この3人
1978年の公開当時、評論家たちがベルイマンの影響を指摘してややこしくしたために今なお敬遠されがちな作品だが、僕はとても好きだ。
なかでも興味深いのは、配役の妙。
E・G・マーシャル(父親役)をはさんだ二人の女性がほとんど同等のキャリアを持った大女優で、しかも日本ではほとんど語られることがない点も同じであること。
また二人の婿殿も魅力的。
特に、リチャード・ジョーダン(長女の夫役)は何かを持っていそうで何も持っていない俳優。まさに適役である。
(次女の夫役はサム・ウォーターストン、「華麗なるギャツビー」でニック・キャラウエイを演じた俳優だ。)
私が管理者を務めるやまねこデイサービスは地域密着型サービス事業所でもあるので、年二回、運営推進会議の開催が義務付けられている。
第二回目の今日はNPO法人なごやか理事長も出席して、いつも通りの穏やかなムードで会議が進んでいたのだが、途中から理事長の様子が少しおかしくなった。
気もそぞろというか、なにかほかに気になることがある様子だった。
私が会議を短時間で打ち切り、失礼のない程度に急ぎ委員のみなさんをお帰しすると、さっそく理事長はフェルトペンはないか、と尋ねた。
それを受け取るや、理事長は壁に掛けた大判のコルクボードに掲示された、行事の様子を撮った写真にペン先を置いた。
「ちょっとこれね、まずいよね、、地肌が見えていて、、。」
先月の芋煮会で理事長が利用者様がたと一緒にサンマを食べている場面だったが、確かに身をほぐすことに集中してうつむき加減になっているため、はからずも頭頂が強調された構図になってしまっている。
顔を赤らめてぬりえ作業を続ける理事長を見て見ぬふりしながら、私は近年、物分かりがよくなり過ぎて仙人のようだと感じていた彼にもまだそういう部分があったのかと、少しほっとしていた。
このエピソードの真偽については、私がNPO法人なごやかに入職する前のものなので判らないが、何人かの職員から畏怖の表情とともに聞かされていた。
勤続年数の長かった職員の披露宴になごやか理事長が招かれた時のこと、新婦側の受付の前に立った彼はモーニングの胸元からB5判はあろうかという特大サイズののし袋を引っ張り出し、あっけにとられている係を尻目に涼しい顔で記帳を終えた。
同行した事務長も脇にいて驚き、その意図を尋ねた。
「披露宴ともなれば、もう月並みな声掛けしかできないけれど、そんな状況で、心からの感謝の気持ちを伝えるすべはないものかと考えた末に、あののし袋に行き着いた。別にふざけているわけじゃないよ。相手もきっとわかってくれるだろう。」
ところが、この心入れにはさらに続きがあった。
披露宴のあとしばらくして、当の新婦がお礼にと理事長を訪ねた際、彼女は理事長のご祝儀と同額を入れたのし袋を差し出し、お世話になった法人への寄付を申し出たのだそう。
初めてこのエピソードを聞いた時、私は背中から首筋にかけて鳥肌が立った。
この二人の心入れとは、まるで剣豪同士が真剣で切り結ぶ勝負のようなものではないか。
先日、私は思い切って理事長に事の真偽を尋ねてみた。
「そうだったかなあ。」
理事長ははぐらかしたが、その目の中には負け試合の清々しさと喜びの色が、確かに浮かんでいた。
1920年代のアメリカ。ユダヤ人のゼリグ(ウディ・アレン)は周りの環境に順応して身体つきも精神も変えてしまう、カメレオンのような超能力の持ち主だった。彼はさまざまな有名人と一緒にいるところを目撃される。ルー・ゲーリック、ベーブ・ルース、クーリッジとフーバー両大統頃、スコット・フィッツジェラルド、新聞王のハースト、ユージン・オニール、さらにはローマ法王、ヒトラー。彼の調査と治療にあたったユードラ・フレッチャー医師(ミア・ファーロー)と、ゼリグは恋に落ちるのだが-。
「カメレオンマン」(1983年)は古い白黒の記録映像を素材とした、偽のドキュメンタリー映画。着想のヒントは、「市民ケーン」冒頭の偽ニュース(ドキュメンタリー)フィルムだろう。
大マジメなトーンの中で、小ネタのギャグを連発してくる、当時のウッディ・アレンらしい作品だ。実在の映像に合成で主人公が紛れ込むという手法は、のちに「フォレスト・ガンプ」で使われている。
また先日放送されたNHKスペシャル「東京ブラックホール」シリーズも同様である。
劇中、クーリッジ(左)とフーバー(右)の両大統領に挟まれて(合成)
NHKスペシャル「東京ブラックホール」より
自分のネクタイの中で一番多いのは、ランバンのものだ。
その理由を思い返してみると、実に単純でわかりやすい。
中学の頃にテレビで観た「あの胸にもう一度」(1968年)で、ヒロイン役のマリアンヌ・フェイスフルの衣裳をランバンがデザインしたと知ったから。
もちろん、十代で高価なブランド物を買えるはずもなく、就職してサラリーをいただくようになってから、身に着け始めたのだが。
大学時代のある日、音楽好きのグループで話していたら、隣の席から「マリアンヌの衣裳がとてもかわいくって、あれランバンなのよね」と聞こえてきた。
誰が言ったのだろう、と声がした方へ首を伸ばすと、偶然くるりと振り向いたその女の子は、僕の表情を見て、あなたも知ってるの?という顔をした。
ジッパーの丸い引手やベルトバックルが可愛らしい。よく見ると、胸元がリブの別素材になっている。
モヘア二ットのセーターはジッパーがついている。