朝鮮王朝(李王朝))中期に生まれ「東医宝鑑」を残した名医、許浚の小説を読んでおります。その中で
水には“33種類”もある。水をこれほど細かく分けるのは、水とは飲んで得になる水と、飲んでは害になる水があるからだ。とくに医員は水の質について正しくわかって初めて自分の調剤する薬の効果に付いて期待できる。・・・・・ 水の第一番は井華水といわれる。その性質は平で味は甘く毒がない。一日の黎明を開く天一真精が露となって水面に結晶しているからだ。よって病人の陰を保養する為の薬を煎じる時には、真心のこもった医師だと必ずこの水を使う。2番目は寒天水で夏は冷たく冬は暖かい。が、それも一番鶏の鳴く夜明け前のものでなければならない。この水を長服すれば胃反(胃がんに相当する病気)が治せる。三番目は、菊花水。又の名を菊英水とも言う。この水は風痺(手足などの体の麻痺)を治す。4番目の臘雪水は肝臓の病を治す。次は春雨水。すなわち陰暦正月の雨水で人の陽の気が衰えたときには、気を盛り返してくれるが清明の頃と穀雨の時には、その味が変わる事から選び分けて使うべきである。秋露水は日の昇る前の水に限るべきだが、これは腹中の菌をなくす薬の調剤には欠かせない水だ。次に腫瘍の毒気を消す為には梅雨水。心身の虚弱を治すためには甘燗水、そしてかゆみを治すには碧海水、すなわち海水でこれを沸かして体を洗う。骨折や筋肉痛には温泉水だが硫黄の匂いがする水を使い偏頭痛の治療には冷泉水を使う。・・・・
上記に書かれていますように、もちろんそのまま書かれています事を鵜呑みには出来ませんが、水は単なる水ではありません。患者さんを思いやる心も必要です。また、最善の治療方法を一緒に考えて提案する事も大切です。
ちなみに最古の本草書と言われています本草綱目には水を、天水類で13種類、地水類30種類に分類しており、夫々の特徴と注意事項を記述しております。
東洋医学は、水ひとつとっても患者さんの状態に合わせて使い分けをし、思いやりをこめて水の飲み方までの養生法があります。