うちのともちゃん(たった一度の 編)
ともちゃんは本当によくできた息子である。休校中の今は寝てるか食べてるかスマホ見てるか(と少しのお勉強)の生活でだらけてはいるが、一緒にいる私に悪態をつくことも鬱陶しがることもほぼない。お互いにイライラすることはもちろんあるが、長く引きずることもない。なんだかんだ仲がいい。これは今に始まったことではなく、小さい頃からそうだった。私の仕事を尊重し、寂しいとか嫌だとかあまり言うことはなく、じっと私の帰りを待っていた。そんなよくできたともちゃんがたった一度私に訴えたこと。それが、「どれだけ帰りが遅くなってもいいからご飯を作って欲しい」ということ。私が忙しさにかまけて3日連続コンビニご飯になってしまったとき、ともちゃんは初めて私にきちんと自分の思いを伝えた。今までどれだけ我慢していたことか。だから私は深く反省し、それ以降よっぽどでない限りは必ず自分で作るようにした。たとえ帰宅が20時を過ぎても、ともちゃんは私の料理を待っていた。
それから5年ほどたったが、ともちゃんは相変わらず私の作るものは黙々と食べる。もちろん今は仕事を離れて余裕もあるから、それだけバランスのいい食事も作ることができる。でもたまに、スーパーのお惣菜を買ってきたっていい。ともちゃんに必要だったのは、「ママがともちゃんのために使う時間」だったのだと今ならわかる。おそらくあと数年で私はその時間を手放さなければいけなくなる。だから今は、毎日ともちゃんのためにご飯が作れることを幸せだと思うのだ。
【波風氏談】『うちのともちゃん』は、ケイコさんの心を時々キューンってわしづかみにする。彼はそれをわかっているのかわかっていないのか。今日は『こどもの日』 画像は、民芸品店で見た『和紙の鯉のぼり』を作りそれを描いたもの。11年前になるんだなあ。