朝早く自宅を出て、100キロ離れた県都での長い打ち合わせを終えた僕は疲れもあり、ケヤキ並木を見下ろすビルの二階にある古い喫茶店の片隅でうとうとしていた。
夢を見た。
僕は雪深い山の中を延々歩いている。送電線が正常な状態であるか、確認するための作業らしい。凍え死にそうだ。
何かの説明会に従妹と出席しているのだが、彼女が本当にそうなのか、分からなくなっている。
朝方まだ暗い中、僕は砂浜に座ってサーフィンを見ている。この静けさは、映画「渚にて」に描かれた世界の終わりによく似ている。 「ムーン・リバー」を歌い終えたヘンリー・マンシーニの娘へ立ち上がって拍手を送っている。
何だろう、この一連の夢は。ゾートロープ、走馬灯か?
いや、まだ僕には死ぬ兆候も理由もない。
では明晰夢(いま夢を見ていると自覚しながら見る夢。夢だと自覚しながら、その内容を自由自在にコントロールできる者も居ると言われている)か?
でも、この夢を操作して僕に何のメリットがある?
頭を上げると、向かいの席にアーモンド型の光る眼があった。
よくお休みのようだったので、声を掛けずにいました。
パール、きみか、テスト・パターンを送りつけたのは。
また、お褒めいただき光栄です。
カフェグラッセには桃のクラフティなど合いそうですね。