電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

WEBやブログ記事と著作権に関わるマナー

2005年10月16日 18時04分51秒 | ブログ運営
WEBやブログが普及して、それまで思いもしなかったような問題に直面することがある。たとえば、記事や画像に関わる著作権やマナーの問題もその一つだ。
「物語案内」のサイト(*)では、当初、取り上げた本の表紙やカバー写真などを載せる計画だった。しかし、表紙やカバー写真等の著作権の扱いが出版社によりまちまちであることを知り、断念した。画像には、「引用」という概念は存在しない。残念だったが、逆に何種類もの翻訳や縮訳などがある古典的名作などでは、特定の一冊にとらわれず、自由に説明することができるという長所もあった。また、本文の一部をそっくり引き写して終わることも、「引用」の範疇を逸脱することになる。そこで、物語を解説した短い文章も、全部自分で読み、自分で考えて掲載している。
本ブログにおいては、LPレコードやCDなどは、ジャケット等をそのまま複製し掲載することはしない方針を取っている。ジャケットは再販時に変更されることも多く、必ずしもその録音をイメージできるとは限らないからだ。画像を掲載するときは、必ず関連するものと組み合わせ、意図的に美的な要素を持ったオブジェとして写真撮影し、加工して取り扱うことにしている。
著作権は守られる必要がある。また、著作権に関するマナーも大切にされる必要があると思う。と同時に、著作権保護に名を借りた振り込め詐欺まがいの行為は許されないとも思う。著作権に関して、権利者の意見を尊重することは必要だが、何の権利も関わりもない者が、権利者の代行をしていると称して金銭や不当な要求をしたりすることは、社会的に許されるべきではないと思うが、いかがなものだろうか。
また、著作権法上の権利がすでに消滅している場合は、公共の財産として扱われることになる。すでに公共の財産となった著作物をどう生かしていくかもまた、私たちの大切な課題だといえるのではないか。
(*): 「物語案内」における著作権の考え方
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高校文化祭における銀鏡反応の爆発事故について

2005年10月16日 12時20分24秒 | Weblog
さる10月1日、千葉県柏市の芝浦工大付属柏高等学校の文化祭において、銀鏡反応のデモンストレーション実験中に爆発事故がおこり、父親と一緒に参加していた小学校六年生の男児と同校生徒の2名の目に試薬が入り、水洗し病院に運び手当を受けたたものの、男児は角膜の一部に薬傷をうけているとのこと(*1)だ。その後の経過は不明だが、被害にあった2名のすみやかな回復を祈りたい。

無色の水溶液からしだいに鏡ができる銀鏡反応の実験は、初めて見ると本当に感動する。その意味で、デモンストレーション効果のあがる実験だと思う。高校文化祭などで取り上げる意味もわかる。ただ、報道の中で、いくつか気になることがあった。

(1)銀化合物の価格はきわめて高い。材料の硝酸銀は、試薬びん1本で1万円近くするはずだ。高校の文化祭で大量に使うには高価すぎる。おそらく、この高校が文部科学省の指定を受け、スーパーサイエンスハイスクール(*2)として全国数十校程度の高校に7億円の予算が投下され、ふんだんに予算を使える(使わなければならない)、きわめて特殊な環境にあったことが背景にあるためであろう。
(2)高校の化学の教科書にあるような試験管程度の実験ならば、水酸化ナトリウムを加える必要はなく、硝酸銀とアンモニア水だけでよいはずだ。この方法なら、廃液の処理(酸性貯留)さえきちんとすれば、安全性は高い。しかし、平面ガラスや大型のビンの内部など一定の広さにむらなく鏡を作るには、水酸化ナトリウムを同時に用いる処方が書いてある本が多い。
(3)水酸化ナトリウムや水酸化カリウムで強アルカリ性にした条件では、爆発性の銀窒化物(Ag3N)が生成しやすくなるという。たとえば、少々古い本だが『化学実験の安全指針』(日本化学会、初版)には、化学実験の事故例として「銀の窒素化合物」をあげ、「硝酸銀で黒くよごれたポリエチレンビーカーをきれいにしようとして、希硝酸、塩酸、王水、アンモニア水などで洗ってみたがきれいにならず、20%水酸化ナトリウムを入れて放置し(中略)これを動かそうとして爆発した」「銀のアンモニア錯塩を作るため、硝酸銀水溶液に水酸化ナトリウムを加えて酸化銀を沈殿させ、それからアンモニア水を加えて少し加温したら爆発」などの事例が載っている。しかしこれらの知識は、一般的な書籍には書いてない場合が多いのではないか。
(4)学校側も、25歳の女性教諭が指導し、作り置きしたアンモニア性硝酸銀溶液が爆発しやすい危険性は認識し警告していたようだ。また、生徒たちも3ヶ月も前から予備実験を行って準備を行っていたようだ。しかし、水酸化ナトリウムを加えたため「当日調製した」試薬が爆発するとは思わなかったのではないか。爆発を想定していなかったからこそ、防護めがねをするなどの対策をとっていなかったのだろう。
(5)では、文化祭の指導に関連して、安全性を確認するために若い指導者が情報収集するような時間的な余裕はあったのだろうか。たぶん、四つのグループの指導に追われ、予定通り準備をするだけで精一杯だったのではないか。

