電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

メンデルスゾーン「八重奏曲」を聞く

2006年03月08日 20時53分07秒 | -室内楽
銀行家の父と哲学者の祖父(*)を持つ富豪の家に生まれ、少年時代に文豪ゲーテに愛され、ピアノを聞かせることを日課とした時期があったという幸福な美少年は、12歳~14歳の間にたくさんの弦楽のための作品「弦楽のための交響曲」を書いた。ユダヤ教からキリスト教に改宗した父親は、宮廷楽団と契約、日曜音楽会を開催する。驚くべき姉と弟は、天与の才能を存分に発揮し、さらに注目を集めた。音楽的才能に富んだ姉ファニーとともに、弟フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディは、16歳にしてこの「八重奏曲」と劇音楽「真夏の夜の夢」を作曲する。
(*):レッシングの『賢人ナータン』のモデルとなったモーゼス・メンデルスゾーンは、フェリックス・メンデルスゾーンの祖父にあたるという。

メンデルスゾーンの「八重奏曲」、実はまったく興味関心がなかった。ずっと前に、たまたまズーカーマンによるヴァイオリン協奏曲を聞きたくて購入したCDに、いわば付録として付いていたこの曲が、通勤の音楽としてくり返し聞いているうちに、気に入ってしまったというしだい。
劇音楽「真夏の夜の夢」については、セル指揮クリーヴランド管のきわめてクリアーな演奏や、クーベリック指揮の夢幻的な演奏などを通じ、よく親しんできている。同時期に作曲された曲らしく、若々しい息吹と活力を感じさせる音楽だ。
私は他の演奏を知らないので比較することはできないが、ズーカーマンがヴァイオリンを演奏しながらセントポール室内管弦楽団員と演奏したこの録音(Philips 412 212-2)は、響きが力強く振幅が大きく、リズムの切れ味のよい、活力ある素敵な音楽になっている。

第1楽章、アレグロ・モデラート・マ・コン・フォーコ、14'49"
第2楽章、アンダンテ、7'41"
第3楽章、スケルツォ、4'33"
第4楽章、プレスト、6'30"
total=33'33"
録音:1983年11月、アメリカ合衆国、セントポールにてデジタル録音。

写真は雪がとけて顔を出した庭木の一部。
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