波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

デジタル投稿版『ほんのおつきあい』記録(下)

2020年04月21日 | 読書

※前回からの続き

MS(女) (開催されていれば)交流予定無し。聞くだけ参加希望でした。 ※こういう参加も嬉しい(波風)

ママヨ 『ベルリンは晴れているか』(深緑野分著:筑摩書房)、舞台は大戦直後のベルリン、知らなかった敗戦後のドイツ人の生活、ソ連や米国との関係、ユダヤ人や障がい者、今に通じるテーマを膨大な資料を読み込み一人称で小説化した若い日本の作家に驚く。ミステリー仕立てが難で★4。『abさんご』(黒田夏子著:文藝春秋)、横書きの表題作(芥川賞75歳で受賞)と縦書きのデビュー作(26歳時)のリバーシブル本。縦書きの方は、状況と心が繊細な描写。縦書きの方は読んでいる途中だがとても疲れる(笑)★3。
おすすめは『13歳「私」をなくした私』(山本潤著:朝日新聞出版)、波風氏が読むのを躊躇していたすきに読む。時間かかる私が2日で読了。同性だが知らないことを知らされ、性暴力だけにとどまらない「人間とは何か」、「苦しみをどう生きるか」という普遍的テーマを考えさせられる。読みやすく、問題解決資料が親切★5。

 

波風氏 『セカンドライフ、はじめてみました』(bonとpon著:大和書房)、ファッション的な暮らし方にしぼった老後生活を可愛く、楽しく、仲良く。束縛されずに「人は人・自分は自分」の精神はマル★3。『信州ハンドクラフト手帳』(伊藤まさこ著:信州毎日新聞社)、この手の本が好き(笑)、信州松本で見た民芸思い出す、使ってみたい道具満載とくにザル、落ち着いたレイアウトと写真使いと価格1.500円が素敵★4。『13歳「私」をなくした私』、理解できないところ多いが男が読むべき本★5。『週間文春3/26、4/16号』の近畿財務職員手記の大スクープ記事、SNさんの意見に同じ、コロナ禍で風化させてはならない、「再調査必要72%、必要無し16%」(4/21朝日朝刊の世論調査結果)★5。
おすすめは鶴見俊輔著『戦時期日本の精神史』、コロナウイルス禍を「第3次世界戦争」とみなし権力集中・人権侵害を目論んだり、当然の論争や表現を「対立」とし問答無用の「一致」求める情報操作、当然のように「自分だけは」の格差と分断が広がる今、揺るぎのない精神と暮らしの土台を再確認できる一冊。戦争動員の手口と市民心理、間違わない判断と勇気をまなぶ★5。


今月26日(日)予定の読書交流会はやはり中止します。やっても落ち着かないからです。5月には波風食堂開店とともに実現したい ママヨさんがマスク作っている。なかなか素敵。ウドンでも作ろうかなと思う波風氏。

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デジタル投稿版 『ほんのおつきあい』記録(上)

2020年04月20日 | 読書

先月で18回目になる読書交流会『ほんのおつきあい』を、コロナ騒ぎで中止した。その時、本ブログ上で交流したいので読書感想を送信して下さいとお願いした。3名からいただき、ママヨさんと波風氏も加えてUP。

KK(女) 『友達未遂』(講談社:宮西真冬著)面白いミステリーと話題になっていた、全寮制女子校の4人の成長を、丁寧に描き読み応えあり。題名ほどのインパクトは無いかな★3。『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』(幻冬舎:島本理生著)、30歳の女性と年上の男性。何の問題もないふたりだが、彼がエイズ。どうやって2人は乗り越えたらいいのか。柔らかな文体と穏やかなふたりの愛に引き込まれる大人の恋愛小説★4。
おすすめは、全16巻コミック『薔薇のために』(小学館文庫:吉村明美著)、18歳で天涯孤独になった「ゆり」が、祖母の遺言で「本当の母親」(誰もが知る有名な女優)へ向かう。突然超美形一家に放り込まれ、容姿コンプレックスの「ゆり」を中心にした愛の物語。この漫画のすごさはたくさんの愛のかたちを丁寧に描いているところ。家族、恋人、友だち、そして自分自身。人間から目をそらさずに救いが生まれることを教えてくれる。「ゆり」の恋が素晴らしい★5。

