冒頭2千字「はじめに」が印象的な「愚者が訊く」(倉本聰・林原博光、双葉社)。倉本さんみたいな「賢者」がその筋の専門家に話を訊く時には、こういう題名や前書きが必要なんだな。本物の愚者はこういう表現でとても安心する。
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「(この本で読者の方々に知って欲しいのは)無知をさらけ出し彼らにぶつかる度胸と勇気を持つ大切さである」の「彼ら」の選び方がそもそもだ。先頭の池上彰さん(「分かりやすい伝え方」)に膝をうちつつ、海洋学者、養蜂家、環境理学博士、霊長類学者、原子核工学者、農民作家の話に贅沢な時間を過ごす。森羅万象の事実と無知な私を実感。勉強、先生、生徒の関係を思う。「訊く」は、聞いた内容を理解してそれに応じること、「聴く」とも書く。「聞く」は音やこ声を耳で感じる(知る)こと。【新明解国語辞典】
さすがの「井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室 (新潮文庫)」。実際の市民講座4回分に驚く。「国語の時間」と同種の読後感 この頃、目にとまった新聞記事。チンパンジーに人権はあるか?(あるわけないだろ)、性器かたどった彫刻は芸術か猥褻か?(好きにしてくれ)、選挙後の新聞各社編集委員と安倍首相の寿司屋の晩餐(おごりでも断れよ)、米国製映画に北朝鮮サイバー攻撃、それに米大統領対抗措置警告(これは観たい)。
権利を学ぶ機会
名古屋にいた10年間、住民票は実家のままにしていたので、選挙は不在者投票を利用していた。はじめはその制度を知らなかったので、わざわざ帰省して期日前投票をしていたのだけれど、父に不在者投票のことを教えてもらってから、それを利用するようになった。
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若者の投票率の低下はずっと問題にされているけれど、とりわけ大学生は、わたしのように住民票を移していない子が多いんじゃないか。そして、不在者投票のことも知らないんじゃないだろうか。そんな気持ちから、憲法の講義の中で投票制度をレクチャーする機会を必ず持つようにした。
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講義後の感想では、不在者投票を知らない子が大半で、帰省しないといけないと思っていた、という声をたくさんきいた。小中高のどこかで習ってはいるのかもしれないけれど、いざ大人になったときに権利の行使の仕方を知らないというのは、やっぱり問題のような気がする。大学が最後の砦だと思って、レクチャーしていたのだった(続)。
踊らされる選挙結果
師走の総選挙終わる。さっぱり盛り上がらないのはマスコミの及び腰大きいと思っていたが、結果報道で確信する。与党喜ぶのは大きく、不利は小さく伝える。秘密保護法の呪縛思う。庶民は、政治で騙され、選挙で騙され、報道で騙される。
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さて今回の大ニュースは、自民党の減と、沖縄の自民党全滅だ。ところが、2日経っても取り上げられない。戦後最低の投票率は庶民が政治の主役だと思えないからで、政治不信の根っこの「与党不信」の表れ。だが、低投票率ほど組織票働く自民有利なはずだった、5割未満の支持で4分の3の議席取れてしまう小選挙区制度(これも政治不信の原因)だった。さらに、争点をぼかし、歪んだ選挙制度批判せず「死票つくるな」の与党批判封じにもとれるマスコミ、今回もまた集合離散の野党…そんなこんなで圧倒的に有利なはずだったが、自民4減。議席数に目を奪われがちだが、計算すると全庶民の自民支持率は2割ちょっとしかない。こういうのを圧倒的な騙され方と言う。
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議席数だって与党全体±ゼロなんで「大勝」じゃなく「維持」が妥当、「圧倒的」なあんて言葉は使っちゃいけない。今回の選挙中、争点が最も鮮明だった沖縄での自民惨敗、日本のマスコミがこれを「圧倒的」と取り上げなくてどうする?スコットランドや香港の時よりも小さいじゃないか…。
BAR「船木」紹介され嬉しい 猛吹雪予報。今朝…こっこれは…マララさんのノーベル平和賞受賞スピーチ差し替える。