主なものは番組の報道内容以外のものを含めて書くと、
・偽装請け負い禁止の廃止
偽装請け負いとは、下請け業者が人間だけを供給して、企業側が直接使用するもので、その禁止は労働基準法や派遣労働者法の基本理念となるものだ。
・最大三年の派遣期間後の派遣先企業の直接雇用の義務化の廃止
・「残業代ゼロ法案」と世論の批判をあびた、「ホワイトカラー・エグゼンプション」(労働時間規制の適用除外)制度の早期導入
・時間外労働の上限規制の緩和
詰まりいくらでも労働者を残業させろということ
・“サービス残業根絶”通達(労働時間規制)の緩和
・労働時間規制の適用除外者の範囲の拡大
現在は管理・監督者は適用除外だが、その名に囚われず、(端的に言えば)企業が管理業務についていると思えば自由に適用除外できるようにする。
・労働時間規制の適用除外者への割増賃金支払い義務の見直し
(現行)深夜(午後10時から午前5時)働いた場合は、割増賃金が必要。
・派遣禁止業務の解禁
現行の港湾運送、建設、警備、病院等での医療関係(紹介予定派遣を除く)の各業務の禁止の解除
以上を並べて見ると、
・皆大企業の都合の良いことばかり並べていること、
・現在の賃金格差、社会格差・ワーキング・プアなどの社会現象に対する配慮が全くないこと、
・大企業を統合する経団連、ある意味では日本をリードする立場の人達の倫理観が全く感じられないこと、
が直ぐ頭に浮かんで来る。
勿論企業によってはこの要望に関わらず、日本古来の企業倫理感で、立派な経営をする経営者も中にはいるかも知れないが、派遣業者の例に上げたような違法、脱法行為を行為をするような経営者は論外としても、経営者としての教育など殆ど受けてない人達や、丸暗記で有名大学を卒業しとんとん拍子で出世の会談を上がってきた経営者がどんなやり方をするかは眼に見えている。
勿論、国民からの反発も考慮に入れながらの、彼らの提案は中国企業の台頭に当たって企業競争力の強化の勤めたいことは良く理解できる。
然し次の問題も考えて欲しいものだ。
1.大企業は日本社会の重要な構成要素であることも忘れないで欲しいと思う。
2.日本の消費が伸びないのは、派遣労働者増加→賃金水準の低下→日本の大多数の人達の平均所得の低下も大きな原因であること。
3.今までの日本企業を支えてきた、(派遣労働者を含む)従業員の企業への忠誠心の低下の企業へに及ぼすモラルの低下や自主管理活動の低下などの悪影響はないか。
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民主党へ
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実は経団連の申し入れのデータは「赤旗」の記事から得たものだ。
上記申し入れについて民主党の関連機関のウエブを調べたが私の調査能力の不足からかも知れないが全く見あたらなかった。
民主党は他の政治団体の中で、最大の労働組合の支持団体を持っている。
そして前記の「クローズ・アップ現代」でも、経団連の申し入れに対して労組側との激しい論議が交わされている状態を放映していた。
民主党として支持基盤の強化のためにも、同問題に積極的に取り組むべきだ。
昨日も書いたようにテロ特措法延長問題で世の反発や、政権担当能力を疑われるようなリスクを冒すより、国家議員の定数削減と共にこの問題をもっと積極的に取り上げてはどうだろうか。
何故ならこれも定数削減とともに絶対の国民の賛成を得られる問題だからだ。
そして民主党の政権担当能力のあることを示す絶好のテーマと思うからだ。
参照:
カテゴリー → 企業経営
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