SN(女) 『でっちあげ』(福田ますみ著:新潮文庫)、子供をネタにして、教師を攻撃する虚言壁の親と、ただただことを穏便に済ませたい学校上司と、面白おかしく報道するマスコミの姿。『モンスターマザー』(同前)、前著同様、虚言壁の母親が学校側にクレームをつけ騒ぎ立てたる、教師や保護者、行政が真実を明らかにして裁判になり、校長がターゲットになり。マスコミが学校を悪者に。この2冊を読み、こんな極端な例は滅多にないとしても、教師って大変だなぁと思った。精神科に通う教師が増えていることに納得。それと、日本のマスコミって終わってる、現政権ももう少しマスコミがきちんと報道していればこんな国にはなっていないと思った。
おすすめは、『週間文春』(3/26号)、2年前の3月7日近畿財務局職員・赤木俊夫氏が自ら命を絶った赤木さんの遺書。とにかくこの記事はみんなに読んでもらいたい。隠ぺい工作した上司の「真相」も必読(4/16号)。現政権の本質と状況が非常によくわかる。「再調査せよ」というネット署名(http://chng.it/yBNFhJG97G)も大きな支持を集めている。評価は全部★5。  ※次回に続く。


【波風氏談】昨日買い物に行き、当地で罹患した方の噂聞く。被害に遭った方は、辛いだろうなあ苦しんでおられるだろうなあ、可哀想だなあと思った。悪いのはあくまでもウィルスですからね  5月開店予定の波風食堂だが、設立趣旨も実態も『三密』そのものだから悩むママヨさんが会員の体操教室とボランティア活動が連休明けまで休業。今月末予定のリアル『読書交流会』は今日一日じっくり考えて開閉お知らせします。

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『13歳 「私」をなくした私』を読み終わる。

2020年04月17日 | 読書

 

間かかって、『13歳 「私」をなくした私』(山本潤著:朝日新聞出版)読み終わる。副題「性暴力と生きることのリアル」。冒頭の「私は、父親からの性的虐待のサバイバーだ。私が13歳のとき、父は私に性加害するようになり、それは母と父が別れるまで7年間続いた。」から最後まで、読むのが辛かった。「サバイバー」とは生存者の意味、性暴力からの生還だけでなく、死にたい状態でも生き続けることと作者。

ェンダー平等を特集した新聞記事で、見出しの「性暴力にもっと向き合う社会を」と山本さんの輝くような笑顔のギャップに目がとまり、レイプ被害者が女性の13人に1人、男性の67人に1人に驚き、「知るべきことが書いてある」と思い本を買った。
性暴力は『関係性の病』の言葉に立ち止まる。加害者と被害者の関係だけでなく、自分に対する適応、男性中心社会の歴史と制度。読み続けられたのは、筆者の勇気と知性に励まされたからだ。最初の20頁ほど(「はじめに」と「性暴力が始まった」)で読めなくなり、放り出したのをママヨさんが2日で読み「男のあなたが読むべきだ」と言われ、2週間少しづつ修行みたいな感じで読んだ。性暴力が人間を『もの』として扱う犯罪であり、精神性を無慈悲に葬る非人間的な行為という考えに納得。

問題を越え、人間という生き物の譲れない『精神』というものを考える。幼くても備わっている人間の核。強くねじ曲げられたり折られたなら、意識の問題で時間が解決するなどという自然治癒は極めて難しい。根本的な関係性は変わらないのだから。『サバイバー』として生きる選択に驚嘆する。著者のような過酷な体験とは違っても、生き方の選択は誰もがしなければならない。その場合の根本的な問題を孕んだ一冊だと思う。


