普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

福祉国家・実はデンマーク株式会社か?

2011-05-20 17:17:03 | 外交・安全保障
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 昨夜のNHKの「クローズアップ現代」で「職業訓練で雇用を生み出せ」と言う番組がありました。
 その概要は、東日本大震災で、従来から失業率の高止まりに悩んでいた日本は、かつてない危機に立っている。
 期待されているのが「職業訓練」だが、雇うほうと雇われるほうの考え方、それとそれに金を出している国の政策のミス・マッチで肝心の雇用の回復にはなかなかつながっていない方が多い。
 その一方では、福祉国家で有名なデンマークでは国・企業・労組が一体となって失業者を訓練し、環境分野などの成長産業に移動させるという戦略をとっており、産業の新陳代謝を活発にしている。
言うものです。
 つまり、デンマークでは自国の得意分野の風力発電など、国が企業側と相談した上、国として今後進むべき産業分野を決定し、国、企業、労働組合と相談した上で、職業訓練の方向とその具体的な方法を定め、その卒業生を適切な企業に当てはめて行こうとするものの様です。
 これを良く考えると、日本の高度成長期に通産省が工業分野の進む方向を決め、そのガイドラインのもとで企業その活動を拡大して行き、外国から日本株式会社と揶揄されたのに良く似ています。
 詰まりデンマークは、高い失業率に悩む人達を国の進めようとする方向の企業に当てはめて、間接的に企業を支援しようとするデンマーク株式化会社的な運営です。
 これは別の見方から言えば同国の高福祉高負担と言う社会主義的な政策と繋がる考え方でしょう。
 これが出来るのは後記のようにGDPが3位の経済規模の日本の進む方向に対して他国の批判がでるのに対して、デンマークは50位と言う経済小国のため、他国からの干渉なしに出来るのかも知れません。
 然し一人当たりGDPで見ますと日本は27位に対してデンマークは5位の数字をみますと日本も今後の方向、雇用政策だけでなく経済政策全般に就いて考え直す必要があるかも知れません。
 日本は小泉さん時代に米国の年次計画要望書に添って経済の自由化を、企業の個人責任として企業間の自由競争を進めてて来ました。
 その一方では、中国の台頭に伴う、日本企業の競争力低下防止のため契約労働者の自由化もすすめてきました。
 私は当時から契約労働者の保護と無闇な増大を防ぐため、雇用保険や失業者の救済のための基金に就いて雇用者に負担させるなどの保護処置を取るべきだと訴えて来ました。
 事実は企業の個人責任は良いが、企業のトップは「企業活動による社会貢献」の企業理念を忘れ、実質的に安い契約労働者を無制限に雇い、安い労働力を求めて中国などを工場を写し、産業の空洞化をもたらしました。
 昨日の番組でも取り上げて居ましたが、雇用保険に入っていない契約労働者の雇用訓練に就いて、政府は特別の基金を設置するなど、納税者からみれば企業はおんぶに抱っこの有り様です。
 私は少なくも行き過ぎた自由主義市場経済などあり得ないと思って居ます。
 その総本山の米国はその広大な領土を他国に開放しようとしません。中国、ロシヤ、ブラジル、インドなど皆同じです。
 そしてその国の統治者は自国の利益を最優先させるのは当然の話しです。
 だから米国ですら、何かと理由を突けてジャパンバッシングをします。
 中国の元の価格を下げようとしません。
  広域な領土を持つ経済大国と自由競争など狭い国土の日本にはハンディキャップが大きすぎます。
 今の日本の唯でさえ低迷していた経済の上の大震災で大きな打撃を受けています。
 お隣の韓国では李明博大統領の強いリーダーシップで発展を遂げています。
 竹中平蔵さんのは「いまこそ李明博の“政治主導の”経済政策に学べ」で次のように書いています。
  技術力の高い日本と低コストを武器にする中国のあいだにある韓国の現状を打破すべく、環境、最先端エネルギー産業、先端保健医療産業など、高付加価値の産業を掘り起こし、支援。「世界最強のIT産業を背景に、IT融合技術を利用した成長の原動力となる産業を育成し、国の経済の牽引車の役目を果たさせる。研究開発の投資をGDPの5%に拡大するために、R&D投資に対する予算支出の拡大。研究開発資金に対する税額控除を7%から10%に拡大する旨を打ち出している。
 詰まり李明博さんは竹中さんの言うグローバル化に対応するために、韓国株式会社の社長として国を動かそうとしているのです。
 日本はその経済規模に比して狭い国土しか持って居ません。
 その日本も広域な領土を持つ経済大国とグローバル化の波の中で、韓国が狭い国土の日本の真似したかっての戦略、日本株式会社戦略で戦うしかないと思います。
 リーマンショック後は、内需や輸出のいずれに頼るかの議論はありましたが、日本は今後どの産業分野に進むかの方向を具体的に示されて居ませんでした。
 そして日本株式会社の社長である首相は日本の進む産業分野を傘下の日本企業に示し、指導、協力するしか道がないような気がします。
 然し現状は政権党の民主党のマニフェストの経済政策を見て下さい。
 中小企業対策が全体の経済政策の約半分。
 それに発注する大企業の政策らしいのは只一つ。
 それを指摘されて4つの目玉政策が経済政策だと言う始末。
 そして今の日本は大震災に何時収拾するとも知れぬ福島原発事故。影を落とす少子高齢化。膨大な国債など難問は山程。
 果たして日本はどうなるのでしょう。
 日本が今こそ必要なのは、強いリーダーシップを発揮する政治家と思うのですが。

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