枝野幸男官房長官へ
東京電力福島第一原発事故の調査・検証委員会の委員が正式決定したそうで。枝野さんが発表されたそうです。
委員長は失敗学で有名な畑村洋太郎・東大名誉教授
委員は尾池和夫(前京大総長)▽柿沼志津子(放射線医学総合研究所放射線防護研究センターチームリーダー)▽高須幸雄(前国連日本政府代表部特命全権大使)▽高野利雄(元名古屋高検検事長)▽田中康郎(元札幌高裁長官)▽林陽子(弁護士)▽古川道郎(福島県川俣町長)▽柳田邦男(作家)▽吉岡斉(九大副学長)
だそうです。
学者と素人で事故原因の究明ができるか
私は元保全技術・管理者として大企業に勤務し、その間大事故も経験したことがありますが、このメンバーを見て福島第一の運転・保全関係者の立場に立っての感想です
・原発や工業技術の素人が半分近く占めているが何を目的にしているのか
若しこの委員会が事故発生後の対応に就いての委員会だったら、このメンバーでも何とか対応できると思います。
然し私は原発は事故をまず起こさないことが先決で、一旦起こしたら最後だと思って書いておりますので、前の理由で委員会を設置したのなら、このままこの提案を廃棄して下さい。
・学者や素人など現場を知らない人ばかりなので他に知られたくないボロが何とか隠し通せる
・現場を知らない学者や素人から見当違いのことを指摘されてあとの対応に困る
・現場の担当者で一番怖いのは、現場を熟知している人が設備や運転・保全のやり方の不備を指摘されること、現場が何を隠したいか現場のやり方を熟知している人に現場を見られ指摘されることです。 (若し私が現場を案内されたら、現場の案内しないところを見るでしょうし、海水に触れない配管の錆び具合や、弁やフランジからの洩れを見たり、保全の記録の流れを見たりして、全体のメンテナンスの状況を推察するでしょうが、学者や素人がそこまで気が廻るでしょうか。)
・逆に現場が建前はとにかく心の中で希望しているのは、現場の人達の気づかない弱い所を指摘して貰いたいことです。
正に上記のメンバーを個々に見ても、そして委員を決定した政府の立場から見ても、不適任な人ばかりのような気がするのですが。
事故の原因は、報道によれば炉心冷却用の緊急電源が動かなかったこと、外部電源が働かなかったこと、事故後にベントの開放が遅れたこと、などなどがあります。
これは原子炉工学など高度の技術でなく、今で言えば工業高専程度の技術で処理できる問題ですが、学者や素人では手におえないことです。
その対応に就いて現場の人達が見落としていても、他社の専門家が見れば傍目八目で気づくこともあります。
その点から言って、原発でなくても(原子力村から委員会参加の批判もあるそうなので)似たような設備(石油、石油化学工業など)を持つ企業からの運転・保全の専門家を是非入れて欲しいものです。
もう一つの問題は古い原発なので、運転開始後により進歩してきた技術を如何に取り入れるか、それに関して現場の人達がどのように対応してきたか、そしてその現場の意見をどのように東電本部が対応してきたかなどは、前記メンバーでも或いは気づくとは思いますが、保全管理専門の技術者が入ればより適格な問題点の指摘ができると思います。
その点から言えば「日本プラントメンテナンス協会」や「日本能率協会」などの内かそれに加盟しているの企業の専門家も導入してはどうでしょうか。
委員会が事後原因の指摘だけでなく前向きの提案ができるか
いきなりの私の今後の対策です。 (但し政府の介入なしという条件で提案です。)
・原発担当者同志の相互訪問と協力(競争の厳しい他の企業に比して自由にできる)
・原子炉周辺の設備、機器、配管の設計・保全、緊急時の対策等の基準の制定(詰まりノウハウの共有、他の企業に比して自由にできる)
・原発トラブルとその対策のノウハウの共有(自分達のボロを公表することに抵抗が或るので、ある程度の政府の介入が必要かも)
現場の人達ならこれらの前向きの発想は直ぐにでも出ると思うのですが、上記のメンバーではとても出そうにはありません。
その点からも先に上げたような機関かそれに加盟している企業の専門家を入れる必要があるとおもいます。
その他には東京電力の体質、現場と東電幹部たちのコミュニケーション不足の問題については前記のメンバーから指摘されるでしょうし、マスコミに出ている委員会の独立性やその方向性批判などに就いては特記するまでもありませんので省略します。
ただ前に書いたように、この委員会が原発事故防止の目的もあるのなら、数人の保全技術・保全管理の専門家の投入は、前記委員会の成否を決定する重要なポイント思いますので、是非ご検討されればありがたいと思うのですが。
このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。
↓
政治・人気ブログランキングへ