電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第3番」を聞く

2005年10月14日 21時00分11秒 | -協奏曲
全国的には週末の連休となるが、残念ながら明日の土曜日も勤務がある。しかも、夜は宴席があり、ここしばらく続けてきた連続投稿記録も危ういかもしれない。という具合に、秋の日の短さゆえか、感覚も思考も後ろ向きになりがちだ。こんなときは、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲が特効薬かも。とりわけ、第3番ト長調。第1楽章の冒頭、出だしの音楽を聞いただけで、何かいいことがありそうなワクワク感がある。

LPの時代から長く聞いてきたのは、アイザック・スターンとジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏する1961年1月の録音(CBS SONY 20AC-1577)。どちらかといえば粘着型のスターンの演奏だが、ここではゆったりしたテンポでスケールの大きな大柄の音楽を展開する。セル指揮するクリーヴランド管弦楽団の演奏も、大規模なオーケストラであるにもかかわらず、軽やかで精妙な身振りの体操選手を見るような圧倒的な見事さがある。この演奏は、カセットテープにダビングして、遠距離通勤の時代にも、カーステレオでよく聞いた。私が特に愛好するのは、第1楽章だ。

CDでよく聞くのは、ジャン=ジャック・カントロフのヴァイオリン独奏、レオポルト・ハーガー指揮オランダ室内管弦楽団による、1984年、アムステルダムのヴァールス教会におけるデジタル録音(DENON COCO-70454、写真右下)。こちらは、速めのテンポで颯爽とした演奏だ。録音もヴァイオリンの美音を見事にとらえているし、雰囲気もよく出ていると思う。

いつも、聞くたびに幸せな気分になる、不思議な音楽。演奏が良いとか悪いとか、そんなことを忘れてしまう音楽。聞いたあとに、「ああ、良い音楽を聞いた!」と満足感を覚える音楽。この曲について以前一度書いた記事が消滅して「へこんで」いたけれど、また書いてみたいと思わせる音楽だ。

両方とも、第5番「トルコ風」がカプリングされている。第5番のほうは、ピエール・アモイヤル(Vn)とアルミン・ジョルダン指揮ローザンヌ室内管弦楽団の演奏したCD(写真左下、ERATO CDMC-1048)もある。こちらも良い演奏だが、カプリングは第3番ではなくて第4番のほうだ。

■スターン(Vn)セル指揮クリーヴランド管
I=9'24" II=9'26" III=6'07" total=24'57"
■カントロフ(Vn)ハーガー指揮オランダ室内管
I=8'45" II=7'21" III=5'37" total=21'13"
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