青山繁晴さんへ
青山さんの福島原発構内の取材及び吉田所長のインタビューについて、青山さんが「副大臣から圧力があった」ことや、細野豪志首相補佐官は、青山さんの原発取材について「政府としてではなく、個人として入った。今後はないようにする」と不快感を示したことをテレビや新聞で知りました。
これに就いて貴方の発言を細かに文字起こしをしているぼやきくっくりさんの記事からその詳細と、吉田所長への東電幹部からの圧力が会ったらしいこと知りました。
私は長年保全技術者・管理者として企業の現場にいた経験から。企業が大きな事故に起したとき、現場に監督機関を含む関係者以外の立ち入りを嫌う気持ちは良く判ります。
私のような立場の現場の人達も皆同じ気持ちを持つのは当然です。
然し吉田所長は貴方の言われるよう普通の現場の責任者として違って、貴方の現場立ち入りを歓迎して呉れたのは、自分の意見を会社幹部や監督機関では聞いて貰えない、吉田さんが第三者に現場を実情を見て貰ったり、現場の声を聞いて貰いたかったからだと思います。
そして昨日の菅さんの会見で、原子力事故調査委員会を発足させることを発表しました。
そのメンバーは、菅さんの説明に依れば、「1つは従来の原子力行政からの独立性。つまりは、そうした過去の関係者ではなくて、そういうところから独立した判断ができる方を中心になっていただく」と言っています。 (以下青字は総て産経新聞の「首相の発言」より)
これから想像すると直接の関係者であり、しかも東電幹部から睨まれている吉田所長の意見は委員会に反映される可能性は低いと思います。
そして彼の意見を代弁してくれる筈の青山さんご自身が委員会のメンバーに入る可能性は、政府関係者との間のトラブルから考えると殆どないでしょう。
私は今回のトラブルの大きな要因の一つは、下記に示すように現場の運転・保全の人達と会社幹部やトップの技術陣との意志の疎通不足にあると思っています。
菅さんの言うように、「技術という分野だけでなく、いろいろな制度やいろいろ組織的な過去のあり方がどのような影響を今回の事故で及ぼしたのか。そういう分野も含めた包括的な検討」と言うのは良く判ります。
然し私のような現場育ちから見ると、想像される大学教授、原子力学者、評論家などは、現場の運転・保全関係者からみれば皆素人同然の人達です。
今回の事故は、原子炉本体でなく冷却系の不備と言う現場でも処理可能ですが、教授、学者では弱いところで起こっているのですから。
また彼らが、現場の運転・保全の人達と会社幹部やトップの技術陣との意志の疎通不足に就いてどの程度まで踏み込まれるでしょうか。
もう一つの問題は「原発事故の調査委員会というのは福島第1原発の事故原因を究明するということにとどめられるのか。あるいは原因究明の結果によっては今後の原発政策の在り方、新たな停止要請とかに踏み込むことも念頭に置いているのか。」と言う質問に対して、菅さんは「まずは今回の東電福島原発の事故を、そしてそれに至る背景といったところを徹底的に調査いただくということに留まると考えております」の回答です。
これでは同じ地域にある原発の女川が無事停止したこと、今回問題になっている浜岡の2機が使用停止になっているのに、それより古い福島第一が依然として使われていたことなど、外部からはぃって来た人達が余所の事情も知らないで、いきなり福島第一に首を突っ込んで、今回の事故の本質を知る事が出来るでしょうか。
私は菅さんの何時ものその場限りの発言で、委員会の人達は対象は福島ですが、他の原発の在り方と比較対照して調べて呉れると思いたいのですが。
部外者から見て当然に起こる疑問
・1号機はメーカーのGEの教えを受けながらの建設で、本体はともかく少なくとも建屋、ポンプや配管などの付属設備は当時の日本の技術で改善、改造の余地は十分にあった筈だが?
そして今回の大事故は事故は冷却系のの不備で起きた。
・2号機では1号機の配管などの主要材料のSUS304から、応力腐食割れに強いSUS316に代わるなど技術が進歩してきたのに対して、1号機について東電はどう対応して来たか?
・女川原発が15メートルの台地に建設、3系統の外部電源、福島第2では緊急発電機を原子炉建屋に変更などの情報に対して、福島第1の津波対策の見直し、防潮堤の強化、建屋と配管の貫通部の防水対策の強化、緊急発電機の移転、外部電源の複数化など現場から当然に出てくる筈の意見に対して東電幹部はどう対応したのか?
・1号機の耐用年数延長の対策として、設備の改善、メンテナンスの強化は行われたのか? (ネット情報では逆に定期検査の期間延長も行われた?)
菅さんの「技術という分野だけでなく、そういう分野も含めた包括的な検討が必要」と言うのは良く判りますが、肝心の現場の意見を無視して今回の事故の本質を突けるかどうが疑問を持っています。
青山さんも今回の問題に対して大変難しい立場にあると思いますが、吉田所長などと連携して福島第一の問題点追求に対して、現場の意見も反映して頂けることを祈っています。
このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。
↓
政治・人気ブログランキングへ