今地方格差が大きな問題となっている。
然し、小沢さん提案の民主党案は、農村、山村、漁村の所得格差に対する保障と言う手っとり早い具体策しか提案していない。
これは従来からの、自民党の政策そのもので、これが農、山、漁村の生産性向上を遅らせていることは明らかだ。
自民党も参院選の大敗を受けて、地方格差の見直しを考えているようだが、民主党有利な今は、従来政策のぶり返しの可能性が高い。
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農村改革、企業参入とその問題点
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これに対して、読売新聞はその9月18日付の社説の、農地制度改革 生産性向上に欠かせぬ規模拡大で基本的な提案をしている。
その要旨は、
現在実施または実施の検討をされている
耕作放棄地の増加→耕作に不利な地域の農地の借り入れ→優良農地でも賃借を可能にするため→20年間程度にわたって借りられる定期借地権制度を導入。
の他に、
1.耕作放棄地への固定資産税の優遇措置などを停止
2.農業分野での市場開放
3.企業による農地所有
を提案している。
特に企業の農地所有については、
問題は、諮問会議が提案しながら農水省が外した改革である。企業による農地所有を認めなかったことだ。所有権が企業に移れば、農業以外の用途に転用される恐れがある、というのが理由だ。
農地の転用には厳しい規制がかかっている。違反企業には是正を命令し、それでも効果がない場合は、農地を買い戻せるようにしておけばよい。企業による農地の所有を認めるべきだ。
と主張している。
私は、読売新聞の社説は全面的に賛成だ。
然し、社説で論じられていないことが二つある。
その一つは住民の意識、もう一つは農村で大きな力を持っている農協関連の団体の役割の問題だ。
この種の問題については、何故か知らないがいつも日本のマスコミ、政治家、批評家が批判を避けて通ってきた。
例えば
・教育改革→教師と日教組
・少子化→当事者の若者の意識、特に女性の意識
・農村の花嫁問題→同問題のテレビ放送には、肝心の農村の若い女性が殆ど登場しない。
新しい所では、
・社会保険庁→官僚の意識と官公労
現在政府の官僚や市町村の職員の着服が問題になっているが、官僚組織のあり方、定年制度、彼らがどうして横領するようにモラルが低下したか、それに関わる自治労、官公労の関与など殆ど論議されない。
この様な調子では日本の古くて新しい問題が何時までも解決されないのは当然だ。
それで、地方都市に住む私が農村の問題に立ち入るのはおこがましいが素人考えを述べさせて頂きたい。
基本的に農業参入の収益性などから、企業側にも問題があるかも知れないが、もし農村に工業技術などで生産性向上のノウハウを持つ全国規模の大企業が入ってきたら、次のように日本農業に大きな変化が生じるだろう。。
1.生産性が企業のノウハウで格段に向上する。
(1)農業の大規模の促進
(2)人員の合理化が進む
・農業と言う季節労働に従事する人員の有効活用
九州から北海道にかけての出張が多くなる。
農業生産だけでなくて本来の工業製品工場を地域に建設。
・人員の削減
・田植え機などの機材の有効活用
・農場の合理化が進む→生産性の低い農場の廃止(農水省の企業導入の理由)
2.自社開発の生産物が出来る。
3.商社と結んだ全国レベルの販売の強化、輸出の増加
[企業参入のメリット]
・(もと農村で働いていた)社員の収入の増加が期待できる。
・若者の離村の防止や、Uターンが促進する。
・所謂農村の花嫁問題が解決する。
・農村の収入が期待できる。
・政府の補助金の削減ができる。
・地方格差が減少する。
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農協とその関連団体
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上記の企業のやり方を考えると、地域に既に存在している、農協関連団体でもやろうと思えば出来ることばかりだ。
然し私の印象によれば、自民党の大きな支持・圧力団体、お役所化した組織、国からの補助に頼りきっていた習性、農業技術の普及に力は入れてもそれは全て政府・地方の機関で開発した技術というやり方をしてきた農協がそれを受け入るかどうかだ。
直ぐ考えられるのは、自民党の族議員を通じての政府への圧力をかけることだ。
農村に大きな同業の企業が入ってくれば、今までの農協のあり方が問われるし、企業との競争に晒され、その存亡にも関わることになるからだ。
農水省が農村改革の企業の農地の所有を認めなかったこと、農業規模の拡大が進まないのは、農協の存在が大きいと思うのは私だけではないと思う。
然し、世の趨勢としては、何時かは受け入れねばならない時期が来ると思う。
農協の各団体は地域の事情に詳しく、地域の人達との人間関係もある。
逆にそれが新しい企業としての足かせにもなるかも知れぬが、農協がその足かせを克服して、心機一転して、農協が自身で会社を設立出来れば、後に書く様に、地域との関わり合いから考えると、それに越したことはないと思うのだが。
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農村のコミュニティーの問題
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実は農協関連団体以上に難しいのは現在農村に生活してきた人達の問題だ。
市場中心主義経済と農村の活性化でも書いたが、
企業の参入には、
若者の農村復帰、農村の活性化、過疎化の防止など多くのメリットがある一面、
・低い生産性ながらも一国一城の主だった農家の人達が、急にサラリーマン化して会社の幹部の言う通りにできるかなど気持ちの切り換えも時間がかかる、
・僻地の農家や、棚田で米を作っている農業を如何に合理化をするか、そしてそれが出来ない時は如何にフォローして行くか、、
・世の中の変化について行けない老人中心の農家をいかにケアをして行くか、
など農村の人達の持つ価値観やそのコミュニティーの大変化に地域の人や企業の人達が如何に対応するか、大企業の従業員と従来型農家の人達との収入格差の発生とそれに伴うトラブルの発生防止などの大きな問題も抱えている。
農村に入って行く企業も従来の工場の建設と違って、最先端の技術を駆使した農業と、従来型の農業が混在する可能性が高い地域では、如何にして地域の人達と調和して行くか、如何に地域に貢献するか(手っとり早く言えば企業の利益の地域への還元)と言う今までに無い考え方や<やり方を考えねば、失敗に終わる可能性が高いだろう。
しかしそうかといって農村の生産性の向上は地域にとっても、国にとっとも避けて通れない問題だ。
農村の人々自身はは勿論だが、中央や地方の政府も、大企業も、都会に住む一般の人も農村の活性化に是非、本腰になって考えそして力を入れて貰いたいものだ。
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