「人と接触しないように」と「人と話をしたい」の矛盾入り乱れる今。ケイコさんが遊びに来てくれて、ブログや読書のことなどを話する。楽しかった 筍ご飯を2度いただく今週。「1年に一度は食べたいもの」の春の部トップのメニュー。薄皮とワカメの味噌汁、ホッケの塩焼きでママレード、お団子、筍ご飯、刻んだり丸めたりで「手が疲れ切った一日でした」とママヨさん。

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言葉のケイコ【その廿拾玖(にじゅうく)】

2020年04月14日 | 【保管】言葉のケイコ

ひとめぼれのはなし


17歳のとき。私は一目惚れというものをした。それから25年以上たって振り返ってもあれきりのことだから、たぶん一生に一度のことだ。目に入った一瞬で、息ができなくなった。「心臓が早鐘のように」という表現そのままにドキドキした。ものすごく好きで、だから絶対結婚できると信じていた。その一途さたるや。だが叶わない。なぜなら彼は、テレビの向こう側にいた。広島東洋カープの、前田智徳選手。それまで巨人ファンだった私を一気にカープファンに鞍替えさせた運命の人。もちろん当時はネット環境が整っていないから、北海道民の私の情報源はスポーツニュースやスポーツ新聞など。初めて広島市民球場に行って前田選手を見たときの感動は言葉では言い表せない。ちなみに前田選手はその試合でホームランを打ってくれた。(私のために!)現役の前田選手を生で見たのはそれが最初で最後だったが、私の中では今でも一番好きな選手であり、恋し続けている。だからいつ迎えに来てくれてもいいように心の準備だけは怠らない(笑)。

きすぎて我が息子に前田選手の名をつけるまでの私。カープファン歴も25年を越えた。プロ野球の開幕は延期。でも息子とその日を楽しみに待つ。ちなみにうちのともちゃんは、オリックスファン。カープエリートにしようと思ったのに、うまくいかないものだ。

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続 暮らしのつながり方

2020年04月11日 | 日記・エッセイ・コラム

き両親の手紙や日記類。大半は始末していたが、胸の鼓動や吐息が聞こえそうなのは捨てきれなかった。病床で妻と子どもを気づかう手紙類や日記、結婚前からのたくさんの俳句、母が60年間大事にしていたからだ。最初に片付けた妹から、「これはお兄ちゃんが持っている方がいい」と渡されていた。

 

聞の悩み相談に、「亡父の日記を読んで良いのか」(女性60代)という相談があり、「故人にもプライバシーはあるはず」(政治学者 姜尚中)と回答があった。相談者の生き残った者は、逝った人の心の中にどのように触れることが許されるのか、心が表されたものをどのように扱うべきか」に対して、「日記はお父さん以外の人を想定せず、血を分けた息子や娘でも当てはまる。故人でもプライバシーはある・・・・・あなたの知っているお父さんだけで十分なはずです。」と回答されている。

 

死の父だから思い出がほとんど無い波風氏は、手紙と日記を開いて読ませてもらった。その上で始末した。妹も読んでいるはずだ。20代の父と母は、10年に満たない年月でこんな精神生活を送っていた。残された手紙や日記は、父との思い出とともに生きる糧だっただろう。本来は、母が亡くなった時に一緒に焼いてあげればよかったと思う。
片付けが一段落した後、「あなたが私より先に亡くなったら日記や手紙は読まないで始末する。その逆なら、同じようにして欲しい」とママヨさんに話した。


画像の俳句は父のもの。「背の子」は波風氏だろう 亡くなった後に日記が残され、そこに小姑の悪口がたくさん綴られていてそれが張本人に渡されて大変なことになったという話を聞いたことがある

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