ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。

大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。 また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。

身なり

2025年02月28日 | 日記

 父親は若いころから入退院を繰り返し、僕が都落ちすることになったのもそんな理由からだったが、ある時、深夜に救急で病院を受診した際に、ICUの前のベンチで待っていると、ナースから着ていた服をきれいに畳んだうえでビニール袋に詰めた形で返却された。メガネや指輪も入っていた。
ああ、これが遺品になるかもな、と思った。
幸いにも、その回も無事退院できたのだが、以来僕は自分の身にもいつ何があるかわからないから、身なりはきちんとしていないと、と一層強く思うようになった。
実際、交通事故を起こして救急車で搬送されたこともあり、その日はたまたま仕事の出張だったため、面談相手に見劣りしないようなスーツや靴を身に着けていて事なき?を得ている。
「たとえば昼のウォーキングの途中で倒れた時に、擦り切れたコートや穴の開いたシャツなど着ていたらいやだなあ。でも、あと何年、自分をコントロールできるかなあ。」
熱心にクローゼットを整理している僕に、そこなの?と家人はあきれ顔をして立ち去った。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ガタカ」

2025年02月21日 | ハリウッド

 BSで放映されていたSF映画「ガタカ」(1997年)を再見した。
近未来を語る時に結構引き合いに出すけれど、全編通して観直したのは本当に久しぶりだった。
無機質で非情な設定へ、その対極というべきフランク・ロイド・ライト設計の建物や英米仏の旧車、仕立ての良いスーツなどが登場し、それが彩りや温かみ以上のものに感じさせる不思議な作品。
優生思想とヒエラルキーが息苦しいほどに確立された社会にそういった「古き良きもの」が残っているのは強烈な皮肉か。
「スターウォーズ」、「ブレードランナー」、「エイリアン」など、現代SF映画の混沌としたイメージと情景を創生した作品群とはまた違う近未来像が、ここにはある。
 助演のジュード・ロウはこのあと「リプリー」(1999年)にも出演しているが、アポロンのように輝く彼と主演男優たち(イーサン・ホーク、マット・デイモン)との、ひりひりとしたホモ・セクシャルなトーンに息づまる。

 

「リプリー」

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

離設

2025年02月17日 | なごみ

 市外在住の知人の母親が週に二回、火曜と金曜に通っているデイサービスで、たまたまその火曜日に利用者様の離設があり、次の利用日の金曜日に行ったところがまだ見つかっていない、とのことでした。
その話の中で、当法人の捜索体制や手順などを尋ねられた僕は、やはり初動が大事、とにかく私が見つけるのだ、という強い意志が一人一人にないと、と話しています。
そのうえで、30分を過ぎたらためらわずに警察へ報告すること。
体面などを考えている場合ではありません。
実際、通報により発見につながったケースが当法人にはあります。
入居系の施設ばかりでなく、離設はデイサービスでも起こりうるのだということを、来月の各事業所の全体ミーティングの際に心構えや、マニュアルの再読などを含めて話し合おうと考えています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

毎日がバレンタインデイ

2025年02月15日 | favorite songs

My Funny Valentine 


My funny Valentine, sweet comic Valentine
You make me smile with my heart
Your looks are laughable, unphotographable
Yet you're fav'rite work of art

Is your figure less than Greek?
Is your mouth a little weak?
When you open it to speak, are you smart?

But don't change a hair for me
Not if you care for me
Stay little Valentine, stay!
Each day is Valentine's day

 

 マイ・ファニー・バレンタイン 

私の変てこなバレンタイン
スイートで滑稽なバレンタイン
あなたは私を心から微笑ませてくれる
あなたのルックスは吹き出しちゃうし
写真向きでもない
たとえあなたがお気に入りの芸術作品だとしてもね

あなたの見てくれはギリシャ彫刻より劣るし
口もとはちょっと弱点ね
その口を開いて話しても
スマートとは言えないわよね?

でも私のために髪の毛一本変えないで
もし私を想ってくれるなら
そのままでいいの、愛しいバレンタイン、そのままで!
そうすれば、毎日がバレンタインデイなんだから

 

 「マイ・ファニー・バレンタイン」はフランク・シナトラやチェット・ベイカー、あるいはマイルス・デイビス、スタン・ゲッツといった男性ミュージシャンのバージョンが有名だが、もともとは古いミュージカル中で女性がバレンタインという名前の男性へ向けて歌っているナンバーで、そう知ると歌詞の内容も納得できる。
 シナトラ主演の映画「夜の豹」(1958年)でショーガール役のキム・ノヴァク(吹き替え)が歌うシーンは最高に素敵だし、リンダ・ロンシュタットのネルソン・リドル編曲のバージョン(1986年)はほとんどの場合省略されているバース(前置きの歌詞)も歌われている。
ちなみに、キム・ノヴァクのバージョンも、ネルソン・リドルが編曲。
 変わったところでは、映画「リプリー」の中で主演のマット・デイモンがチェット・ベイカー風に歌ったバージョン(共演のジュード・ロウもサックスを吹いている)や、「恋の行方」の中でミシェル・ファイファーが歌ったバージョンもあり、どちらも必聴必見の出来栄えだ。

 

「夜の豹」

 

「リプリー」

 

「恋の行方」

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ルーブル美術館」(再掲)

2025年02月14日 | 珠玉

「これまで建設した中で最大の施設の開所式を終え、来賓や応援の職員を送り出すと、急に静寂が訪れた。

開所はゴールではなく、スタートだ、明日からしっかり施設運営を頑張ろう。

そう自分を鼓舞しながら、ふと後ろを振り返ると、グループホーム虔十のY管理者が一人立っていた。

大変な盛況でしたね、おつかれさまでした。

親身なねぎらいの言葉をもらってやや感傷的な気分になった僕は、彼女を促がし、改めて施設内をくまなく案内した。

新しい工夫や既存の施設から持ち込んだノウハウを簡潔に説明するたび、勝手を知る相手からは的確な感想や質問が返ってきた。

歩きながら、あるいは立ち止まって、そんなやり取りを重ねているうちに、妙な既視感に襲われた。

これはいったいなんだったろう。

思い出せないまま、Y管理者を見送った。」

「その夜、思い当たった。

20年以上前に観た、NHKのドキュメンタリーシリーズ「ルーブル美術館」(1985年放映、全13回)だ。

日英仏の有名俳優の男女一組が各回の案内役を務めるという、バブル期の入口に作られただけある豪華な内容だった。

とりわけ第3回(と第10回)は大問題作「愛の嵐」(1977年)で共演した名優ダーク・ボガードと名花シャーロット・ランプリングが出演しており、よくこの企画が通ったものだとめまいがした。

この二人がサモトラケのニケ像やミロのビーナスについて対話しながらルーブルの館内を巡る。

本当に素敵だった。」 

「愛の嵐」より

 

 

 

第10回

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする