シリーズ初作が長編でも、ニ作めからは短編集となってしまうという例は、平岩弓枝著『はやぶさ新八御用帳』シリーズのように多数あると思いますが、畠中恵著『ぬしさまへ』はずいぶんとまたまた思いきりの良い短篇化です。
第一話「ぬしさまへ」、仁吉の水際だった男ぶりにぽーっとなった娘と、情より欲が勝った娘と。たしかに、昔の手紙は手書きでしたので、金釘流筆跡がばれてしまいます。今ならばワープロで書いて自筆書名すれば、それほど悪筆は目立ちにくいかも。若者よ、気をつけたまえ(^o^)/
第二話「栄吉の菓子」、いくら下手っぴいでも、あまりの不味さに心の臓が止まって死んでしまうという想定は、さすがにちとおおげさ過ぎるのでは。案の定、博徒はやっぱり博徒という結末でした。
第三話「空のビードロ」、出だしが猫の頭というのは、いささかぎょっとします。いくら先の見通しが暗いからといっても、犬猫殺しの行動とは直接には結び付きにくいものでしょう。若旦那の異母兄である松之助の不遇が、青いびーどろで救われます。
第四話「四布の布団」、誤って届いた布団は、夜に女の泣き声がする代物でした。届けた田原屋は、主人が「こめかみに青筋を浮かべた蟷螂」のような男で、店で発見された遺体も、凶器が見つかりません。若旦那の推理が冴えます。
第五話「仁吉の思い人」、お話としてはいい話の部類なのですが、よくよく考えると千年の思い人という「しつこさ」はいささか不気味です。ただし、仁吉のは片思いでして、妖怪らしからぬ純情の中に、実は若旦那・一太郎のルーツが描きこまれています。
第六話「虹を見し事」、悪意の妖(アヤカシ)が一太郎を狙います。こちらはうまく防ぐことが出来たのですが、若旦那に片思いをしていたおまきの櫛だけが若旦那のもとに。では、おまきはどこへ?若旦那の自立への意志が新鮮です。
大まじめであるほどおかしさが目立つ、ということはありえます。第五話における仁吉の純情は認めつつ、鈴君を千年も待ち続ける古狐のイメージは、いささかしつこすぎるようで、どうも超絶・究極のストーカーみたいですね。でも、まあ、ちょいといいお話です。おおいに楽しみました。
写真は、今が見頃のテッセンです。なんとなく、夜には妖怪に化けそうですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/bf/bbda569ec017d502136ffcfa0bc50b3c.jpg)
第一話「ぬしさまへ」、仁吉の水際だった男ぶりにぽーっとなった娘と、情より欲が勝った娘と。たしかに、昔の手紙は手書きでしたので、金釘流筆跡がばれてしまいます。今ならばワープロで書いて自筆書名すれば、それほど悪筆は目立ちにくいかも。若者よ、気をつけたまえ(^o^)/
第二話「栄吉の菓子」、いくら下手っぴいでも、あまりの不味さに心の臓が止まって死んでしまうという想定は、さすがにちとおおげさ過ぎるのでは。案の定、博徒はやっぱり博徒という結末でした。
第三話「空のビードロ」、出だしが猫の頭というのは、いささかぎょっとします。いくら先の見通しが暗いからといっても、犬猫殺しの行動とは直接には結び付きにくいものでしょう。若旦那の異母兄である松之助の不遇が、青いびーどろで救われます。
第四話「四布の布団」、誤って届いた布団は、夜に女の泣き声がする代物でした。届けた田原屋は、主人が「こめかみに青筋を浮かべた蟷螂」のような男で、店で発見された遺体も、凶器が見つかりません。若旦那の推理が冴えます。
第五話「仁吉の思い人」、お話としてはいい話の部類なのですが、よくよく考えると千年の思い人という「しつこさ」はいささか不気味です。ただし、仁吉のは片思いでして、妖怪らしからぬ純情の中に、実は若旦那・一太郎のルーツが描きこまれています。
第六話「虹を見し事」、悪意の妖(アヤカシ)が一太郎を狙います。こちらはうまく防ぐことが出来たのですが、若旦那に片思いをしていたおまきの櫛だけが若旦那のもとに。では、おまきはどこへ?若旦那の自立への意志が新鮮です。
大まじめであるほどおかしさが目立つ、ということはありえます。第五話における仁吉の純情は認めつつ、鈴君を千年も待ち続ける古狐のイメージは、いささかしつこすぎるようで、どうも超絶・究極のストーカーみたいですね。でも、まあ、ちょいといいお話です。おおいに楽しみました。
写真は、今が見頃のテッセンです。なんとなく、夜には妖怪に化けそうですね。
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