第1話「独楽と羽子板」、「かわせみ」に泊まった客をあやうく盗人夫婦と勘違いするところだった。あぶないあぶない。客商売ですからね。第2話「柿の木の下」は、乱暴者のために若死にした兄の仇をとる娘の話。その昔、祖父に「桜折る馬鹿、柿折らぬ馬鹿」という言葉を教えてもらった。柿の枝は、折ると新しい枝に翌年実がなるのだそうな。確かに柿の枝は折れやすくできており、木登りには向かないだろう。
第3話、表題作「犬張子の謎」、るいが気に入って求めた犬張子を、職人が注文品なので別のものと交換してほしいと頼みに来た。だが、老職人と母となったが幸うすい娘は無残にも殺害される。危難は息子にも及びそうになるが、元締め文吾兵衛らの活躍もあり、かわせみの玄関前の大捕物となる。真っ二つにされた犬張子の中に隠されたこよりの中には、孫を思う祖父の周到な心配りがあった。
第4話「鯉魚の仇討ち」、人前では決して描かない人気の高い絵師が、実は父親の絵を横取りした男だった。第5話「十軒店人形市」は、一種のどたばたコメディだ。東吾が仙五郎の孫に祝いに与えた旗を、正吉にも買ってやったら深川の長寿庵の長吉にも、源三郎の息子の源太郎にも、ついには七重に無心されて小太郎にも、という具合で、あちらでもこちらでも買わされる。事件はもう記憶にないが、東吾の苦笑が目に見えるようだ。なかなか愉快な話です。
第6話「愛宕まいり」、材木問屋の甲州屋に長年奉公したのに、暇を願ったら引き留めもされない。だが、馬に蹴られてケガをしたのが幸いして、火付け犯人にされずに済んだ。永年勤続の社員が窓際族にされ、なくなく辞職願を書くようなものですな。
第7話「蓮の花」、たしかお釈迦様が乗っている花ではなかったか。蓮沼に三十年間遺体が埋まっていたなんて、あまりぞっとしません。
第8話「富貴蘭の殺人」、預った花を枯らしたとして女が自殺したと言う。だが、女には自殺する理由がなかった。しかも、飼い犬は知っている人には吠えない。奥方の密通に気づいた殿様は、蘭のために詰腹を切らされている。神林東吾の推理が冴え、犯人があがる。
麻生宗太郎と七重の夫婦は、なんともとぼけた味があり、幸せを感じさせる。七重さんを見ていると、ほれた人に嫁ぐばかりが幸せではない、言い替えれば、恋愛が幸福への唯一の道ではないのだ、と感じる。
第3話、表題作「犬張子の謎」、るいが気に入って求めた犬張子を、職人が注文品なので別のものと交換してほしいと頼みに来た。だが、老職人と母となったが幸うすい娘は無残にも殺害される。危難は息子にも及びそうになるが、元締め文吾兵衛らの活躍もあり、かわせみの玄関前の大捕物となる。真っ二つにされた犬張子の中に隠されたこよりの中には、孫を思う祖父の周到な心配りがあった。
第4話「鯉魚の仇討ち」、人前では決して描かない人気の高い絵師が、実は父親の絵を横取りした男だった。第5話「十軒店人形市」は、一種のどたばたコメディだ。東吾が仙五郎の孫に祝いに与えた旗を、正吉にも買ってやったら深川の長寿庵の長吉にも、源三郎の息子の源太郎にも、ついには七重に無心されて小太郎にも、という具合で、あちらでもこちらでも買わされる。事件はもう記憶にないが、東吾の苦笑が目に見えるようだ。なかなか愉快な話です。
第6話「愛宕まいり」、材木問屋の甲州屋に長年奉公したのに、暇を願ったら引き留めもされない。だが、馬に蹴られてケガをしたのが幸いして、火付け犯人にされずに済んだ。永年勤続の社員が窓際族にされ、なくなく辞職願を書くようなものですな。
第7話「蓮の花」、たしかお釈迦様が乗っている花ではなかったか。蓮沼に三十年間遺体が埋まっていたなんて、あまりぞっとしません。
第8話「富貴蘭の殺人」、預った花を枯らしたとして女が自殺したと言う。だが、女には自殺する理由がなかった。しかも、飼い犬は知っている人には吠えない。奥方の密通に気づいた殿様は、蘭のために詰腹を切らされている。神林東吾の推理が冴え、犯人があがる。
麻生宗太郎と七重の夫婦は、なんともとぼけた味があり、幸せを感じさせる。七重さんを見ていると、ほれた人に嫁ぐばかりが幸せではない、言い替えれば、恋愛が幸福への唯一の道ではないのだ、と感じる。