5月の山形交響楽団の第189回定期演奏会は、聴くことができましたが、4月の第188回は、親戚の法事等のために上京し、残念ながら聴くことはできませんでした。そのときの曲目が、ハイドンのトランペット協奏曲と交響曲「朝」「昼」「晩」というもので、ゲルハルト・ボッセ教授の指揮によるものだっただけに、なんだか残念で、未練が残っておりました。
ところが、先日珍しく某中古書店に立ち寄ったところ、ディアゴスティーニの例の廉価CDの中に、まさにこの三曲を収録したもの(CC-036)を見つけました。まさしく奇遇! 今朝は、この中から、第6番「朝」を取り上げます。
第1楽章、アダージョ~アレグロ。夜明けのような静かな始まりから、フルートの小鳥の鳴き声のようなフレーズが続きます。活動的で、明快なアレグロです。
第2楽章、アダージョ~アンダンテ~アダージョ。はじめのほうで登場するのは、ヴィオラでしょうか、たいへん渋く魅力的な音です。それがヴァイオリンに引き継がれて、優美な旋律を奏でます。ヴァイオリン協奏曲かと間違えるほど、独奏ヴァイオリンが活躍します。たぶん、コンサートマスターが華やかに注目を集めるところなのでしょう。
第3楽章、メヌエットとトリオ。中間の、わずかに憂いを帯びたチェロの独奏部が魅力的です。
第4楽章、フィナーレ:アレグロ。フルートに導かれ、軽やかなリズムと旋律。いかにもハイドンらしい、明快で快活なアレグロです。前の楽章との対比も、効果的です。
■アルベルト・リッツィオ指揮、サン・マルコ合奏団 (幽霊演奏家)
I=5'51 II=6'16" III=4'04" IV=4'35" total=20'46"
演奏は、アルベルト・リッツィオ指揮サン・マルコ合奏団と表記されておりますが、この方面に詳しい安田さんのサイト(*)によれば、幽霊演奏家、幽霊団体だそうです。幽霊というわりには録音も明快で、CDに表記された「DDD」という表示が正しければ、少なくとも'80年代以降の新しい録音のはず。おそらく、隣接著作権の意識もかなり普及していた頃です。では、なぜ幽霊演奏家による録音などと言うものが誕生したのでしょうか。
ここからは、私の推測です。
ベルリンの壁の崩壊前後、東欧には経済的困難が押し寄せます。音楽家も、生活しなければなりませんが、補助や支援はなくなり、国民生活が困窮の時代にあっては、演奏会以外の収入の道を探さなければなりません。国外に活躍の場を見出せる国際的な知名度を持った演奏家は別として、オーケストラに所属する多くの音楽家たちは、国家の統制の目をかすめて、外国資本による録音の仕事に頼らざるを得なかったのではないか。いわば、ヤミの録音商売だったために、このような幽霊団体、幽霊演奏家の録音が登場することになったのではないか。ですから、実際はチェコやハンガリー、あるいはユーゴ等の有力オーケストラであって、演奏家も実力のある人たちなのでしょう。偏見なく演奏を聴くと、そんな感じがします。
(*):廉価版CDの楽しみ~「安田の部屋」資料室より
ところが、先日珍しく某中古書店に立ち寄ったところ、ディアゴスティーニの例の廉価CDの中に、まさにこの三曲を収録したもの(CC-036)を見つけました。まさしく奇遇! 今朝は、この中から、第6番「朝」を取り上げます。
第1楽章、アダージョ~アレグロ。夜明けのような静かな始まりから、フルートの小鳥の鳴き声のようなフレーズが続きます。活動的で、明快なアレグロです。
第2楽章、アダージョ~アンダンテ~アダージョ。はじめのほうで登場するのは、ヴィオラでしょうか、たいへん渋く魅力的な音です。それがヴァイオリンに引き継がれて、優美な旋律を奏でます。ヴァイオリン協奏曲かと間違えるほど、独奏ヴァイオリンが活躍します。たぶん、コンサートマスターが華やかに注目を集めるところなのでしょう。
第3楽章、メヌエットとトリオ。中間の、わずかに憂いを帯びたチェロの独奏部が魅力的です。
第4楽章、フィナーレ:アレグロ。フルートに導かれ、軽やかなリズムと旋律。いかにもハイドンらしい、明快で快活なアレグロです。前の楽章との対比も、効果的です。
■アルベルト・リッツィオ指揮、サン・マルコ合奏団 (幽霊演奏家)
I=5'51 II=6'16" III=4'04" IV=4'35" total=20'46"
演奏は、アルベルト・リッツィオ指揮サン・マルコ合奏団と表記されておりますが、この方面に詳しい安田さんのサイト(*)によれば、幽霊演奏家、幽霊団体だそうです。幽霊というわりには録音も明快で、CDに表記された「DDD」という表示が正しければ、少なくとも'80年代以降の新しい録音のはず。おそらく、隣接著作権の意識もかなり普及していた頃です。では、なぜ幽霊演奏家による録音などと言うものが誕生したのでしょうか。
ここからは、私の推測です。
ベルリンの壁の崩壊前後、東欧には経済的困難が押し寄せます。音楽家も、生活しなければなりませんが、補助や支援はなくなり、国民生活が困窮の時代にあっては、演奏会以外の収入の道を探さなければなりません。国外に活躍の場を見出せる国際的な知名度を持った演奏家は別として、オーケストラに所属する多くの音楽家たちは、国家の統制の目をかすめて、外国資本による録音の仕事に頼らざるを得なかったのではないか。いわば、ヤミの録音商売だったために、このような幽霊団体、幽霊演奏家の録音が登場することになったのではないか。ですから、実際はチェコやハンガリー、あるいはユーゴ等の有力オーケストラであって、演奏家も実力のある人たちなのでしょう。偏見なく演奏を聴くと、そんな感じがします。
(*):廉価版CDの楽しみ~「安田の部屋」資料室より