昨日から今朝にかけて(少なくとも自民党には)大きなニュースが流れてきた。
一つは麻生内閣の支持率が福田内閣成立時の支持率を下回っていたこと、一つは小泉さんの突然の辞任だ。
[麻生内閣の低支持率]
・麻生内閣の支持率は49・5%で内閣発足時の支持率としては、福田内閣の57・5%を下回った。
・首相にふさわしいか人は麻生さんが54%、小沢さんが26%。
・衆院比例選で投票しようと思う政党は自民37%、民主30%で、党首の人気度ほどその差は大きくはなかった。(読売新聞の世論調査より)
私は一昨日と昨日のブログで予想される/確定した閣僚のメンバーを見て、これで民主党と戦える?、これでどれだけマスコミにアピール出来る?、麻生さんの政治力はこれで限界?と書いたが、私の心配がまた当たってしまった。
前回の総裁選で、福田さんを担ぎ上げた派閥の画策や黒幕の暗躍など良くない噂があっても、57・5%の支持率があったことを考えれば、麻生内閣の支持率の49・5%の意味は大きいと思う。
その理由はマスコミが自民党総裁選の意図を見透かしたような報道をしたこと、総裁選中の候補者の名前が出てきて名簿発表時のインパクトが無かったこともあるが、もう一つの理由はやはり変わり映えしない、旧態依然としか見えない閣僚名簿にあると思う。
政治に関心の余りない人達でもあっと思わせる様な、自民党の総力を上げた実力者をずらりと並べ、やる気満々の民間人を入れ、女性でも野田聖子さんに加えて、小池百合子さんや、佐藤ゆかりさんのような実力も華もある人達を並べれば結果は違ったと思ったのだが。
済んだことは言っても仕方がないが、結果は自民党が唯一の選挙戦略のよりどころにしていた内閣支持率も上がらずに、戦略の大きな見直しを迫られることになった。
[小泉さんの引退]
・小泉さんが横須賀市の党支部役員会に出席し、次期衆院選に出馬しない意向を伝えた。
・後継については、二男で秘書の進次郎さんを当てる。
・小泉氏は森さんに電話で「まだ政治活動はやめない。国会活動をしないだけだ」と述べたという。(読売新聞より)
小泉さんのことは、たまたま昨日、一昨日のブログでも触れたので、なるべく重複をさけてなるべく別の観点から考えて見たい。
小泉の政策遂行のやり方のよい点と問題点
小泉さんの良い所(その裏の弱点も含めて)強い意志、単純明快さ、政局に対する鋭い感、潔さまたはカッコ良さだ。
小泉さんその強い意志で郵政民営化を進め、竹中平蔵さんと言う学者ではあるが政治の素人の金融、経済面の構造改革のほか、地方分権の仕上げなどの活躍の強力なバックアップをして大きな成果を上げた。
小泉さんはその一方で緊縮財政政策を取り消費税値上げは次期の総理に任せるとした。
然し、その改革の痛みを和らげる処置をすべき、他の大臣たちは竹中さんの活躍に比べれば、緊縮財政の煽りを受けて、殆ど何も出来なかったか、もしくはしなかった。
小泉さんが仕残したまたは申し送りした問題
小泉改革の現状は、中国の台頭、米国経済の停滞など大きな経済情勢の変化もあるが、改革の理想と現実に大きな矛盾や背離がでている。
・小泉さんが申し送った消費税増税に手を着けられないまま
・市場経済主義、経済のグローバル化、規制の廃止→石油などの自然資源の枯渇→各国の規制の届かぬ巨大資本の寡占化、有り余る資金による投機→石油、食糧などの価格の急騰
・規制緩和、官から民への移行→三笠フーズにど悪徳業者の発生、タクシー業界などの競争激化によるワーキングプアの発生
そのほか、中小企業いじめ、ワーキングプア、社会格差の発生、地方の疲弊医療崩壊、後期高齢者医療制度、社保庁と年金の問題、官僚の不祥事や怠慢など、小泉改革の負の遺産の殆ど全てが今日の自民党内閣の危機の原因となっている。
参照:小池百合子さんの役割[小泉改革の負の遺産]
勿論これは全てが小泉さんの責任ではない。
安倍・福田内閣(特に安倍内閣)が小泉改革の負の部分の手当てを行うべきだった。(上記のブログの[安倍さんの失敗]参照)
そして経済情勢の大きな変化で、紋切り型の市場経済中心主義、グローバル化ではどうにもならなくなっている。
竹中さんは依然として改革を唱え、法人税減税を進め、輸出中心から内需中心に切り換えるべきだと言うが、それで日本の沈滞状況から抜け出すことはとても考えられない。
小泉さんはその退任後の動きについて、(恐らく彼流の美学で)何も言わず言い訳も余りしなかったようだ。
小泉さんの今回の決定は、彼独特の政局に対する鋭い勘で何かを読み切ったのかもしれない。
そして彼が総裁選で推した構造改革の推進を主張する小池百合子さんが僅か46票しか取れなかったのも、引退発表の引き金になったかもしれない。
いずれにしても彼らしくカッコ良くいさぎよく引退した。
[麻生内閣のこれから]
麻生内閣に立ちはだかる問題
・麻生内閣の支持率が思ったより上がらなかったので、自民党は戦略の見損ないのまま選挙選に突入しなければならない。
・マスコミは小泉さんの引退が、自民党に大きな打撃になるだろうと報じている。
・麻生さんは米国での記者会見で内閣の支持率はその仕事を見て貰ってからだと言っていたが、仕事を見て貰う前に選挙戦を戦わねばならない。
・選挙選中のマスコミの報道は、自民、民主の政策比較などはまず全くせずに、小泉さんの次男への応援と、日本が今抱えている問題(その殆どが自民党不利になるものばかり)を放送するのは容易に想像できることだ。
頑張るしかない麻生内閣
・上記のような数々の不利な点に対して自民党は総力戦で戦うしかない。
・後は自民、民主とも同じ意見の衆院、参院僅か各二日の補正予算審議でその政策を訴え、麻生さんの言う民主党との戦う姿勢を国民に見せるしかない。
それとも補正予算案以外の審議とうで会期を伸ばして、麻生さんの言う様にその仕事ぶりをアピールするかどうかだ。
・小泉さんは「まだ政治活動はやめない。国会活動をしないだけだ」と言っているそうだ。
選挙に際しては、麻生さんは三顧の礼をつくして、今なお人気のある小泉さんや小池さんに登場をして貰うなどベストを尽くすべきだ。
それで何時も言う言葉だが、麻生さんが粘りに粘って仮に選挙に負けても、私のような政権交代論者の立場から言えば、もし小沢内閣が成立しうまく行っても、行かなくても後々の日本国民と自民党と民主党にとって良い勉強になると思う。
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参照:
麻生さんに期待すること
麻生内閣誕生