電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

文春ムック「蝉しぐれ」と藤沢周平の世界

2005年10月06日 21時18分33秒 | -藤沢周平
今、映画の「蝉しぐれ」をあてこんで、文春ムックで「『蝉しぐれ』と藤沢周平の世界」という冊子が出ている。映画の撮影のこととか、主演者の作品理解などが読めて、それはそれで興味深いものだ。
ところで、この中に、藤沢周平の長女・遠藤展子さんが書いた「父のぬくもりを感じながら」という文章がある。これがたいへん興味深かった。角形ルーペや湯呑み、万年筆に碁盤、体温計など、父の愛用の遺品を語りながら、家族の眼から見た藤沢周平の姿を描いている。特に、遺品の中に木刀があり、母が物干場で洗濯物を干していると、室内で木刀を振り回し、秘剣の形を再現して研究していたとか。この話、なんとなく可笑しみがある。
長く療養所生活を送った人には、どうも共通な性質があるようだ。吉村昭氏も、作品中で几帳面な生活スタイルを頑なに守ろうとする人々を描いている。藤沢周平の生活スタイルにも、こうした要素があるようだ。
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