波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

この頃のこと

2019年08月14日 | 日記・エッセイ・コラム


 

の頃よく作る冷やしうどん。昨夜もこれ。だから、今朝の新聞漫画『ののちゃん』でママヨさんと笑う。お父さんのブスッとした顔は、自分だけご馳走じゃない、損した表情かもしれないがそうとも言い切れない。冷やしうどんはとても美味いからだと、うどんの味方波風氏、お父さんが言い出した外食だから、お父さんが払ったのでムッとしているのかもしれない。

         

母の墓参りで故郷往復。ローマカトリックの静寂な墓地に立つと遠い日の記憶がポツリポツリと浮かぶ。父29歳、母86歳死去と刻まれた墓石。叔父(89歳)の家で祖母・祖父に線香をあげ親戚縁者の様子などを聞く。今年も叔父の自立した暮らしぶりに教えられる。1泊2日で9時間運転(ママヨさんと交替交替で)したが帰って来て2日間は使いものにならない。2人とも寝て過ごす。晴れの今朝は、波風食堂の入り口の階段(木製)にクレオソート塗る。

          

の日は、『江藤淳 終わる平成から昭和の保守を問う』(河出書房新社)と『戦争論 ロジェ・カイヨワ』(100分de名著:NHKテキスト)など読む。前者は、大江健三郎と夏目漱石の関わりで手にする文学者だが、「この本はいったいどういう人が読むのだろう?」と思った。自死したこの人を同じく自死した西部遭氏が追悼する文章に立ち止まる。後者は楽しみなTV番組で今月取り上げている作品。「この本を今までどうして読まなかったのだろう?」と思った。ものごとを考える自分の物差しがなんて曖昧なのと知る一冊。さて、原本を読むか読まないか.......


公式裏ブログ、『自宅用「冷やしうどん」やっています』で本日更新 今月18日の波風食堂ごっこはお昼開店にしますので予約された方々は12:00頃においでください。これを読んだら「わかりました」とメールください。連絡来なかったら電話します(笑)

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『愛するということ』をやっと読む。

2019年08月09日 | 読書

 

1ヶ月半かかって『愛するということ』(紀伊國屋書店:エーリッヒ・フロム著 鈴木晶訳)読む。「自分の人格全体を発達させ、それが生産的な方向に向くよう、全力をあげて努力しない限り、人を愛そうとしても必ず失敗する」と冒頭にあり、「愛の性質を分析することは、今日、愛が全般的に欠けていることを発見し、愛の不在の原因となっている社会的な諸条件を批判することである。・・・愛の可能性を信じることは、人間の本性そのものへの洞察にもとづいた、理にかなった信念なのである。」と結ぶ。
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愛は感情でなく技術とし、親子愛、兄弟愛、母性愛、異性愛、自己愛、神への愛を分析し、現代の愛の崩壊を示し、愛の修練を個人を規定する資本主義の論理で説明する。恋愛のハウツー本を期待すると完璧に裏切られる哲学書。ここ数年で一番面倒くさかった読書体験。何が書かれ、何を感じたかと問われても答えるのは難しい(涙)。だが、読んで良かった。人間の感情的・心理的な個人的な現象だと思っていた『愛』を理論的に分析する本に出合ったのだから。分かる言葉で分からない理屈を考えさせられる苦痛というか楽しさというか。辛いが美味い、辛いが楽しい、みたいな。
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読むきっかけは、Eテレ『100分de名著』の解説本で人気ランキング上位にあったからと、この題名(笑)。『愛』なるまことに不可思議な人間らしさを上下左右前後斜めに手玉にとって語る作者の凄さに圧倒される。まあとにかく、今月末の読書交流会までに感想をまとめておこう。前回の読書会で、「今半分読んだところ。もし全部読み終われたら感想を言えるかもしれない」と約束したので。


「確かなのは過去についてだけで、将来について確かなことといったら、死ぬということだけだ」(『愛するということ』から)が浮かんだ昨日。年賀状に「夏には波風食堂のうどんを食べに行きたい」とあり、2週間前に波風新聞を送った方の通夜 難しい本を読んだ後、『安西水丸 面白美術1年生』で「達者は危険」「頭で考えたことより、やってみて楽しいことがあなたに合っている」と教えてくれるイラストレーションを見続ける。

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記憶そのものが激痛である時

2019年08月05日 | 新聞感想


 

日の天声人語(8/5朝日新聞)に、「生きて地獄を見た者は、何年たとうと記憶そのものが激痛を伴う。語ることは新たな苦しみ」という言葉。被爆体験を秘し数年前から語り始めた「ミスター赤ヘル」山本浩二さんの長兄、宏さん(81)の思いに添えた執筆者の言葉。

