息子と成人式のスーツを買いに行きました。
僕自身は、成人式は出なかったのですが、その後リクルートスーツを作ったショップで、今日は購入しています。
あれから35年もたっていて、子供が同じものを着てくれて、嬉しく、また、不思議な感覚です。
第一次大戦が勃発するとプリンストン大学を中退し陸軍に入隊していた20歳のF・スコット・フィッツジェラルドは1918年7月、アラバマ州モントゴメリーのカントリー・クラブで行われたダンス・パーティーで18歳のゼルダ・セイヤーと知り合い、恋に落ちます。その時彼はブルックス・ ブラザーズで仕立てた軍服を着ていたそうです。
残念ながら、僕にはそんなことが起きませんでしたが、息子はどうでしょう。
彼のこれからの人生に幸い多からんことを、切に、切に、願います。
室根町のりんご園へ、グループホームぽらん気仙沼のみなさんと恒例のりんご狩りに出かけてきました。
昨年は、3年続いた大豊作から打って変わっての不作だったことから、今年はどうだろう、と数日前から内心ハラハラしていましたが、園の方がこれまでの古木から若木に替えて下さっており、収量は並みだったものの、比較的大きく赤いりんごが獲れました。
晴天にも恵まれ、利用者様も職員も歓声を上げながら笑顔で収穫にいそしんでいました。
持ち帰ったりんごは各ホームで調理するほか、家族様など来訪者や、退職された功労者へも広くおすそ分けされます。
チャグチャグ馬コの前日、そそくさと仕事を切り上げ、夕方家を出た。
水沢から東北道に乗り、盛岡に着く頃にはもう日が沈む寸前だったが、細長く伸びた流麗な雲が朱に染まった空を背景にして、すっぽりと笠雲をかぶった岩手山はなかなか趣のある景色だった。
盛岡が会場の研修へ派遣するたび、きまって前日と終了後、生真面目に報告メールをくれる施設管理者がいた。
「こちらはあいにくの雨で岩手山は見えませんが、明日から元気に研修を受けてきます。」
「たった今、研修が終わりました。今日は岩手山がくっきりと見えて、帰路に着く私を見送ってくれているようです。」
いやいや、わき見運転などせず、気をつけて戻られるように、と返信したが、こういうひとをラバブルと言うのだろうな、といつも暖かい気持ちになったものだった。
(2017年6月)
「5年ほど前に劇場で観た映画を、先日深夜にテレビでまた観た。面白かった。
ニューヨークに出てきた歌手志望の男女。
男の方が先に売れ、さらに浮気までされたヒロインはアパートメントを飛び出し、偶然再会していた同郷のストリートミュージシャンのもとに転がり込む。
彼のライブでステージに上がった彼女の歌をたまたま聴き、胸の中の非常ベルが鳴り出した落ち目の中年プロデューサーは熱心にデビューを持ちかけた。
その彼の以前の勤務先のレコード会社へ意気揚々出向いた二人だったが、社長からデモテープくらい作って来い、と冷たくあしらわれる。
スタジオ代もないプロデューサーは、ニューヨークの街中でのいわばゲリラレコーディングを提案、ヒロインはその突拍子もないアイディアに乗り、ミュージシャンと資金集めに動き出す。果たしてデモテープを完成させることができるのか―。
初めは「スター誕生」や「モーニング・グローリー」(「勝利の朝」、「女優志願」)を現代風にしたサクセス・ストーリーかと思っていた。
それが途中から、ひょっとするとヒロインとプロデューサーが出会った場末のライブハウスは、コベント・ガーデンのセント・ポール教会(「ピグマリオン」)なのかも、と考え始めていたのだけれど、エンディングまで観たら、それも違った。
ヒロインほど才能はないのにスターになって苦悩する元恋人と、公私ともに運に恵まれずクサっていた中年プロデューサーの二人を再生させた彼女は、彼らに遣わされたミューズだったのだ。僕にはそう思えた。
いい話でしょ?プロデューサーが古いジャガーを雑に乗り回していることにも親近感を覚えたし(笑)」
私自身は実際の場面を観たことがないけれど、NPO法人なごやかには「理事長ミッション」という特別な指令が存在する。
まるで好んで綱渡りを演じているかのように振る舞うなごやか理事長が本当に困った時、勝敗の行方がもう誤差の範囲に入っている時、法人にとって望ましい結果をどうしても得たい時、それが発令される。
しかも、それを命じられる職員はたった一名、グループホーム虔十のY管理者だけだ。
M事務長によれば、そのミッションはいつも同じワンフレーズ、「きみのチャームで相手を魅了して来てくれませんか」なのだという。
もちろん、それは媚態でという意味ではない。「ひととひととして」だ。
そのミッションを受けた時のY管理者は使命感に燃え、あたかも天岩戸から現れた天照大神のように、まばゆいほどの光を発して相手を魅了する。
そして彼らは一も二もなく、彼女のファンクラブの熱心な会員になってしまうのだそう。
このミッションはもう10年近く発令されていない。
たぶん、Yさんは内心いつもその時に備えているだろう。
私もそれをぜひ観てみたい。
いや、本当のところ私も遂行できたら、とひそかに願っている。
(1分08秒から)
「フランスの新しい大統領を迎えてホワイトハウスで公式晩さん会を開く。どうだろう、一緒に出席してほしいのだが。私とだ。それで電話した。」
「??―。」
「―シドニー、議会よりも長いね。」
「(立ち上がって)大統領、私にこの国を代表して出席しろとおっしゃるのですね?実に光栄です。職務を立派に果たします、サー。」
「あー、ただの晩さん会だよ。エスピオナージュ(諜報活動)じゃない。」
「(笑う)もちろんですわ。でも、とっても(笑)―それで、段取りは?」
「アメリカン・プレジデント」(1995年)より