私の祖母は、緑内障で中途失明し全盲となったため、失明した人のつらさと悲しみ、生活の不便がよくわかる。目は、人間の体の中でもっとも弱い部分である。化学実験では、目を保護することがなにより大切なことだと思う。危険を想定し、対策を講じることは、知識がなくてはできない。危険性を予知するには、徹底した事前の調査しかない。化学に関わる者は、当座の知識だけですまそうとせず、謙虚な意識が必要だろうと思う。

(*1): 事故のニュース記事
(*2): スーパーサイエンスハイスクール指定校一覧
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平岩弓枝『御宿かわせみ20・お吉の茶碗』を読む

2005年10月16日 09時02分34秒 | -平岩弓技
夜の宴席のために、昨日はマイカー通勤ではなく電車を利用。休日、電車はあまり混雑せず、座って本を読めるのがありがたい。平岩弓枝著『御宿かわせみ20・お吉の茶碗』を読む。
第1話「花嫁の仇討」は、金目当てで仲人をする不誠実な医者に、なんとかして仇討ちをしようとする母娘の話。第2話は表題作「お吉の茶碗」、1箱いくらでまとめて売る骨董屋なんてあるのか、よく考えればわかりそうなものだが、まさか盗品売買だったとは。しかし、ネットオークションでだまされる現代の私たちも、あまりお吉を笑えないかも。第3話「池の端七軒町」は、息子が人にだまされて店を失った善良な祖母と勝気な孫娘が、喧嘩をしながらも二人そろって焼死してしまう、哀れな話だ。
第4話「汐浜の殺人」、塩谷のお内儀が長襦袢を誂えて「かわせみ」で誰かを待っていた。旦那がやってきて内儀は水死する。弟が横浜からやってきて、お内儀の死を知る。血のつながらない姉と弟、嫉妬する旦那の凶行、そして仇討ち。なんとも救いのない話だ。
第5話「春桃院門前」、双子のようにうり二つの娘が出会い、許婚が帰ってくると知って企んだ殺人。「二年ぶりに会って・・・あの人、あたしが変わったって・・・別の女のように見えるって」「変わりますよ、二人も人を殺しているんですから・・・」。自首したものの、牢内で喀血して息を引き取る。
第6話「さかい屋万助の犬」、子牛のような大型犬、狂犬病だったのですね。酔ってかまれた侍が娘を切り、自分も発病して死ぬ。だけど、切り殺されて犬が死んだことにされた娘は、かわいそうだよなぁ。
第7話「怪盗みずたがらし」、新たに雇われた女中だけが助かっている奇妙な偶然。るいの一言が、長助にはピンときた。源三郎の妻お千絵の実家に押し入ろうとした盗賊団の大捕物にようやく東吾も参加。第8話「夢殺人」、またも悪い娘とかわいそうな娘の対比。原因を作った父親が罪をかぶって悪い母娘を道連れに無理心中。春之助とお銀は幸福になれるか。

やれやれ。少々気が滅入る話が続く。途中にもう少しユーモアがほしい気がします、平岩弓枝さん。花世ちゃんの天真爛漫・無邪気な大活躍を期待いたします。
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