         

うすぐ、広島と長崎、終戦の慰霊祭。戦争の悲劇が風化していくのはある意味で仕方が無い。だが、想像もできない当事者の苦しみを理解しようとする心はいつの時代になっても、人間が存在する限り失われてはならない。執筆者は「そんなことに思いが至らなかった自分を恥じた」と書き、「被爆体験者が、求められて体験を語るだろう。投下から70年余が過ぎても癒えぬ『語り部』の痛みを思い、語ると決意した勇気に学びたい」としめくくる。

                   

らゆる出来事で、口汚く相手をののしる言葉遣いが爆発的に増えてきた。相手を容赦なく罵倒する言葉に自分が慣れるのが怖い。自分の短兵急な反応に任せず、「相手の痛みに思いが至らないことを恥じる」という一点を、語る相手についても、反応する自分に対しても正常かどうかの判断基準にして、心静かに暮らしたいものだ。

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第11回 読書交流会記録(下)

2019年08月03日 | 読書

HY(男) 3月1日に『吾輩は猫である』を読み始め、7月18日に『明暗』読み終わる。読もうと思っていた夏目漱石の文庫本をだいたい読んだ。養父から金をせびられたり華やかだった兄弟が没落したり、功成り遂げた作家の意外な面(『それから』)、自分の境遇で似たところ感じたり(『坑夫』)、思うところがあった。おすすめは、自分の意志を貫く『坊ちゃん』。猫と苦沙弥先生の語る話が錯綜して読み続けられなかったのが『我が輩は猫である』。漱石作品をこんなに読めたのは自信に、引き続き森鴎外に挑戦中。

波風立男 おすすめは、ありそうでなかった『礼文・利尻 2島物語』(北海道新聞社:杣田美野里・宮本誠一郎作)。現在読書中が『愛するということ』(紀伊國屋書店:エーリッヒ・フロム著)、定義が難しい『愛』について、それは誰もが簡単に浸れる感情でなく、相当に自立した人間だけがなし得る技術、という冒頭の言葉に引きづれら、ほぼ哲学書を止めるに止められず半分まで来た。次回の交流会で「こういうことがわかった」と言いたい。ここ数年で、最も興味がありながら凄く難しい本。(11回目の読書交流記録は以上終わり)


かいぎゃく【諧謔】 (『諧』も『謔』も、たわいもないことを言って人を笑わせる意味)相手を楽しませ、その場の雰囲気を和らげるのに役立つ、気の利いた言葉  ※新明解国語辞典から。子どもの時も、老人の今も、全然変わらないのはこの『諧謔』なのかもしれないと思う波風氏であった。 

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第11回 読書交流会記録(中)

2019年08月02日 | 読書

SN(女) 発達障害の主人公の気持ちが何となくわかる『コンビニ人間』。過疎地で育ち急に街の中学に通い、男女別のたまり場所、親の身分・経済格差、虫にキャアキャア言う女生徒・・・楽しさが違う世界で意見を言わず同調する自分。マニュアルがあれば苦労しなかったのに。この本、3回連続で紹介され、今回参加者の全員が読んだことに。
『画家 高橋英生』(響文社:高橋英世絵、吉田豪介解説)、お世話になりご逝去され2年になる画家の画集。69歳で札幌から生まれ故郷稚内に移り住んで描き、文化創造に命をかけた画家に敬意。パリを描いた絵が好き。

ママヨさん 『日本が売られる』(幻冬舎:堤未果著)。暮らしの根幹、水、土、種、農地、森、海が売られ、未来を約束する、仕事、学校、医療、老後、情報が売られる恐ろしい新自由主義の実態。放射能汚染の土が公共事業に使われたり、なぜ築地の移転が必要だったのかなど、情報操作でこっそりと国民の財産が売り飛ばされている。反面、露が食の自給率を大事にし、仏が民営化した水道を公営化に戻したり、米が親の要求で農薬使用の制限(日本はそれよりうんとひどい)などは勉強になった。波風氏が買って「読む時間が無いから先に読んで中身教えて」と言われて読んだ本。(次回に続く)


参加者に「いつ本を読むのか?」を聞いた。「夕食後、2時間で70頁ぐらいを毎日読む」「寝る前に1時間ぐらいい」「朝5時から30分」、「午前中に家事終わらせ、洗濯機回しながら午後3時間、春まで働いていたのでその反動かな」「この読書会の1週間前ぐらいから家事の合間で必死に」。すごいなあ、と波風氏は思った。

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