電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

レハール「メリー・ウィドウ」を聴く(1)

2007年08月28日 05時58分33秒 | -オペラ・声楽
オペレッタの楽しさは、ずっと前から知っていたわけではありません。むしろ、レーザーディスクでオペラに親しむようになってから4~5年たった頃、NHK-FMの放送でたまたま聴いた二期会公演「メリー・ウィドウ」が楽しかったためだ、と記憶しています。

バブル景気まっただ中の1989年、2月13日と14日の2日間の放送は、佐藤しのぶさんがハンナを演じた日本語公演でした。ポンテヴェドロ国の大臣だか男爵だかが、某国から「ピーナッツ」をもらったというようなくすぐりに、聴衆がどっと笑う場面などもあり、愉快なセリフとコケットリーがいっぱいつまった音楽、オペレッタとは楽しいものだと実感したものでした。二本のカセットテープにエアチェックした録音、今もときどき聴いています。

ですが、今回はCDで。ロベルト・シュトルツ指揮ベルリン交響楽団の演奏、1966年11月、ベルリンでの録音(DENON COCQ-83175/6)です。日本語公演で粗筋はほぼ頭に入っています。そのため、ドイツ語の会話も、なんとなく「あの場面だな」と推測できてしまいます。

第1幕、舞台はパリ、ポンテヴェドロ国公使館。1国の全財産を支配するような大金持グラヴァリが死去し、その財産を受け継ぐ未亡人ハンナがパリの伊達男と再婚するようなことになれば、国が破産するといいます。公使館の書記官ダニロは、かつてハンナと愛し合った仲。しかし、過去にとらわれ、財産目当てと言われることを嫌い、愛していると言えません。ハンナも同じです。やきもきの間柄をさらに複雑にする、ゼータ男爵とその妻ヴァランシェンヌという仕掛けもたっぷり。

第2幕、ハンナの家の庭園。ポンテヴェドロ風の夜会が開かれます。公使夫人ヴァランシェンヌにしつこく言い寄るキザなパリジャンのカミーユをとっちめようと待っていた公使が、なんともおかしい。お芝居なのに、またも裏切ったとハンナをなじるダニロの怒りに、ハンナはダニロの真情を知るのです。

ヴィデオディスクと違い、CDは映像がなく音だけです。ですが、音楽の力は大きいものがあります。昔あるところにヴィリアという森の妖精がおりました、と歌う「ヴィリアの歌」には、思わず「待ってました!」とかけ声をかけたくなります(^o^)/

配役は、

ゼータ男爵 ベンノ・クッシェ(Bas)
ヴァランシェンヌ ドロアテ・クリスト(Sop)
ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵 ルドルフ・ショック(Ten)
ハンナ・グラヴァリ マルギト・シュラム(Sop)
カミーユ・ド・ロション シェリー・J・ジェニングス(Ten)
ニェグシ フェリー・グルーパー(Ten)
カスカーダ子爵 クラウディオ・ニコライ(Bar)
ラウール・ド・サン・ブリオシュ ジュリウス・カトナ(Ten)

合唱指揮はヴァルター・ハーゲン・グロル、ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団によるもの。たいへんに楽しい演奏です。
コメント