電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

J.S.バッハ「フルート・ソナタ全集」を聞く

2006年03月17日 20時45分46秒 | -室内楽
今週一週間、毎日の通勤に、J.S.バッハのフルートソナタ全集を聴いた。有田正広さんのフラウト・トラヴェルソ、有田千代子さんのチェンバロ、鈴木秀美さんのバロック・チェロの演奏である。
フラウト・トラヴェルソというのはどんな楽器か。例によってGoogleで検索してみた。すると、フルート族に関するこんな詳細な解説ページ(*)があった。
(*):フルート族の楽器の紹介と歴史
これによれば、フラウト・トラヴェルソというのは、要するにバロック時代の木製のフルートの一種で、多くのキーを持つ現在のベーム式のフルートに比べてずっとやわらかい音を特徴とし、軽やかな装飾音を多く持つ音楽の演奏が得意なのだとのこと。したがって、同時代の音楽で、こうした特徴を持つ音楽を軽やかに演奏するのに向いている、ということなのだそうな。

収録された音楽は、偽作の疑いも持たれている作品をふくめて全部で八曲。
(1)フルートと通奏低音のためのソナタ、ハ長調、BWV1033
(2)フルートと通奏低音のためのソナタ、ホ短調、BWV1034
(3)フルートとオブリガート・チェンバロのためのソナタ、イ長調、BWV1032
(4)フルートとオブリガート・チェンバロのためのソナタ、変ホ長調、BWV1031
(5)フルートとオブリガート・チェンバロのためのソナタ、ロ短調、BWV1030
(6)無伴奏フルートのためのパルティータ、イ短調、BWV1013
(7)フルートとオブリガート・チェンバロのためのソナタ、ト短調、BWV1020
(8)フルートと通奏低音のためのソナタ、ホ長調、BWV1035
作曲年代がわかっているものについては、どうやら1720年代から1740年代、作曲家の40代の作品が中心のようだ。油ののった円熟期の仕事といえよう。息子のC.P.E.バッハがベルリンのサン・スーシー宮殿で、フルート好きのフリードリヒ大王のところに仕えていたことも影響しているのかもしれない。たいへんに軽やかな、ギャラント・スタイルの音楽になっている。金属性のベーム式現代フルートの音色とは異り、木製楽器らしいまろやかな音色になっているせいもあるかもしれないが、ずっと飽きないで聞くことができる。

演奏をしている有田正広さんは、世界的に有名なフラウト・トラヴェルソ奏者とのこと。アリアーレ・レーベルとしてリリースされたこのCD(DENON COCO-70556-7)は、添付の解説によれば有田正広さんのデビュー録音だったと言う。デビュー録音でこの楽しく素晴らしい演奏!

■1989年1月、東久留米、グレゴリオの家にてデジタル録音されたもの。
コメント (4)