電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第2番」を聞く

2006年03月22日 22時10分18秒 | -室内楽
このところ、若いメンデルスゾーンの曲を聞いている。3月8日に八重奏曲、10日にピアノ三重奏曲を取り上げた。最近、通勤の車中で聞いていたのがこの曲、弦楽四重奏曲第2番イ短調、作品13である。
この作品、添付の解説によれば、メンデルスゾーン18歳の1827年に作曲されたもので、実際は第1番よりも先になるという。ベートーヴェン以後、特別なジャンルとなってしまった感のある弦楽四重奏曲という分野で、習作を除き六つの弦楽四重奏曲を書いたメンデルスゾーンの出発点となった。
実際、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲のあとに書かれた作品で、若者らしい濃厚なロマン的気分を持ち、しかもしっかりと構成感も感じさせる、充実した作品であると思う。通勤の車中にずっと反復し、繰り返し聞くにたえる、新鮮味を感じる音楽だ。

第1楽章、アダージョ~アレグロ・ヴィヴァーチェ。そっとささやくような序奏のあと、イ短調の急速な主部が、情熱的な歌曲のように奏される。(8'05")
第2楽章、アダージョ・ノン・レント。お互いに響きを確かめながら、ゆっくりと語り合うような、静かな楽章だ。同じ主題を追いかけるようにメロディが次の楽器に移っていき、フーガ風の構成になっている。(7'17")
第3楽章、インテルメッツォ:アレグレット・コン・モート~アレグロ・ディ・モルト。子守唄かわらべ歌のようなメロディーが素朴に歌われた後、軽快なスケルツォが展開される。(4'48")
第4楽章、プレスト~アダージョ・ノン・レント。悲劇的な緊張感をたたえた音楽で始まり、ちょうど嘆き悲しむ人が心の痛みを訴えるように、テンポを変えながら展開される。やがて、ゆっくりしたアダージョ・ノン・レントと指示された部分が始まり、始めのメロディが回想されて静かに終わる。(9'14")
total=29'24"

カルミナ四重奏団によるこの録音(COCO-70517)は、同団体によるDENONレーベルへの始めての録音だったそうだ。初録音にメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲をもってくるというのも、カルミナ四重奏団という団体の自負と意欲とを感じることができる。
第1ヴァイオリンのマティーアス・エンデルレとヴィオラのウェンディ・チャンプニーの2人は、この団体を通じて結婚しているようだ。チェロのシュテファン・ゲルナーを加え、カルミナ・トリオとして始まったが、第2ヴァイオリンが加わってカルテットとなり、後に現在のスザンネ・フランクと交代し、現在のメンバーとなっているという。いかにも室内楽の団体らしいエピソードだ。
録音は、1991年1月、スイスのラ・ショー・ド・フォン、ムジカ・テアトルにてデジタル録音されたもの。
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