【真っ青な平核無柿にビニール袋。白いのは固形アルコール。】
紀の川。奈良県では吉野川、和歌山県では紀の川と呼ばれる。
ご存じかも知れないが「紀の川」流域は柿の大生産地でもある。
今は平核無柿の早生種である、中谷。もうすぐ刀根早生柿の
収穫、出荷が始まるのである。
これらは、炭酸ガスによるCTSD(恒温・迅速)法により
脱渋し、選果、箱詰め、市場に出荷するのだ。
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しかし、最近「紀の川柿」の生産も増えている。
「紀の川柿」という柿の品種は無い。
9月「〝ひらたねなし〟という渋柿の一種」に
白い固形アルコールを入れたビニールの袋を
一果実に一つずつかぶせるのである。作業は3段階。
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①9月、平核無柿の果実一つ一つに固形アルコールを入れた
ビ二ール袋を被せ枝に密封するようにくくりつける。
※固形アルコールは角砂糖の様な形だ。
②48時間この状態にしておく。つまり2日後、
ビニール袋の下半分を切り取る。
《ちなみにこの作業を、我が家ではスカートにすると言う。》
③これを10月まで樹上で成らして収穫する。
これを「紀の川柿」と言うのだ。
要するに樹に成らせておいて完熟になるのを待つのだ。
ビニールはそのまま。その様はまるで柿畑にビニール風船だ。
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この作業により、柿は糖度が高く、さくさくした食感になり
紅が濃くなるのである。
ゴマはタンニンが水分に溶けないように固まる。
誰が名づけたのか、この柿が「紀の川柿」なのである。
この「紀の川柿」は10月下旬ごろからの出荷なのだ。
そうなんです。「紀の川柿」の栽培方法は大変なのである。
普通の柿栽培も大変なのに、樹になっている状態で一つずつ
ビニールをかけ、しかもアルコールで渋抜きするのだから。
でも『紀の川柿』は美味しい。なにしろ「完熟」である。
まとめてみると、「紀の川柿」の特色は3点である。
(1)糖度が高く、甘い。
(2)樹上で長い間、熟させるので紅が濃くなる。
(3)果肉は甘さの保証となる黒砂糖をふったようになる。
昨年から我が家では数年ぶりに「紀の川柿」に挑戦している。
3,000袋に固形アルコールを入れる作業。これも大変。
二男の夜なべの仕事である。
昨年は久々なのでとりあえず1,000袋、今年は3,000袋だ。
昨年は贈答品が主だったが
今年は出荷も考えているのである。
この辺りでは1万個生産が常識。
我が家は、まだまだ程遠いのであるが、、、。
身の丈にあった生産。
欲を出しては、だめだよね!!。
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【↑昨年の「紀の川柿」。今年も上手く完熟して欲しいものだ。】